みなさんはFRIDAYを知っていますか？

「金曜日！」

そう答えた方は惜しい！私が尋ねたFRIDAYは、よく有名人の熱愛スクープなどが載っている週刊誌のほうです。「フライデーされる」という呼称があるほどで、有名人の方は恐れている人も多いと思います。

しかし、ぼる塾の三人は違いました。

あんりちゃん「ぼる塾あんり熱愛発覚でフライデーされたい」

はるちゃん「ぼる塾きりや、イケメンとドライブデートとかで載りたい！」

田辺さん「ばかっ！イケメンとのフライデーは私が一番最初だよ！」

と、暇さえあれば誰が一番最初にフライデーされるかで言い争っていました。私も、（いつか三人の誰かがフライデーされることもあるかもな）くらいに考えて三人の争いを見ていたのですが、思いもよらない形でぼる塾はフライデーされることになりました。

某月某日。ぼる塾4人のグループラインに田辺さんからメッセージが送られてきました。

田辺さん「田辺あんりフライデーwwww」

なんと田辺さんとあんりちゃんが2人でフライデーされたのです。

私は二人がいつの間にか交際していたのかと思い、慌てて一緒に送られてきたFRIDAYデジタルの記事を読むと、田辺さんとあんりちゃんが舞台の合間の20分で買い物をし、そのとき声をかけてきたファンの方への対応が親切だったというものでした。

私「いや、ほっこり！！」

ちょうどその日はぼる塾4人で集まる予定だったのですが、集合して早々話題はFRIDAYでもちきりになりました。

私「読んだよFRIDAY！」

はるちゃん「フライデーされたね！おめでとう！」

あんりちゃん「おい！田辺！なんでお前となんだよ！」

田辺さん「それはこっちの台詞よ！！」

私たちは4人で再びFRIDAYの記事を最初から読むことにしました。

あんりちゃん「すれ違う人々が向ける眼差しの先には、大柄な二人組の女性が並んで歩く姿があった…なんだよ！大柄な二人組って！事実過ぎること書くなよ！」

田辺さん「そうよ！わざわざ当たり前のこと書く必要ある？！」

私「それより二人とも格好がそのまま過ぎない？顔全く隠してないし、絶対に二人だってわかるよ」

あんりちゃん「普段は帽子かぶってるんですけど、この日はたまたま二人とも帽子かぶっていなかったんです。まさかフライデーされるなんて思ってもいなくて」

はるちゃん「田辺さん、こんなことまで書いてある！『田辺は商品を取ると、レジに進んでそのまま購入。満足げな表情で店を後にした』って満足げな表情までばっちり見られてるじゃん！」

田辺さん「フライデーするなら言ってよ！私この日、にこにこぷんのTシャツ着てるじゃん！フライデーされるならゴージャスにドレスとか着てきたのに！」

あんりちゃん「そんなやつと並んで買い物したくねーよ」

私「この写真なんてほぼ真正面からだけど、撮られてるって全然わからなかったの？」

あんりちゃん「全然わかりませんでした！」

田辺さん「マジでわからなかった！」

記事と一緒に乗っている写真を見ると、ほぼ真正面から二人が映っていて、気づかれずにいた記者の人はすごいなと思いました。

私「二人が後ろめたい記事を書かれることはないってわかっているけど、変な内容じゃなくて良かったね。あんりちゃんが田辺さんとフライデーされたのは可哀想だけど」

田辺さん「なんであんりだけなのよ！私も被害者よ！」

はるちゃん「うん！二人ともファンの人に神対応ってすごく好感度高いじゃん！」

あんりちゃん「そうなんだけど…でもそれで私思ったことがあって…」

あんりちゃんは突然深刻そうな顔をし、小声で言いました。

あんりちゃん「このスクープ、田辺さんがFRIDAYの記者にリークしたんじゃないですか？」

田辺さん「そんなことしないわよ！」

あんりちゃん「予め記者の人に、『この日はこの時間にぼる塾田辺とあんりで買い物します』って伝えておいて、記者がいるってわかっていたからファンの人に神対応したんじゃないですか？普段の田辺さん塩対応ですもん」

はるちゃん「確かに！田辺さん超塩対応だ！」

田辺さん「私だって神対応するときだってあるわよ！わざわざそんなリークしてまで好感度上げようとしないよ！私もう十分好感度高いもん！」

田辺さんはとても正直者でした。

あんりちゃん「でも、リークしてなきゃこんな真正面から撮られて全然気づかなかったなんてなります？」

田辺さん「あんただって気づかなかったでしょ！」

はるちゃん「まぁまぁ、どうだろうと二人とも憧れのフライデーされたんだから良かったじゃん！イケメンとのフライデーは私に任せて」

あんりちゃん「偉そうに！お前も相手いないだろ！」

田辺さん「…ねえ、私さ、もうひとつこの記事で気になることがあるのよ」

田辺さんはそう言って、記事の一部分を指さしました。

田辺さん「私たちの記事の最後にぼる塾あんりと田辺を高評価しているバラエティ番組キー局プロデューサーのコメントも載っているじゃない？」

私「『二人ともトーク力は申し分ないうえに、最近の女性芸人にはない面白さがある』って絶賛してくれているね」

田辺さん「この人誰？私とあんりをこんな風に絶賛するプロデューサーなんてこの世にいないよ」

あんりちゃん「悲しいこと言うなよ！でも確かにいません」

私「そんな悲しいこと言わないでよ！」

田辺さん「この記事の本文に嘘はないけど、バラエティ番組キー局プロデューサーの存在だけ捏造だと思う」

あんりちゃん「もし、実在するならマジで誰か教えてほしい！」

…そんなこんなで盛り上がった数時間後。

田辺さん「いや～でもバラエティ番組キー局プロデューサーの存在捏造してまで足す意味ある？」

あんりちゃん「いや、あのコメントなかったらマジで田辺とあんりが買い物してるだけの記事になっちゃうからじゃないですか？」

移動した先でも私たちはまだFRIDAYの記事のことで盛り上がっていました。ちょうどそこにぼる塾のマネージャーさんがやってきたので、

田辺さん「田辺とあんりがフライデーされたの知ってます？」

マネージャーさん「なんですかそれ？！知りません！」

マネージャーさんは大慌てでその場で「FRIDAY ぼる塾」かなにかで調べてくれ、すぐに問題の記事を読み、

マネージャーさん「なんですか！この記事！」

と、大爆笑していました。

田辺さん「フライデーされるときって事前にマネージャーさんとかにフライデーされることの連絡が入ったりとかないのね。あるのかと思ってた」

マネージャーさん「いや、記事の内容によっては事前連絡あると思うんですけど、この記事で事前連絡もらってもこっちが困りますよ」

あんりちゃん「田辺とあんりが買い物してるだけですもんね」

マネージャーさん「何でこれを記事にしようと思ったんだろう…笑」

田辺さん「田辺とあんりのデート記事」

マネージャーさん「大爆笑」

私「でも不思議なもので、FRIDAYのイメージがあるせいか、段々二人の熱愛スクープ写真に見えてこなくもないんだよね」

あんりちゃん「気持ちわりいな！でもなんかわかる！FRIDAYの魔力！」

田辺さん「これからあんりの家に遊びに行くときも気をつけたほうが良いかしら？梨持って行こうと思っていたんだけど、フライデーされるかしら。

『田辺、あんりの家にお忍びデート！夕方。某所で大柄な女性が歩いている姿があった。収録を終えた田辺が梨を持ってあんりの家に堂々と入っていく姿が目撃された』

とかさ」

あんりちゃん「『数時間後、田辺はあんりから借りたスラムダンクの5巻を持って、満足げな表情であんりの家を後にした』

とかね」

田辺さん「やだ！梨とスラムダンク5巻を交換ってなんかさるかに合戦の始まりみたいじゃない？柿とおにぎりっぽくない？」

あんりちゃん「確かに田辺あんり合戦。笑」

私は大笑いする二人に対し、（さるかに合戦みたいにその後合戦始めないでね）と心の中で思いました。

マネージャーさん「いや、しかし、なんで本当にこれを記事にしようと思ったんですかね？」

ぼる塾のマネージャーさんはとても正直者でした。

田辺さん「はっ！わかったよ！」

あんりちゃん「どうしたんですか？」

田辺さん「この記事何かのスクープの火消しに使われたんじゃない？！」

あんりちゃん「この記事で火ぃ消せます？弱火でも無理ですよ！」

田辺さん「じゃあ、とろ火」

あんりちゃん「あんりと田辺の買い物で火消しできるスクープってどんなのだよ！」

初めてのぼる塾のFRIDAYは平和に終わりました。

おわり

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