雨、朝

朝、布団の中でダラダラTwitterを見ながら、このまま戦争になるんだろうなと憂鬱になった。アラームより2時間早く起きた。雨が降っていた。同僚の体調不良で休むという連絡LINEが2件届いていた。雨樋の、水が流れてくる場所に植木鉢を置いていた気がして気になった。雨が降っていない時でもどこからかの水が一滴ずつ落ちてくるので、自動水やり器として使っていたが、雨が降ると水分過多でタプタプになってしまう。早く救わなくてはと思った。ダラダラ考えるのが止まらない。私自身を責める言葉がポコポコ生まれるのを、とりあえず別の箱に置いておけない。
常に力を入れているより、瞬間的に力を入れたほうが強い力を発揮できる、とスポーツ選手が言っていた。思考だって同じ。しかし考えを置いておけない。目についたもの、思いついたものに流れるのは疲れる。

一部の人にしか関係がないが幸せになれる人が増える同性婚へは慎重なのに、一部の人を間違いなく不幸にする共同親権法案の通過は早い、そんな類のツイートがたくさん流れていく。政治家だけで判断し始め、それがよしとされるなら戦争なんて止められない。そして私はそんな二次情報、三次情報、何次もの情報を見て共同親権反対のネット署名に名前を投げ込む。しかし投げ込んだ先で、メールの承認がうまくいかず、署名はできてないことになって、そのまま諦めた。
政治に希望がなくて憂鬱になるのなら、それは憂鬱になる私の問題、見えたものに振り回され、定まっていない私の問題だった。2時間早く起きたなら洗濯機を回すこともできた。Twitterを読むのをやめられない私の問題を政治のせいにしたかった。雨が降ってるし。何かしたいとは思っても、朝布団の中で憂い悩むだけなのは無意味だった。
ネットの情報は魂を吸われる。いつか、あるとき、いきなり思い立って、アカウント消しますと宣言して、一切から切り離れるのもありだ。思い立つ時はいきなり訪れるからいつになるかはわからない。自分のことでも他人のことのような、そういう時は不意に来る。
布団で2時間の間に、Twitterにも飽きて読みかけの漫画を読んだ。うとうと二度寝をした。
風船が発射される銃を使って、強い人1人相手に私たちチーム5人で戦う夢を見た。そして前付き合っていた人に、今彼女とかいないなら、事務的に結婚しない?と言っている夢も見た。開けっぱなしの窓から風と雨が吹き込んでいた。においがこもらなくて快適だから、いつも窓は開けっぱなしだが、さすがに今日は閉める。
アラームが鳴ってからも20分がすぎて布団から起き上がる。
ぶら下げられるところはすべて、洗濯物がぶら下がっている。そのうちから一つとる。これをぶどう狩りと呼ぶらしい。

出勤の自転車をこぎながら、もし、戦争になって、戦場に行きたくない人がいて、召集令状が届かなかったらいいのでは、と考えていた。住所変更届を出さないで引越し。行方をくらます。登録住所になっているのはこのシェアハウス。役人さんが現住人の私に話を聞きに行くと、2、3年前には住んでいたんですけどね〜とか答えが返ってくる。しかしその人は2、3年前に住んでた事実はない。便利に行方をくらますための窓口をやる。私はその人の現在地を知っていて、必要な手紙は転送している。そういう反逆。シェアハウスにそんな人が何人もいたら怪しまれるっての。普通に国家からの逃亡。そして私はその幇助。

どうしたらいいのだろう。戦争に向かっているのが憂鬱なのは、そうなので。

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