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「月刊会社勤め」

やってみて初めてわかることがある。これは逆に言うと、やってみるまでは何もわからないということだ。

と、同じことを逆に言っただけで偉そうな顔をする先輩や上司には気をつけろよ。何が逆に、だ。

たとえば「note」で定期購読マガジンを始めてわかったことがいくつかある。俺はこの30年間、デザインや写真という「コンテンツを売る仕事」だけをして飯(主に鰻)を食ってきたんだけど、それは駅に貼るポスターや雑誌広告、テレビのCMなどが主戦場だった。プラットフォームが激変したら戦い方も大きく変えなくちゃいけない。

実績や自信がある古びたモノを、ふんぞり返って仕組みの違う場所に持って行っても成功しないことは理解すべきだよね。

その臨床実験は厳しいけどとても面白い。特にネットは初期投資がゼロに近いから、失敗してもやり直しは簡単。「いや、別に何もしてませんでしたけど」とすっとぼけることさえも可能だ。

したいことをビジネスにする場はすでに数多く用意されているんだけど、そのモールを選ぶ目は、自分の専門的な能力とは別に鍛えておかなくちゃいけない。

自分をひとつの出版社と考えてみると、今どんな本を出版してる?会社勤めなら「月刊会社勤め」のひとつだけだよね。でもサーフィンが趣味なら「月刊サーフィン」を創刊できるかもしれないじゃん。「月刊会社勤め」だけだとそれが廃刊になったら出版社も終わり。だからコンテンツは多く持っていた方がいい。

そこで「月刊サーフィン」の創刊準備に入るんだけど、サーフィン雑誌はたくさんあるよ。そこで売れるのかな、とハタと気づく。自分のサーファーとしての能力や、サーフ界での影響力などを冷静に見直す必要がある。

別分野での創刊は、その読者層がメジャーかマイナーかを理解することも大事。「月刊アニメ」と「月刊時計修理」を比較したらどちらが多いか、二時間くらい考えれば答えが出るだろう。メジャーなら読者は多い分だけ競合も多いけどな。

さっき先行投資が少ないと言ったけどそれは構造的な話で、月刊会社勤め以外に取材しておくべきことにはお金がかかる。それを「趣味」と言うんだけど、趣味が高じているのが現代のセミプロ社会で、ネットには「玄人がハイヒールはいて逃げ出す」ほどの人々がたくさんいる。

それを無料のネット空間でまき散らしていたのがこれまでの世界なんだけど、人気ブログの作者が本を出版したり、コメンテーターになったりと、ビジネスにスライドさせている。ここが大変化。

で、俺はnoteで課金マガジンをやってみて、それはさらに別の目的に変わってきている。年間100万円程度の購読料の全額を読者に還元することにしているから、ここではまだビジネスになっていない。でもそれを4つくらいやれたら、平均的な「月刊会社勤め」の売り上げには匹敵するんだよね。

マスメディアからマイクロメディアへの変化は、エキサイティングで面白い。個人がメディアになるというのは、ポテトチップス食いながらテレビ見て「つまんねえな」と文句を言うんじゃんなくて、自分ならどんな番組を作るか、作れるか、を考えることだ。

予言:Youtuberというのが流行るだろう。


定期購読マガジン「Anizine」https://note.mu/aniwatanabe/m/m27b0f7a7a5cd

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。

風邪引くなよ!
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ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。現在「ロバート・ツルッパゲとの対話」出版準備中。
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