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一流って何だろう?

“一流を目指すなら、一流をたくさん見ないといけない”

と先輩から言われたのは、大学を出て制作会社に入った新米の頃である。

その頃は、まだ仕事を覚えるのに必死だったから、一流なんて程遠いというか、ほとんど意識したこともなかった。

しかし、彼はすでに一流の仕事をするために人一倍努力をして、人一倍仕事をしていた人だから、ペイペイの私がトンチンカンなことばっかりしているのを見て、思わず何か言いたかったのだろう。

「一流とは何か?」その言葉を聞いて、私なりに考えたものだ。

業界のトップにいる人の仕事?芥川賞やアカデミー賞やノーベル賞をもらった作品?

よくわからないが、とにかくその業界で、多くの称賛を集め、何らかの優れた業績を残した人の仕事であろうと思った。

だから、とりあえずトップの賞を取った人の作品を片っ端から見ていった。写真や映画や絵を見て本を読んでいった。

とにかく何も考えずにひたすらトップの作品を見続ける。がむしゃらに作家の代表作を読み、映像を浴びるように観る。

すると、いつの間にか私の中で、それがスタンダードになっていった。つまり評価基準のレベルが上がったのである。

彼らの作品に共通するものは何か?技術力?もちろんそれは大きい。しかし、それだけじゃない。
なにか、もっと深い、人間の本質的なもの。全人類に共通するようなもの。そして人間としての深い哀しみや希望、品格が描かれたものであることに気づいた。

また、コンセプトは実にシンプルである事にも。

愛であったり自由であったり自然への畏敬であったり、ありのままの自分自身であったりする。

なるほど、一流というのは、そういうシンプルなことが、研ぎ澄まされ洗練されたユニークな表現で描かれたものなんだと。

だから、私も後輩に言いたい。「人として豊かな人生を送りたいなら、一流のものと沢山触れ合いなさい」と。

※一流の人の場合、確実に言えることがある。相手を受け入れる大きさ、優しさ、ある種の温かなオーラを持っている。いわゆる腰の低さ、ハードルの低さ。私が出会った業界のトップと言われる人たちは例外なく人間的に素晴らしい方々だった。

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