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連泊だけどお出かけしないインバウンドゲストにも満足していただこう!

先日のミーティングの際に、インバウンドゲストに関するお困りごとでこんな話が上がりました。

「先日、フロント担当者が、欧米のインバウンドゲストに苦言を呈されたそうですよ。
『ランチでも始めたらどう?周りに食べるところがあまりないし』
連泊でお出かけもされなかった方だったそうです。
ただ、我々でどうこうできる問題じゃないですよね…」

我々が運営するのは温泉旅館。
夕食と朝食の2食を提供することに特化していて、お昼の営業はやっていない。
ましてやお昼の時間は清掃や夕食の仕込みなどのピークタイム。
人的負荷が高くなる時間帯にランチ営業は難しい。

では、先程の欧米のゲストにランチを提供すること以外に、ご満足していただくにはどうすればいいでしょう?

欧米ゲストの特徴を振り返る

現場で接していて私が連泊のゲストの特徴と捉えているのは、

・アジアのゲスト⇨ほとんどの方が観光に出かける
・欧米のゲスト⇨お出かけせずに部屋でゆっくりする方も多い

そう、出かけずに部屋に滞在されるのは欧米のゲストに多いのです。

では、ゆっくりする理由はなぜなのか?
ゲストの前後のスケジュールを確認していると、
欧米のゲストの場合、なんと
「何も決めていない!」
とおっしゃる。(びっくり)

私の感覚からすると、旅行先でどこを巡るか決めないなんて考えられないのですが、実際そうなのです。
もちろん宿泊先は決めてはいるものの、その前後のスケジュールまで考えられていないことがほとんど。

ここで、私は仮説を立てました。

「予定を立てていないのではなくて、立てられないのではないか?」

それは、
・観光先の情報が少ない
・交通機関の情報や手配が日本語のみ
・外食の場合、食事面で不安がある
といった不安要素が多いということ。

だからこそ、コンシェルジュサービスがあるような都会のホテルが好まれるのではないか、と思うのです。


欧米ゲストの真のお困りごととは?

島根まで日本にくるアジアのゲストはすでに日本を少なくとも10回以上来ている方がほとんどです。
中には50回以上なんて方もおられます。
彼らにとって、日本とはなじみ深く、リサーチ能力も長けていることでしょう。

一方、欧米の方。
日本は初めて、もしくは2ー3回目という方がほとんど。
しかも、島根には英語で紹介された情報なども少ない。
「2週間の滞在のうちの2日間、地方ではゆっくりすればいいか」
なんて考えるのもわからなくありません。

つまり、彼らは、
予定を立てたくても立てるだけの情報も余力も残っていない…
というのが現実なのではないでしょうか。

予定を立てない
⇨出かけずにのんびり滞在
⇨お昼ご飯食べるとこ困る
⇨宿で用意してくれよ!って思う
⇨フロントスタッフに苦言を呈す

こんなお客様の心理状態だったのでは?

もちろん妄想です。
いや、妄想以上、事実以下といったところでしょう。

僕たちにできる提案とは?

さて、ここで私たちにできるお困りごと改善はなんでしょうか。

はい。
頑張っておにぎりをつくることではありません。
近くのランチスポットを紹介するのも満点ではありません。

先程の仮説を思い出しましょう。

「予定を立てていないのではなくて、立てられないのではないか?」

予定立てられなくて困っている方に提案できること。
それは、
ワクワクする予定を演出することではないでしょうか?

この土地にどんな文化が眠っているのかを知らない欧米ゲストに、彼らの興味が引くような情報を提案する。
それこそが、滞在の演出です。

ここには絶対的な正解はありません。
島根県にある界 玉造の場合ですと、
・窯元や陶芸体験先を紹介して、日本の民藝文化に触れていただく。
・国内一の日本庭園、足立美術館で目を丸くしていただく。
・出雲大社の日本一の大しめ縄を、何これ!と見上げていただく。
などなど。

お客様との会話の中で、
「この方はどんなことで喜ぶんだろう?」
「どんな目的で日本に来たんだろう?」
「ここまでの旅でどんな感想を持ったんだろう?」
とお客様の関心に身を寄せてみると、よりよい提案につながるヒントはたくさん転がっているのです。


遠方のゲストにはよりご満足いただきたい!

もちろん全てのゲストにこの仮説が当てはまるとは思っていません。
(長旅だったからただ疲れていて休みたいわ)
という方も一定数おられるでしょう。
ただ、ワクワクする予定を演出することが困っている欧米のゲストにとって救いの手になる可能性は十分にあります。

せっかく旅先として遠方の日本を選んでくれた方々。
少しでも楽しんでいただきたいものですよね。

『日本、やっぱりよかったわ、特に地方が最高だったの』
帰国後にそんな会話が聞こえてきたらいいな、って思いませんか?

以上、連泊だけどお出かけしないインバウンドゲストに満足していただく方法について考察してみました。

おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。




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