見出し画像

Air Jam世代じゃない22歳がSounds Like Shitを観てきた











自分、全然映画観ないんすよ。

というよりは、形にも残らないものに1500円近く払って、2時間を過ごすことが無駄に思えて仕方がなかった。


だったらガソリン入れて友達と出かけた方が楽しいやんけ!と思っちゃうタイプ。

なので友達とかが映画の話とかし始めると全然ついていけない。ってか大学の人たち映画見過ぎだろNetFlixの申し子多すぎな。暇かよ(ごめんちゃい)


なので映画館で映画を見たことは、人生で片手で数えられるほどしかない。


マジで母親と見に行ったハリーポッターと賢者の石くらいしか覚えてない。内容も覚えていないけど。

そんな僕が2000円の映画を、わざわざ劇場に足を運んで2回も観るとは思ってもみなかった。


2回ですよ2回。同じ映画を2回見るやつなんてマジでアホだと思ってたんですけどねぇ...。僕はアホになっちまいましたねぇ。







僕は1996年生まれ。

小学生の時に流行っていた曲は、GReeeeNの愛唄とか、ファンモンとかその辺だったはず。いわばファンモン世代です。





僕と同じくらいの世代は

Ken Yokoyama

Hi-Standard

難波章浩って誰??今何してんの?

ってルートが一番多いと思う。僕もそうだった。



Kenを知ったのは、Fourがリリースされたあたりだった。中学生とかかな?

Punk Rock DreamのPVで、臼田あさ美にキュン死にしてたのを思い出す。


難波の音源を初めて聴いたのは、Fourがリリースされた後に出た『Punk Rock Through The Night 』だった。やたらとMTVもM-ONもスペシャも騒いでるから何事?と思ったらハイスタのボーカルがソロで復活!ってことで盛り上がってた。


聴いてもそんな響かなくて、ふーんて感じだった。髪の毛赤いし、前歯金色だし誰やこのおっさんって思った。





僕は1996年生まれ。

2000年は4歳。Air Jamが何かもわかるはずがない。親は松任谷由実と松田聖子しか聴かなかった。 バンドサウンドとは無縁の家庭だった。



初めてハイスタを聴いた時のことをうっすら覚えてる。

確かMaximum Overdriveを聴いたんだ。今思えば明らかにミス。

雑な音楽だと思った。

技術が発達して、洗練されすぎた音楽に慣れてしまった中学生の耳には、Growing Upはお世辞にも琴線を震わせる音ではなかった。


2011年3月11日

いろんなバンドがアクションを起こしていたのは、当時中学生の僕にも分かった。

COMPLEXの復活もよく覚えている。吉川も布袋もくそかっこよかった。




Hi-Standardが復活するらしい。

ふーん。あんま興味なかった。


当時はELLEGARDENとかNo Use For A NameとかSomething Corporate、SUGARCULTの方にがっつり気を引かれていた。


とりあえずまた聴いてみた。その時にはすでにスマホにしてたからYoutubeから見た。

Stay Gold / Brand New Sunset / The Sound of Secret Minds / Close To Me だったのは今でもよく覚えてる。有名な曲達のPVが、違法アップロードされてた。


かっこいいとは思ったけど、わざわざ聴くほどではないな。って感じだった。


ただ面白いのが、僕が歳をとるにつれて、どんどんかっこよく聴こえてくるのだ。


大学受験前はずーーーっとハイスタを聴いていた。Starry Sky / Endless Tripはその時に1番聴いていたと思う。同じくらいThe Fall of Troy とホルモンの鬱くしき人々のうたも聴いてたけど。


そこからHi-Standardはお気に入りのバンドになった。


よくよく考えたら僕がHi-Standardにハマらない訳なかった。ただハマるキッカケが無かっただけで。


中学生の時に出会った激ロックのディスクガイドのおかげで、海外のアーティストをどんどん知ることになる。

その中でNo Use For A Nameにどハマりし、輸入盤を買ってHard Rock bottom の歌詞カードを広げてずっと眺めてた。全アルバムスマホに入ってる。もちろんTributeアルバムもだ。


Strung Outはロブラモスの鉄格子のようなスラッシーなリフに感動を覚えた。


NOFXの政治的なメッセージに音楽の可能性を見た。


気づけばFAT Wreckのアーティストばっかり聴いてる時期もあったくらいだ。



敬愛するワールドクラスのアーティスト達が所属するレーベルと、同じところに日本人がいるなんて考えもしなかった。




そんなんハマるにきまってるじゃーんwwwwwもっと早く言ってよーwww







めちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ良い映画でした。

映画を全然見ないガキンチョがまさか映画で泣くとは思わなかった。


はっきり言おう。これは映画を超えている。

だって、ここにいる人みんなハイスタ好きなんだぜ?

同時期に上映してたボヘミアンラプソディーとかは、ふんわりしている人も見に行くけど、こっちをなんとなーく見に行くやつなんていないと思うんだ。


映画館で生まれる謎の仲間意識がなんとも心地よかった。そこには仕事帰りのサラリーマンや、ママっぽい二人組、カップル、僕みたいな世代の若い人も一人で来てた。



普通の映画と違うのは、そもそもハイスタが好きで、同じ空間にお金と時間を払っていると言うこと。それだけで感動なのに、終わった後の満足感ときたらそりゃもう。

いかにハイスタが時代を作ってたががわかったし、そこにあった苦悩が並大抵じゃないことがひしひしと伝わって来た。




その足跡の上を辿っているアーティストを今の僕らが聴いてると考えると、日本のバンド史にとって偉大なバンドだということを再認識した。


音楽はもちろん、それぞれのドラマがこれでもかと散りばめられており、リアルタイムでシーズン物のドラマを見ているかのような気分にさせてくれる。

僕も当時、ソロ活動をしているメンバーのブログや、楽曲の歌詞にハイスタを感じ取っていた。

みんながガキみたいにぶつかってきて、いまの再結成があるのは人間ドラマとして、すでに素晴らしいのにも関わらず、それにプラスされて音楽まで掻き鳴らされた暁には、もう脳汁出しまくりで昇天するほかないのだ。






この映画を観た後にkenや難波やハイスタの曲を聴くとまた違って見える。


KenのCost of My FreedomとかI Go Aloneとかは本当にぶっ壊れてたと思うし、ハイスタが復活してから難波がリリースしたWalkなんか、涙なしでは聴けない。


Kenも大変だったけど、難波もダンスミュージックが売れなくて、kenが勝手にパンク路線でハイスタを放棄して、リハビリとか行ってたけどI go aloneをリリースして、そりゃ「警告」の一悶着も頷けると感じた。

そう。この映画は警告!にも触れてくれたのだ。ここがいちばんすげぇと感心した。映画を見る前、さすがに難波はこのことには触れないだろうなと思ってたけど、自分から言ってたし、なんなら当時の画面のキャプチャまで出てて、さらにはそれに対するKenの意見まで....。これはとてつもないドキュメンタリーだ..!




まさかNOFXとオーストラリアツアーが組まれてたなんて知らなかった。結局このタイミングでKenがイかれて話は無かったことになるんだけど、劇中でも言ってた通り、Green DayやOff Springsと肩を並べるワールドクラスのバンドになっていたかもしれない。


デビュー当時の難波はマジで小学生みたいだし、Kenもツネも垢抜けない。それが売れて行くに従ってバチバチにカッコよくなる姿が映画を通して見れたのはでかい。人って本当に顔つきが変わるんだ。。。




ハイスタ、難波、Kenがこうして今のテレビに出る事はロックなんだよな。

今流行りの音楽が、容姿が整ってて、歌が上手くて、ギターも上手くてみたいなものばかりだ。全部計算されて寸分の狂いもなく作られてる。たしかにピッチの狂いもない。

こんな時代だからこそ、少しアナログなおじさんであるハイスタやkenはテレビに出る事で、中指を突き立てているんだと感じた。

まさしくSounds Like Shitなのだ。それでもハイスタはかっこいいのが魔法だ。


それとハイスタの人間臭さが僕は大好きだ。ソロになってからあーだこーだ言ってるけど、結局はハイスタのことを詞にしてたり、メンバーに対することを歌ってたり。結局誰もハイスタを捨て切れなかった。


映画の中でも、結局みんなハイスタのことは常に頭にあったのがとても印象的だった。男の友情のいいところが集まったバンドだと感じる。


各々のバンドで素晴らしい曲を作れる二人が歌ったらすげぇのができるに違いない。当たり前だ。こんなすげぇバンドのフロントマン二人が在籍していた3ピースバンドがいたってだけで、もう心の底からテンションが上がる。


普通、日本人が歌う英詞なんて大して意味のないものばかりだ。けどkenやnambaは違って、考えてることが手に取るようにわかる。あぁこの歌詞kenのこと言ってるなぁとか、ハイスタのことなんだろうなぁとか。




やはり難波がフロントマンなんだと実感した。ハイスタだと余計に難波のカリスマ性が光る。うまさじゃない発音じゃない、かっこよさなんだ。なによりBrand new sunsetを作曲したのは難波だったことに衝撃を受けた。NAMBA69からもわかるように彼のメロディセンスはずば抜けているものがある。


この映画で難波がクソみたいに不器用で実直な人間だと言うことが伝わって来た。歌詞を見ていてもそれがよくわかる。いい意味でガキな難波といい意味で大人で現実主義なKen。

僕の様に、Kenが表舞台にたってからハイスタを知った人には難波を知る機会があまりにも少なすぎた。

NUMBA69を聴くとそんな細かいこと一瞬で吹き飛ぶ。天才なのかもしれないと感じる。


僕は96年生まれだから、Kenから知ってハイスタに入ったんだけど、この映画を機にNAMBA69をちゃんと聴いたらゲロクソかっこよくて衝撃だった。

Kenも難波も言ってるようにKo-heyが加入してから音の厚さとバリエーションが増して、メタリックなリフ、パンクのポップさと、難波章浩が持つ天性の声とキャッチーさで脳天にガツンとぶちかましてくれる。

僕ら世代にはKenの方がすごいっていうイメージで、ハイスタもkenのイメージが強かったけど、難波章浩という人間は天才で、ハイスタは難波の力あってこそだと気付かされた。マジでNAMBA69かっこいい。速攻でApple music入れた。


何が良いって、ハイスタが復活するまではkenに劣等感を感じてくすぶってた難波が、ハイスタを活動再開させたと同時に、Ko-heyが加入してNamba69が輝き始めたということが激アツすぎる。。








その他感想としては、

ライアングリーンが出てきたことに個人的に一番盛り上がった。

最後のケンのハイスタは世界一のロックバンド発言。

ナレーション一切なし最高。

曲順が良い。

brand new sunsetのタイミングばっちり。

やっぱり恒がみんなの間に立ってたのが感動。

難波の意思が最後にkenを動かした。


上映終了後、帰り道みんなハイスタの話しててにやけた。バンド組んでた人、ライブキッズ、みんながあの感動を共有してた。


生まれて初めて映画館で泣きました。最高の映画です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?