今年訪れた国は8ヶ国目。物理的移動にはどうしても限界がある。机の前でネットを使って調べるだけなら一瞬だろうけど、本当に足を運んで自分の目で見ることに価値がある。山手線の駅名や、歴代のアメリカ大統領を全員言えるようなことには何の価値もない。それこそググれば誰にでもわかる。

情報の商売とは、その場に立った人でないと知り得ないことを、知りたい人に教えることで発生する。

だから自分が欲しい情報を生む人々と知り合おうとするわけで、その時には相手にも時間を割いてもらえる価値を感じてもらえなくちゃいけない。ファンはアイドルに会いたいが、アイドルはファンに会いたいとは思っていないのだ。

価値の物々交換という意味では、俺の場合どんなに素晴らしい能力を持った人であろうとも「今度、僕の写真を撮ってください」と依頼されることで対等になれる。頼まれるということは、ミュージシャンも小説家もアスリートも、たぶん写真は俺より下手なのだと思う。

その物々交換の品物を持たないまま、憧れの人に会いに行くのはやめた方がいい。手ぶらで来られたら向こうが迷惑だからだ。