戦い続ける女

※田辺さんは実際にはそんなことしないので安心して読んでください。

世の中には、同じ名前だけど全く違うものがあります。例えば、

花と鼻、柿と牡蠣、気候と寄稿…他にも探すと沢山あります。

今回の話は、同じ名前だけど全く違うものによる勘違いから始まりました。

ある日のことです。田辺さんの家に遊びに行った帰り道、田辺さんから連絡が来ました。

田辺さん「酒寄さんに天使のはね渡すの忘れた!」

田辺さんは私の息子をとても可愛がってくれているので、私は田辺さんがもうランドセルを息子の為に用意してくれたのかと驚きました。(息子は4歳)

私「田辺さんランドセルくれるの?!」

田辺さん「天使のはねってお菓子よ!ランドセルって!そこまで余計なお世話しないよ!(笑)」

天使のはねはランドセルではなく、沖縄で大人気の美味しいお菓子だったのです。

田辺さん「ランドセルって祖父母が孫に贈りたい物でしょ!そこを田辺がかっさらったら流石にまずいよ。祖父母と田辺が同じ位置にいたら悪いよ」

田辺さんは「天使のはね(お菓子)は次回渡すからみたらし(息子のあだ名)にあげてね!」と言って、このときは終わりました。

数日後。ぼる塾4人で劇場の出番があり楽屋で待機していると、

田辺さん「あんり、聞いてよ!この前酒寄さんがね…」

田辺さんはよほど私がランドセルをもらえると思ったことが面白かったらしく、あんりちゃんにそのときの話をしていました。(はるちゃんは近くで寝ていました)

田辺さん「酒寄さんったら、天使のはね間違いをしてランドセルをもらえると思ったのよ!流石の私でも事前許可なくランドセルは買わないよ!しかも、みたらしまだ4歳なのに!」

あんりちゃん「いや、今までの田辺さんの行動を考えるとランドセル買ってそうですよ」

田辺さん「私、祖父母の楽しみ盗ったりしないよ!」

あんりちゃん「いや、正直、田辺さん…自分は祖父母と肩を並べるポジションにいると思っているでしょ?」

田辺さん「思ってないよ!ちょっとしかね!」

私「ちょっと思ってるんだ」

あんりちゃん「おじいちゃん、おばあちゃん、田辺さん」

田辺さん「こうやって並べると田辺さんマジ場違いだね」

あんりちゃん「お友達がランドセルしょって『これおじいちゃんとおばあちゃんに買ってもらった!』とか『パパとママが買ってくれた!』って言ってる中で、みたらしが『僕は田辺さんに買ってもらった!』って言ったら、周りの友達みんな『田辺さんって誰?』ってなりますよ」

私「他の家庭で田辺さんって続柄ないもんね」

田辺さん「しかもぼる塾は小学生人気が低いから田辺さん知らないよね…。でも、田辺さんはママ世代には刺さるから、『田辺さんって誰?ってママに聞きな!』って言えば良いのよ!」

あんりちゃん「それでぼる塾の田辺さんに買ってもらったって伝わったとして、『ぼる塾の田辺さんがランドセル買ってくれるわけないだろ!あの人はお菓子しか買わないんだ!うそつきだ!』ってお友達からみたらしがうそつき呼ばわりされるかもしれませんよ」

田辺さん「私はお菓子以外も買うよ!せめて芸能人と知り合いアピールしてる部分をうそつき呼ばわりしてよ!」

あんりちゃん「どっちにしろ田辺さんはランドセルを買わないほうが良いですよ」

田辺さん「そうね。みたらしに迷惑がかかるなら諦めるよ。うそついてないのにうそつき呼ばわりされてさ…可哀想に…」

田辺さんは想像上で犯した自分の過ちに苦しくなったのか、苦しそうな顔でアーモンド小魚を食べていました。

あんりちゃん「でも、みたらしも小学生になったら田辺さんと遊んでくれなくなりますね」

田辺さん「嫌だよ!私はみたらしが小学生になっても遊ぶよ!」

あんりちゃん「いや、小学生になったら放課後はお友達と遊ぶからみたらし大忙しですよ。田辺さんと遊んでる暇なんかなくなりますよ」

話は気がつくと小学生になった息子と田辺さんの友情は続くのかという問題に発展していきました。

田辺さん「それなら、タクシーで校門の前に乗り付けてみたらしを待ち伏せするよ」

田辺さんはさらりと怖いことを言いました。

あんりちゃん「みたらしのお友達が『みたらしー!今日はみんなでサッカーしよう!』って言って、嬉しそうにみたらしも『うん!』って言って、みんなで仲良く並んで校門まで行くと…」

田辺さん「はーい!みたらし!今日は私とアフタヌーンティーに行くのよ!」

二人は即興コントを始めたようでした。

あんりちゃん「困るみたらし。本当はみんなとサッカーしたいのに…」

田辺さん「みたらし!アフタヌーンティーの後は私とテニプリの応援上映やりましょ!」

あんりちゃん「みたらしのお友達は気がつくんです。みたらしが田辺さんを迷惑に思っていることに!そして立ち向かうんです!

みたらしのお友達『一年生ーになったら♪一年生―になったらー♪友達百人できるかなー♪みんなでみたらしを守るぞー!おー!』

ここであんりちゃんは立ち上がり、ラグビーのスクラムを組んだ小学一年生たちの姿を一人で実演してくれました。

田辺さん「ふんっ!こんな可愛いスクラム私の『まあね~』で吹き飛ばせるわ!『まあね~』!」

※【まあね~】は田辺さんが髪の毛をかきあげなら言う持ちギャグです

田辺さんが「まあね~」と髪の毛をかきあげると、その風圧であんりちゃんは壁まで吹き飛びました。

小学一年生たち(あんりちゃん)「うわーっ!」

田辺さん「さ!みたらし!アフタヌーンティーに行くわよ!お紅茶が冷めちゃうわ!」

私は、紅茶淹れるの早すぎるだろと思いました。

あんりちゃん「小学一年生たちは落ち込むんです。『どうしよう…オレたちじゃみたらしを守れないのか…』すると、遠くから歌声が聞こえるんです…『一年生ーになったら♪一年生―になったらー♪友達百人できるかなー♪』」

田辺さん「誰?!」

あんりちゃん「『一年生を守るのがおれたち二年生の仕事だー!』

そう!一年生のピンチに二年生が現れるんです!昨年まで一年生だった二年生がこんなに立派になって!

あんりちゃんは今度はラグビーのスクラムを組んだ小学二年生たちの姿を一人で実演してくれました。

田辺さん「二年生なら『まあね~』二発だね!『まあね~』『まあね~』

田辺さんが「まあね~」「まあね~」と二回髪の毛をかきあげると、その風圧であんりちゃんは壁まで吹き飛びました。

小学二年生たち(あんりちゃん)「うわーっ!」

田辺さん「さ!みたらし!今日のアフタヌーンティーのスコーンはとても美味しいのよ!本場イギリスの味よ!」

?「おいおい、オレたちにとってのスコーンはコイケヤだろ?」

田辺さん「今度は誰よ!」

私も今度は誰だと思いました。

?「『一年生ーになったら♪一年生―になったらー♪友達百人できるかなー♪』…よくもおれたちの可愛い低学年を吹き飛ばしてくれたな!おれたち六年生が相手だ!

なんとラグビーのスクラムを組んだ六年生たち(あんりちゃん)が来てくれました。

小学六年生たち(あんりちゃん)「おれたちは『まあね~』じゃ吹き飛ばないぞ!高学年だからな!」

田辺さん「六年生か…ちょっとは骨のあるやつらが出てきたね」

小学六年生たち(あんりちゃん)「高学年をなめるなよ!」

田辺さん「私のもうひとつの必殺技「食レポ」の出番だね。

『はい!こちら帝国ホテルのインペリアルラウンジ アクアのアフタヌーンティーです!こちらは1段目がデザート、2段目がスコーン・セイボリー、3段目がセイボリーとなっていますね!』

小学六年生たち(あんりちゃん)「うわー!セイボリーってなんだー!」

田辺さん「『見てください!セイボリーの段に置かれたキッシュ!』」

小学六年生たち(あんりちゃん)「うわー!キッシュってなんだー!」

セイボリーな上にキッシュであんりちゃんは壁まで吹き飛びました。

田辺さん「大人になったらわかるわよ」

?「『一年生ーになったら♪一年生―になったらー♪友達百人できるかなー♪』」

また、歌声が聞こえてきました。

中学一年生たち(あんりちゃん)「小学生相手に大人げないぞ!オレたち中学一年生が相手だ!」

田辺さん「再び一年生に戻って来たってわけね」

この騒ぎにラグビーのスクラムを組んだ中学一年生たち(あんりちゃん)が駆けつけてくれました。

田辺さん「こちらのアフタヌーンティーのお値段〇〇〇〇円です」

中学一年生たち(あんりちゃん)「うわー!中学生のおこづかいじゃ無理だー!」

中学生はびっくりな大人のお値段にあんりちゃんは壁まで吹き飛びました。

田辺さん「さ!みたらし!行きはテニプリのキャラソンを聴きながら行きましょう」

もう、誰も田辺さんを倒すことはできないのかと思ったそのとき、

PTA(あんりちゃん)「どうもPTAです」

田辺さん「PTAよ!酒寄さん助けて!」

私「私もPTAは敵に回したくないよ」

田辺さんでもPTAが相手だと助けを呼ぶんだなって思いました。はるちゃんはずっと幸せそうに寝ていました。

おわり


ぼる塾の日常が本になっています。はるちゃんも起きています。「酒寄さんのぼる塾生活」好評発売中です!詳細はこちら↓

https://www.amazon.co.jp/dp/4847072804

第一弾「酒寄さんのぼる塾日記」好評発売中です!「戦い続ける女」みたいな話が好きな方はぜひ!詳細はこちら↓

https://www.amazon.co.jp/dp/4847071301



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?