激しい日常

愉快な仲間達と美味しいお寿司を食べた次の日、顔の半分が腫れました。ちょっと尋常じゃないくらい腫れました。私はまず、思いました。

私「昨日、お寿司を食べておいてよかった」

以前の私だったら、(私みたいな大した仕事もしていない者がお寿司を食べたから罰が当たったんだ)、そう思ってのたうち回ったことでしょう。(因みに、腫れの原因は個人的な体調不良でお寿司と全く関係ありません)

顔が腫れたのは本当に嫌ですが、顔の腫れによって、「なんか、最近、考え方が変わったな」と、思いました。

考え方が変わる要因は色々ありましたが、その中のひとつにこんなことがありました。

息子が生まれて色んな人から、

「大変だと思うけど、子どもってすぐに大きくなってしまうから、今を楽しんでね」

そう言われました。わたしは、「なるほど、今は今だけなのか」と、教えられたとおり、0歳の息子、1歳の息子、2歳の息子、3歳の息子、4歳の息子、一か月前の息子、昨日の息子、今日の息子と、生まれてから毎日の息子を、

私「ああ、今の息子を大切しよう」

なるべく、息子も私も「楽しい」と、思えるように過ごしてきました。そんなある日、ふと、思いました。

私「よく考えたら、息子だけじゃなくて、人類全員、今は今だけだ」

もう私を必要としなくなる程息子が大きくなった後も、息子の今は今だけだし、ぼる塾のあんりちゃん、はるちゃん、田辺さんの今も今だけだし、夫も、私の両親も、夫の両親も、友人も、ぼる塾を応援してくれるみなさんも、この瞬間はもう二度と戻ってこないものなのだと気づきました。私はいつも当たり前のことに気づくのにとても長い時間を費やします。35歳で気づきました。

例えば、道を歩いていて、前から歩いてくる人の今も今だけだし、この人の二度と戻ってこない人生の瞬間を私は目撃しているんだと思うと、なんというか、すごく感動しました。

そう思うようになると、人から優しくされたことが、とても貴重でありがたいことなんだと、強く思えるようになりました。(もともと感謝の気持ちは感じていましたが、さらに大きく感じるようになりました)

私はひとつ嫌なことがあると、沢山の良いことが消されてしまうような人間でした。

ですが、みんなの二度と戻ってこない人生の瞬間を私と一緒に過ごしてくれたり、私に優しくしてくれたんだ、そう思うと、嫌なことよりも、良いことがいかに重要なのかが恥ずかしながら本当に理解できました。

スーパーでアルバイトをしている大学生くらいのお兄さんが、レジで袋詰めにもたついた私に、「お客さん並んでないし、ゆっくりで大丈夫ですよ!堂々と使ってください!」と、声をかけてくれたことが、

私(お兄さんの人生の二度と戻ってこないこの瞬間、私に優しくしてくれた。お兄さんの人生を私への思いやりに費やしてくれた)

大袈裟かもしれませんが、本当に二度と戻ってこないんです。この瞬間は平等に。私もそうです。しかも、いつ終わりが来るのかわからない。そう思うと、

二度と戻ってこない人生なんだから後悔しないように生きよう

そう感じるようになりました。この言葉って、なにか夢に向かってチャンレンジしたり、大きなことをやらなければいけないイメージでしたが、人生という言葉は自分のものだけではなく、周りの人の人生も含めたものなのだという認識に変わりました。

周りの人の優しさに気づくとか、一緒にいられる時間を大切に過ごすとか、そういう日常を大事に生きられるようになろうと。

目の前にいることが当たり前になっている人だって、この瞬間のその人とは、もう二度と会えない。そして、明日も当たり前に会えるかわからない。

そう思うと、とっても怖くなりました。

私「周りの人の人生で、私に費やしてくれた瞬間を損させないために私はどうすれば良いのでしょう?」

私は引っ越しとか貯金とか老後とかもっと話し合わなければいけないことが沢山あるのにこういうことばかり夫に相談してしまいます。

夫「そんなに深刻に考えなくても、人って『嫌がらせしてやろう』って気持ちで行動しなければそんなに周りに酷いこと出来ないと思うよ。後、どちらかが我慢して成り立つ優しさもいつか崩壊すると思うから、我慢は少し違うんだろうね」

私「我慢は違う」

夫「うん。我慢する事柄なら話し合えば良いし、そこでお互いのベストを探せば良い。そこで理解しあえず『そっちが我慢しろ!』って強制してくる相手だったら別にその人に無理してまで優しくする必要ないでしょ。そのせいで自分がダメージ受けて周りの関係ない人に態度悪くなったら一番良くないよ」

私「私は自分の気分で関係ない人に態度を悪くしていた人間です」

夫「されていたから知ってる(笑)極論、自分に優しい人に優しくするで良い。だって大半の人は優しい。仕事相手とかこちらがお金をもらっていて、ちゃんと厳しいこと言わなきゃいけない人からの意見は別枠だけど、そこはもう流石に気づけるでしょ」

私「わかります」

夫「それからみんな深刻に考えずに人に優しくしてると思うよ。『優しくする』ってわりと無意識な行動だから。『このタイミングで優しくしてやろう』とか思ってやってないよ」

私「そうですよね。今、私はくだらないことを話して〇〇さん(夫の名)の人生損させてます?」

夫「全然。こういうことを話すの大好きだから。少なくともオレと向かい合う時は『嫌がらせしてやろう』って思わないでいてくれたらそれで平気だよ」

ここまで書いて何が言いたかったのかよくわからなくなってきましたが、こんなことがあって、愉快な仲間達と美味しい寿司を食べた人生の瞬間があって本当に良かったと感じる思考回路に辿り着きました。そして、私は夫に『嫌がらせしてやろう』と思わず生きます。

おわり

*ぼる塾の日常が本になっています。良かったらみなさんの人生の瞬間にぼる塾を!「酒寄さんのぼる塾生活」好評発売中です!詳細はこちら↓

https://www.amazon.co.jp/dp/4847072804

第一弾「酒寄さんのぼる塾日記」みなさん人生の一部にさらにぼる塾を!詳細はこちら↓

https://www.amazon.co.jp/dp/4847071301

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?