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変化する者と、他者の変化を受け入れる者。

ほんの数年前まで、SONYを仕事に使っているカメラマンは多くなかった。マイルドな言い方をしているが、本当のところは「見たことがなかった」。

それが最近は驚くべき勢いで増えている。特にキヤノンからの乗り換えが顕著。EマウントのαにキヤノンのレンズがつけられるSIGMAのMC-11というアダプタが果たした功績は大きく、EFレンズを持っていたキヤノン派が「それなら試しにボディを一台買ってみるか」と最初の一歩を踏み出しやすかったのだろう。

SONYのカメラへの入り口を作ったSIGMAには、ボディ販売利益の中の幾ばくかを渡してもいいと下世話なことを思ってしまうほどだ。ニコン用のアダプタはないからニコン派はそこまでSONYには流れていない。いたとしても最初からSONYをワンセット導入した人々だけで、もしSIGMAにニコン用のアダプタがあったらそれは数倍になっていたと思う。

使ってみると、ニコンやキヤノンとSONYのカメラにはまったく違う進化の方向が見えることに気づく。D5やD1xなど、アマチュアも仕事で使う人も、別にバカでかいカメラを持ち歩きたいわけじゃない。「安心感と引き替えにデカくても仕方がないんだろうなあ」という過去の呪縛から解いてくれたのがミラーレスのα7だった。

試しに買ったボディを使っているうちに「あのデカいカメラは何だったのか」と目から水族館が落ちたような衝撃を受け、アダプタ経由もわずらわしくなってSONYのレンズが増えて行き、そのうちすべてがSONYになってしまう。

ここでさらに追い打ちをかけるように、SIGMAからフルサイズ用のEマウントレンズが発売されることが発表になった。今まではAPS-C用しかなかったんだけど、すでに定評のある個性的なSIGMAのレンズラインにフルサイズEマウントが加われば鬼に金棒である。

(SIGMAがスゴいのはボディを変えたときに、レンズのマウント変更もできるところだ。これはコンシューマーへの愛情あるサービスだと思っている)

カメラはやっぱりキヤノンかニコンだよね、と1970年代みたいなブランド幻想の中だけで話していると時代に取り残される。キヤノンやニコンにも新たな進化を望む。EFもFマウントも大量に持っているから。

生き残るのは、変化する者と、他者の変化を受け入れる者だけ。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。