ロケが終わった翌日、ブラジルでスタッフと一緒に食事をしていた。

俺はカメラと黒布とパーマセル（粘着テープ）をスーパーのビニール袋に詰めて出かける。どう見てもランチに行く格好ではない。

レストランのテラス席で食事を終えると、おもむろに壁に黒布を貼る。食事中に光の入り方がベストな位置は決めているのだ。そこに店のオーナーがやってきたので「写真撮ろう」と言って撮る。無断で壁に貼ったけど、オーナーが撮れたらこっちのものだ。

店にいて目星をつけていた男性を呼び、立ってもらう。さらに人を呼び、一人数枚だけシャッターを切って、次々に撮る。クライアントやスタッフは「また始まった」と呆れた顔で見ている。

いつもいい写真が撮りたいとは思っているけど、撮れなくてもいい。言葉も通じない知らない誰かと一瞬だけ出会う。それがとても楽しい。

At Brasil. Thanks a million.

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