甲状腺

無料公開!書いて覚える機能形態学・内分泌3

悲しみも、喜びも、感動、落胆も、つねに素直に味わうことが大事だ。
本田宗一郎 

人と犬が人生をともにするようになってから3万年以上の歴史があるそうです。

どうして私達人間はこれほど犬という生き物に魅力を感じるのでしょうか?

2019年6月米ポーツマス大学がその謎にせまる画期的な研究結果を発表しました。

オオカミと犬の筋肉を比べたところ

犬には眉を動かす特別な筋肉が発達していることがわかりました。

犬の表情

Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)より引用

この2つの表情筋によって眼を大きく見せることで子供っぽい・かわいい印象を人間に与えます。

甘える表情、困った表情、悲しい表情で人を引きつけるかわいい犬たち

人を引きつけるためだけ

ならいいのですが、犬たちを悲しい表情にする内分泌疾患があります。

書いて覚える機能形態学・内分泌3では甲状腺について説明します。


甲状腺の位置

画像2

自分のノドをさわってみてください。

あんまり強く触ると"むせる"ので軽くさわってください。

真ん中にデコボコした丸いものが縦にさわれます。
このデコボコしているとことが気管です。

(呼吸器については書いて覚える機能形態学呼吸器をご覧ください)

この気管にへばりつくようにあるのが甲状腺です。

甲状腺位置

甲状腺の中に紛れているのは上皮小体です。この上皮小体もホルモンを分泌する内分泌器官です。(後述)


甲状腺の細胞

甲状腺は甲状腺濾胞(ろほう)と呼ばれる分泌液を貯留した袋状の構造を持っています。

濾胞

この細胞が綺麗に丸く形を作って並んでいる
細胞がかこんな中が綺麗にピンク色になっている

という特徴的な袋のような構造をよく覚えておいてください。

甲状腺濾胞に入っているもの

ピンク色になっているところはコロイドと呼ばれここに甲状腺で作られたホルモンが貯められています。

貯蔵されている甲状腺ホルモンの代表として

・サイロキシン(T4)
・トリヨードサイロニン(T3)

があり、ヨードを含むことが特徴です。

これらの甲状腺ホルモンは体のあらゆる場所で代謝を活発にします。

  

骨とカルシウムに関与するホルモン2つ


カルシトニン

甲状腺の濾胞(ろほう)にへばりつく様にあるのが濾胞傍細胞です。

濾胞傍細胞

傍 というのはわきにいる、そばにいる、近くにいる
という意味を持った漢字(例:観者など)なので

濾胞傍細胞=濾胞の側にいる細胞です。

この濾胞傍細胞からはカルシウムカルシトニン(CT)が分泌され血中のカルシウムCaを下げる働きがあります。

パラソルモン

甲状腺の中に隠れるようにしてあるのが上皮正体です。
甲状腺の中にあるので別名副甲状腺とも呼ばれています。

この上皮正体からはパラソルモンというホルモンを分泌しており血中のカルシウムCaをあげる働きをします。

カルシトニンとパラソルモンの関係

シーソー

カルシトニンはカルシウムCaを血中から骨へ吸収
パラソルモンはカルシウムCaを骨から血中へ放出

させる働きがあります。

カルシトニンとパラソルモンはお互いにバランスをとることで体のカルシウムを調整しているホルモンです。

カルシトニンとパラソルモンセットで覚えておきましょう。

カルシウムの調整について詳しくは書いて覚える機能形態学・骨格系で説明するのでここでは割愛します。

甲状腺の疾患

甲状腺の疾患で押さえておきたいのは主に2つ。

甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症です。

甲状腺機能亢進症

主にで多い疾患でその名前の通り甲状腺の機能が亢進する病気です。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって

・よく食べるのに痩せてくる
・攻撃的な性格になる
・多飲多尿
・頻脈
・被毛粗剛(毛艶がなくなりぼさぼさした毛になる)

等の症状がみられる病気で甲状腺機能亢進症の特徴的なイラストがこれです。

甲状腺機能亢進症

眼がカッと開いてまん丸く、やせていて体に力が入っている感じです。

甲状腺機能亢進症

主にに多い疾患で甲状腺の機能が低下する病気です。

甲状腺ホルモンの分泌が低下することによって

・体重増加
・皮膚炎
・脱毛(特に胴体としっぽ:ラットテール)
・活動性の低下
・徐脈

等の症状がみられる病気で甲状腺機能低下症の特徴的なイラストがこれです。

甲状腺機能低下症

そう、悲しそうな表情です。

甲状腺機能亢進症によるこの悲しそうな表情は冒頭でご紹介した犬の表情を作る筋肉、表情筋の力が弱くなり生き生きとした表情が作れなくなるのではないか?と言われています。

次回内分泌4では副腎の構造について説明します。無理をせず、休憩をしながら少しづつ進めていきましょう!

書いて覚える動物看護学ノート無料配布中です!お申し込みはこちらまで↓







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?