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味音痴が集まるレストラン。

「写真の部屋」の中で写真を仕事にしたいと名乗りを上げた14人のメンバー。一度全員で実際に集まったあと、クローズドなグループページでオンライン勉強会をしているんですが、そこで気づいたことを皆さんにも共有したいと思います。

腕試し

メンバーページには、毎日彼らが撮ってきた写真がアップされます。贔屓目抜きで、すでにお金をもらって普通に撮れるだろうというレベルの人がいます。プロとしてやっている人も混ざっているんですが、間違えて欲しくないのは仕事のクオリティとは「誰から頼まれるか」です。

いつも「味音痴が集まるレストラン」という比喩を使っていますが、普段どんな料理を食べている人が自分の料理を評価するのか、が仕事のすべてを決めます。

ですから、客観的な評価をいかに獲得するか、そちらに向かう努力の方法をいかに発見するかにかかっています。この集まりは、写真同好会みたいに仲間内で「あの人の写真はいいね」と褒め合うためではなく、世の中の厳しい基準で仕事ができる人になろうと思って始めました。

ルイ・ヴィトンのバッグ

写真でも何でもそうですけど、自分のオリジナリティを価値あるモノとして売り出すためには、そこに根拠がなくてはなりません。ルイ・ヴィトンのバッグが300万円なら買ってくれますが、どこの誰が作ったかわからないモノは絶対に同じ値段では売れない。こんな当たり前のことに気づかずに「私の作ったモノにはオリジナリティと価値がある」と思うのは、勉強不足で浅はかすぎます。

自分の財布からお金を出してルイ・ヴィトンのバッグを買うことを考えたら慎重にブランドの価値を考えるはずなのに、立場が反対になると盲目的に自分を買ってもらえると勘違いするのです。

スタートはまず「自分がやっていることには、まだまったく価値がないということ」を謙虚に受け入れて学ぶことです。学ぶ習慣がなく過ごしてきた人にはこれができません。

学校の勉強でもスポーツでも何でもいい。学ぶことで、自分がまだ何もできない人であるというリアリティを獲得できます。強い武器を目の当たりにすれば、自分が戦場で最初に殺される立場だとわかるでしょう。それを武器も持たずに戦場に出られると思う鈍感さは、勇敢であることや希望を持つこととはまったく別次元の話です。

選ばれること

メンバーには「選ばれた実績」という武器を手に入れて欲しいので、取りあえずはクアラルンプールのポートレート・コンペティションに参加してもらうことにしました。プロアマ問わず、世界中から集まってきたポートレートの中で自分の写真が生き残れるかを確かめるためです。

写真はカメラさえあれば誰にでも撮れるから自分にもできると思う人がいますが、それは野球のグローブとバットを買ったからメジャーリーグの選手になれると言っているのと同じ暴論です。

自分の写真は世界で何位なのかを知ることはとても大事です。そのためにはトーナメントに参加しなくてはいけません。

メンバーの中からクアラルンプールで評価される人が出てくるかどうかはわかりませんが、味音痴の友人に美味しいと言われて喜ぶのではなく、世界のトップレベルと戦ってコテンパンに負ける経験をして欲しいと思っています。なぜならその方が空き地でジャイアンリサイタルをするより圧倒的に楽しいからです。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。