安藤徹

地方暮らしの写真好き

安藤徹

地方暮らしの写真好き

最近の記事

楽しみのための機会

写真を撮りたくなったのも、散歩をしたいのも、遠出をしたいのも寒くなったから。書き残して語るには日差しの強すぎた夏を終えて、やっと静かに集中できるようになりました。 写真を撮って残すという行為は続いていて、以前は見られなかった景色がイメージとして浮かび始めています。変わりの無いように見える日常も、実際はしなやかな変化の流れの中にありました。今の自分は1年前の自分ではなく、半年前の自分でもない。 少し先に楽しいことが待っていると、今を生きるのも楽しくなります。だから先の予定を

    • インターネット居住区

      画面の向こうの夢は存在せず、目に見えて手に触れられるものが現実。人はすぐ隣にいるようで本当はいない。 デジタルの信号は現在を示し、電気が消えると存在ごと消えてしまう。 画面を消し、何年も何十年も経った後に何が残るのか。 ここはインターネット居住区。目に見えないものを信じる街。 誰も居なくても、画面に向かって信号を打ち続ける。どこかの誰かに届くかもしれないから。 ビルや施設や家々の立つ大きな箱。人は自然から離れて生きられなくて、他人から離れても生きられない。 ただ心

      • 部屋の中から

        部屋の中は星の中みたいだ。何者も邪魔をされることのないそこは、宇宙の何処よりも落ち着く場所である。 カーテンに包まれた部屋の中、操縦桿を握って潜る。今日も深い海の底へ。 自身の船を操縦し、探して見つけるのが好きなのだ。光や初めて見る生き物を。 本当のことなんて一体誰が決めるのだ。星の中にいる間は、僕の好きなものを見るのだ。 星の海で見つけたものを、机や棚の上に飾る。 そのうち誰かに見せたくなる。光り輝くものなら、自分だけの宝物としておくのは勿体無い。 部屋の外、家

        • 若き日の太陽

          11月の日中はまだ暖かった。適度に風もあって春のような天気だった。日差しは秋の残りの匂いがした。 街を歩く。娯楽の少ない地方にも街はある。街と被写体さんと季節の風景があればどこだって遊び場所になる。 好きな街には図書館がある。空や海を眺めながらぼんやりと過ごせる公園がある。気軽に立ち寄れる美術館や演劇のホールがあると尚良い。 これからを生きる僕達は沢山の文化に触れる必要がある。人の作ったものを通じて新しい感性に。今日まで続いてきた歴史に。ここ数年で失われたものの為に。

        楽しみのための機会

          辺境に吹く風

          続けていたことがひと段落して、次は何をしようか考える。 新しいことを始める時は目標を決めず、心の動くままに走って、時々休みながら振り返る。 振り返った時に、走ってきた道を違和感なく飲み込めるなら、それまでの選択は大きくは間違っていない。 途中で拾ったものを一旦振り落とし、身軽になってまた走り始める。 身の回りが楽しくなってきている。 出来るならいつも楽しい環境に身を置いていたくて、今が最高を毎年更新していたい。欲深いものだと思うし、その欲は年が経つにつれ大きくなって

          辺境に吹く風

          何度目かのプロローグ

          日常と非日常の間を行き来していた。予定無くぼんやりと過ごす日、バタバタと動く日。写真を撮る日。秋のイベントの日。 そろそろ遠くへ行きたい。1泊2日または2泊3日の旅行をしたい。今は次の楽しみ(非日常)へ向かっている。 写真を撮ることで、様々な時間を記録してきた。生活の中にある曖昧な感情を写そうとしたり、初めて会う人との時間を残したり、久しぶりに会う人と散歩写真を撮ったり。 1週間や1ヶ月の中で、好きなものに触れられる時間を増やしたい。もっと日常の中に人の作り出したものを

          何度目かのプロローグ

          写真はタイムマシン

          noteを思い出のアルバムにしたいと考えている。 写真は個人的な気持ちで撮っている。誰かに見せたいという側面もありながら、撮った人と撮らせて貰った人の個人間で楽しめるものがいい。 通りがかった人が視線を向ける個展のような場所。心の引っ掛かりを保存した場所。誰にも見せないけど、ある日の時間の中に私とカメラがあった。そんな空間。 シャッターを切るごとに時を止めている。沢山の写真をまとめたアルバムは、何年経ってもある日に戻ることの出来るタイムマシンだ。 写真は一瞬の保存。文

          写真はタイムマシン

          アナログな飛行

          全体のルールに従ったと言うよりは自身の守りたいことを守った結果、行きたい場所へ行きたい欲が強くなった。 人に会うことを止めていた。必要のない遠出も止めていた。県外の撮影も行かずに我慢した。外食もほぼしていない。耐えきれずにラーメン屋と焼肉屋へは行った。 遠方の撮影は今も止めている。気兼ねなく行けるようになるのは来年くらいかなと思っている。2021年を捨てた訳ではない。来るべき大移動時代に向けて準備を進めている。 2020年以前、日々の楽しみは行きたい場所へ行って、会いた

          アナログな飛行

          惑星に一人でいる

          惑星に一人でいる。膝を抱えてぽつんと座っている。取り残されたように見えるけど自ら一人でいることを選んだ。寂しいのは自分のせいだと言いたくない。 昔に無くした片方を探している。人と関わる内にどこかへ落としてしまった。捨てることを選んだのも自分。本当にそうだろうか。 人の輪の中にいるとそれぞれが影響し合って、思いも寄らない方向へ進むことがある。 背中の荷物が少しずつ重くなって、気づかない内に大変なものを背負っていた。気づいてからでは遅いのだ。いつもどうしようも無くなってから

          惑星に一人でいる

          スウィング・バイ

          昨日の夜に考えていたこと。朝には一旦忘れて、新しい空気を取り込む。時間をかけて思い出して、頭の中で再構成できた頃には昼が近づいている。 難しい問答よりもまずはご飯だ。住む場所を確保して、食べていけるようになって次の話が始まる。 あなたについてはこれから知るかもしれないし、知らないままかもしれない。 とりあえず乾杯。写真遊びは楽しんだ後で。面白い話を持ち合わせていないなら未来の話をしよう。日常の迷路をくぐり抜けて、霧に覆われた街へ。 友達も知り合いも一人もいない世界で、

          スウィング・バイ

          38度のダンジョン

          東からの太陽が頭上を過ぎて、西の空に傾くまで。部屋の中から空の様子を眺めている。時間の過ぎるのを待っている。暑さを避ける為に。 海の近くの家の中から、一日中水平線を見ていたい。一日で飽きるかもしれない。川のそばで水の流れる音を聴いていたい。旅館で浴衣を着て。畳の上を好きなだけごろごろしながら。 あっという間に体力を削られる夏。人で一杯のレジャースポット。どこへだって行けるようでどこにも行っていない。 家から出て皆が同じような場所に集まるなら、それは家にいるのと変わらない

          38度のダンジョン

          夢は過去からやって来る

          見覚えのある場所に立っている。 眠りについた後の夢の中。過去のどこかの時間に立っている。夢の中でこれは夢だって気付いている。登場人物は最後に会った記憶のままだ。 夢の中では小学生だったり中学生だったり、高校生だったりその後の自分だったりする。多く登場するのは小学生から大学卒業くらいまでの記憶だ。 舞台となるのは学校の教室、運動場、図書室。学校の帰り道やどこかのスーパーの時もある。人と会ったり話をする(会話の内容は覚えていない)。誰かに追われたり何かと戦っている時もある。

          夢は過去からやって来る

          蜃気楼に浮かぶ

          物体との距離が近づき、見ようとしていたものの輪郭がはっきりとし始める。 初めは遠くの空にポツンと浮かんでいた点だった。点は光を放つ星であることが分かった。近い将来、空に浮かぶ星へ辿り着く。その為に打ち上げられた宇宙船。 あと少しで星に手が届きそう。求めていた答えがきっとそこにある。残り一歩の所で遠ざかってしまう。 僅かに記録に残ったのは、蜃気楼に浮かぶ星の輪郭だった。 毎日うんうんと考えていたことについて、ある日分かったような気持ちになる。 これが答えなのではないか

          蜃気楼に浮かぶ

          世界に一つだけの日記

          生活の役に立つ情報はネットの中に溢れている。 無駄を減らして賢く暮らす方法や、コツコツと資産を増やす方法など、生きる上で役に立つ情報が無料で山のように手に入る。 僕もお役立ち情報の中から実践していることがある。アレっと疑問に感じて調べることが出来れば、大量の経験や知恵を取捨選択できる。いい時代になったものだ。 暮らしに必要な情報は既に沢山あるから、賢く暮らせるようになった先の生き方を探している人、実は増えているのではないか。 これがあるから乗り切れる。これの為に頑張れ

          世界に一つだけの日記

          明日なんて来なくていい

          いつも通る道。よく来た場所。知り合って何年も経つ間柄。新鮮な気持ちなんて忘れそうだけど、二人の間にはカメラがあり写真がある。 意識の中のぼんやりとした気持ちに芯を通す。人の身体の線は一人ずつはっきりと分かれていても、風とシャッターの音の中で少しずつ曖昧になっていきそうな、そんな時間。 沢山言葉を交わすのもいい。出会った人のこと。旅をしたこと。美味しいものを食べたこと。 何も話さないのが心地良くなって、言葉少なになるのもいい。太陽の下をぼちぼち歩く。曇りの日だって同じ気分

          明日なんて来なくていい