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【彼と彼女のものがたり】side O

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。

プロローグ〜side  O〜


「なんなんだろ、、、、、」

薫は自分の感情を持て余していた。


数週間前から「ある人」が頭に浮かんで
消えないのだ。


自分で自分の気持ちがわからないなんて
生まれて初めての感覚だった。


なんせ、理由がない。


15年以上も前から知っているのだから、
運命の出会いとかいうものでもなさそうだ。


はじめは
仕事の延長線上の興味だと思っていた。

単なる
クライアントと美容師

「ある人」もそのうちのひとりだった。。


はずだ。


クライアントとの信頼関係を築くまでは
その方のお仕事やプライベートの様子を
聴くのは仕事として当然

それ以上も以下もない。。。


なのに、だ。

失礼ながら、
異性として意識するなんてことは
全くもってあり得ない!と薫は思ってきた。


はっきり言って
全然タイプでもない。


「ある人」とは
住んでいる世界が違いすぎる。

この仕事をしていなければ、
一生関わることのないような世界の住人に
何故、こんなに意識を持っていかれるのか……?


薫は脳をフル回転して

何がどうなって
こんな感情が芽生えるのか???

この数週間
ずっと考え続けていた。

もう、
「ある人」について考えることに
疲れてもきていた。


目の前に山のように積まれたタオルを
黙々とたたみながら
それでもなお、
「ある人」は薫の頭の中を占領していた。



「今振り返ってみると、
あれがはじまりだったのかもしれない。。」

ぼんやりと
5年前の手帳を見返して
薫はポツリ呟いていた。




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