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私を育ててくれた言葉~その4「人間関係は最悪になったときから始まる」

だいぶ前にブログにも書いたネタで恐縮ですが、もとの上司K氏のことは忘れることができません。

当時、私はまだ20代の生意気盛り。その頃のことを思い出すと気絶しそうに恥ずかしいのですが、K氏を思いっきり怒らせてしまったことがあります。

「なんなんだこの女は!」と怒鳴りつけられ、さすがに悪かったと思って、夜になってご自宅に電話しました。

するとK氏は「わざわざ電話なんかしなくていいのに」と笑っていましたが、次の日に会社に行くとこう言いました。

「人間関係っていうのはね、最悪になったときから始まるんだよ」と。

感服いたしました、と頭を垂れるしかありません。私の無礼をあっさり許し、もう一度チャンスをくれたのです。その後、私はフリーになり、数年ぶりに会社を訪ねたとき、ひと目でガンとわかるやせ細ったK氏の姿に胸を衝かれました。

「医者に、いくら食べてもやせるんですよと言ったら、そりゃそうだよ、ガンってそういう病気だものと言われたよ」と豪快に笑っていたK氏。

残された時間、最愛の奥様と海外旅行に行き、遺影を撮り、海辺のホスピスを終の棲家と決め、万端整えたのち、すっと遠くに行ってしまわれました。

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