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まだ、開放ボケを楽しんでいる段階です。

つい最近、友人からメッセージをもらいました。

「写真に興味が出たので本格的なデジカメと単焦点レンズを買いました。まだ、ボケていれば楽しいというお恥ずかしい段階ですけどね」と書いてありました。

彼はちょっとセンスがいいなあと思いました。明るいレンズの開放ボケを珍しがっている段階を最初から自覚できているからです。

人間の眼では、明るいレンズの開放ボケのような状態で見ることはできません。眼から入ってきた視覚情報を脳で再構築しているので、すべてにフォーカスが来ています。

「ピントを合わせたところ以外はボケてしまう」という精度の低い機械で作りだされたモノが写真です。パンフォーカスとは、焦点距離が短めなレンズの絞りを絞って前後広範囲に焦点を合わせたように見せる方法ですが、これも被写界深度を利用しただけで、厳密なフォーカスの芯は一カ所だけです。

「ボケてる写真っていいよね」とは、単に人間の目では見ることができない「珍しさ」だと理解しておいてください。弾丸や飛び散る水などを高速閃光のライトで止めて見せたモノ、逆に低速シャッターで水の流れをフラットに写したモノなども同じで、人間の眼で見ることが不可能なモチーフです。

ボケの決定にはいくつかのファクターがあります。

レンズのF値:
(数値が小さいほど明るく、ボケ量が大きい)

焦点距離:
(焦点距離が長いほどボケ量は大きい)

レンズと被写体と背景の距離:
(カメラに被写体が近く、背景が遠いほどボケる)

などですが、それを調整せずに一様に「ただボケていればいい」と言わんばかりに開放で使うと人間の眼には立体感が不自然な写真になります。また、光学的な性能で言うと絞り開放や最小絞りは解像力が劣る領域ですから、状況に応じた適正な絞りで、ボケをコントロールしながら撮るべきです。

先ほどの友人がカメラを買ったばかりでそこに気づいたことは、やはり素質というか、天性の理解力というものがあることを感じさせられました。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。