君の名は。の最大の特徴は「男性的な恋愛映画」であること

君の名は。の最大の特徴は「男性向け恋愛映画」であることだと思う。

特に若い男性向けであること。

日本の映画の最大の特徴は女性の観客の方が多いことである。2016年のデータになるけど、日本の映画館の観客の延べ人数は男性客はおおよそ2000万人、女性客はおおよそ2450万人というほどに差異がある。そのため、基本的に日本の映画館は女性向けの映画が多く、女性に最適化された映画が非常に多い。また、人口構成的に中年以上の人が非常に多いので中年以上向けの映画がヒットしやすい土壌がある。例えばジュラシックワールドはその典型である。

そうなるともっとも市場で注目されないのが誰かというと、若い男性だということになる。そのため基本的に若い男性向けの実写映画はほとんど存在せず、映画館に若い男性が行く習慣がなくなってしまう。

これがハリウッドのスーパーヒーロー映画があまり日本で当たらない理由である。ワンダーウーマンやキャプテンマーベルが日本でヒットしない理由もここにある。スーパーヒーロー映画はそもそも若い男性の底の厚い支持によって支えられているため、どれだけ女性を主役にしたところで日本では映画館に行く若い男性が少ないからそもそもヒットしにくいし、女性にしても女性向けの邦画が腐るほどあるのにわざわざ男性向けに作られたスーパーヒーロー映画を女性向けにアジャストした映画に惹かれない人が多いということだ。

そして国内で唯一若い日本人の男性を主要ターゲットの一人にしているジャンがある。それがアニメである。ステレオタイプなイメージとも合致するが、日本人の若い男性向けに作られていることが多く、非常に特殊なジャンルであるといえる。そしてオタクカルチャーの垣根を破壊して若い男性全般にヒットしたのが君の名は。というわけだ。

250億ものヒットを記録しておきながら男女比は6:4である。

これは女性客優位である日本の映画市場にしては珍しい。特に若い人向けの映画ではなおさらだ。アナと雪の女王、美女と野獣、ミュージカル映画などの昨今の映画が爆発的な興行収入を記録するのは基本的に女性客が原動力となったものだからだ。ここ最近の君の名は。が気持ち悪い云々の話はある種その証明でもある。つまり男性向けの恋愛映画が市場でヒットすることなどほとんどなかったためにその描き方、手法に世間がびっくりしてしまったということだろう。

しかし実際には異性の恋愛観というのは気持ち悪いものである。少女漫画を気持ち悪いと思っている男性はたくさんいるはずである。

さて果たして天気の子はどのような映画になるだろうか。

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