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STUDY:シティポップとは何だったのか?第5回

5なぜ、今シティポップ?

 ここで普遍的な問いが登場する。「なぜ、今シティポップ?」

 今までは4章にかけて、シティポップの実態とイメージ、そしてリバイバルブームの特徴を説明してきたが、理由について触れたのは少ない。特に今回は海外を中心に考えてみると、理由らしい理由はいくつか考えられる。

 一つ目は先ほども書いたように、AOR系ロックの再評価に付随してAOR系歌謡曲であるシティポップを好む耳を持った若者の拡大である。

 2つ目として考えられるものはカウンターカルチャーとしての評価だ。EDMが主流となり、アップテンポなダンスミュージックでチャートが賑う昨今の音楽業界に懐古主義が登場するのも無理がない。3つめはアニメのオープニング・エンディングとしての知名度拡大だ。特に80年代後半になって、いくつかのシティポップはアニメのオープニングとエンディングに使用される。

 シティポップ誕生年として今回は1984年を一つの軸に置いてきた。84年のアニメ主題歌を見てみると、「ガラスの仮面」のエンディングソング「パープル・ライト」は作詞・売野雅男、作曲・財津和夫という、歌謡曲(売野)と、ニューミュージック(財津)のまさに融合。

 また、「ルパン三世 パート3」では今まで使われていたテーマソングから一新し、「セクシー・アドベンチャー」というシティポップ寄りのサウンドになっている。「アタッカーYOU!」では鷺巣詩郎が編曲を務めている。一番驚いたのは、「超攻速ガルビオン」のオープニング「ロンリーチェイサー」の作詞が亜蘭知子であるという事実だ。亜蘭知子は再評価が著しいアーティストの一人である。アニメとシティポップが完全に同化するのは、「シティーハンター」(87)だろう。何しろ「シティ」という言葉を使っていて、話の設定も夜が多く、ハードボイルドな内容は、いつかの「摩天楼のヒロイン」を思わせる。(しかしヒロインは真逆の性格を持っているが)オープニングよりも有名なのはエンディング、TM NETWORKの「Get Wild」。もはやシティというよりも、90年代にやってくるサウンド(ダンスミュージック)の時代を先取りしていた。

 ちなみに、この曲のヒットをきっかけに、アニメと音楽のセット販売が始まり、ビーイングが「名探偵コナン」のオープニングとしてB’zやZARD、倉木麻衣などを手掛けるようになる。話が脱線してしまった。すなわち、それらのアニメが世界中で簡単に視聴することができ、2000年代から続くクールジャパンブームの最中、発掘する外国人が増えて同時に音楽にも注目されるようになった。そう考えると、第4章でも述べたFuture Funkのイメージがアニメなのは、シティポップとアニメの結びつきを踏まえてのものだとも考えられる。


 「なぜ、今シティポップ?」に関しては今後さらに追及していく必要のある問題で、まだまだリサーチ不足だ。大きな原因としてまとめると、   1AOR系ロックの再評価から来るAORブーム              2カウンターカルチャーとしての懐古主義               3アニメーション人気との関係性                   今後はYoutubeのコメント欄やアンケート調査を使いながら、「なぜ、今シティポップ?」の問いを考えていきたいと思う。

次回予告:結局なんだったのか?

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