子供の見るYouTube、なぜ親は抵抗があるのか(その3)

子供とのYouTubeの攻防問題。なぜ親は子供の見るYouTubeに抵抗を感じるのか。前回の記事では「内容」について書いてみました。親は子供が公序良俗に反した「一線」を超えた動画を見ていないかどうか、見ている場合はそれを止めることは必要です。子供も話せばそのことを理解し、きちんと説明すれば「本当にダメと言ったものはダメ」ということは守りますし、だからこそ親のそばでのみ見てよいということも守ります。

ただどうしても親としては「気に入らない動画」を見るのをやめさせたくなります。しかしそれは例えるなら「気に入らない芸能人」と同じで、子供は親と約束した「本当にダメと言ったもの」ではないことを見抜きます(ダメな理由を説明しないと納得しません)ので、それを見せないようにすることはあきらめるしかありません。「一線」を超えていないものについては好きなものは好きなように見せてあげるのがよさそうで、今回の記事で触れる「時間の管理」についても繋がります。

ちなみに前回の記事でも触れましたが、YouTubeには「特定のチャンネルをブロックする」機能はありませんし、フィルターソフトを使って表示させないようにする方法もありませんので、あきらめましょう。


なぜ親は子供の見るYouTubeに抵抗を感じるのか、「内容」に続きまして今回は「時間」について書きたいと思います。表面的には時間のほうが攻防になることが多いでしょう(くどいようですがゲームでもスマホでも同じと思います)。「1日1時間まで」というように時間で制限をしたり、「勉強(あるいは片付け、食事、お風呂など)を先にしてから」「夜寝る前はダメ」というようにタイミングで制限をしたりするパターンが多いと思います。

まず我が家の決めは次の通りです(不登校である事情は踏まえてイメージしてください)。

・朝の8時30分から17時30分の間
・見たい時間は自分で決めてよく、1日3時間まで

紆余曲折ありましたが、この運用に落ち着いて概ね2か月程度たちました。不登校になって3か月目くらいに固まったイメージです。上記のように決めると、6歳の子供ですので楽しみは後にとっておくといったことはせず、朝の8時30分から見始め、まず3時間見ます。使わせているPCにインストールしたフィルターソフトの機能を使って、「使っていい時間帯(8:30~17:30)」「使っていい時間(180分)」を登録しており、3時間がたてば5分前にメッセージが出たうえで自動的に切れます。

以前、親が例えば「(〇時になったから、あるいはこの動画を見たから)はい、おしまい」と切ってしまうと、そこから「なんで」「もっと」と泣き叫んで、最低でも30分から1時間は攻防になりましたが、今は時間が来て切れると自分で納得して「もう終わりか~」と切り上げます。たまに「もっと見たかった」ということはありますが、「もっと見せて」とは言いません。

なお、「〇〇をしてから」といった、ほかの条件も付けていません。但し食事の時だけは中断することということだけは約束し、それも守っています(中断したときにフィルタの時間制限を消費しないように注意しないといけないですが)。

2か月前、これまでと何を変えたのでしょうか。ご想像のことと思いますが、「話し合って、子供自身がルールを決める」ということを行ないました。まず時間については、「1日に何時間見たい?」と聞きました。すると息子は「8時間」と答えます。それに対して「そんなのダメ、長すぎる」と言ってしまいたくなるところをぐっとこらえて、「う~ん、ちょっと長すぎると思わない?」と考えるよう聞き返します。こっちから「〇時間でどう?」とも言ってはいけません。あくまで息子に考えて答えさせます。

次に息子から出てきたのは「プリント5枚やれば5時間」という提案でした。実はそれまで、不登校になってなんとか家でプリントだけでもさせなければと思い、YouTubeと引き換えにやらせていた時期もありました。逆に「今日はYouTube見なくてもいいからプリントもやらない」となってしまったこともあり、親子ともどもなんのためにプリントをやっているのか(息子にとってはプリントの中身自体は難しいものではなく面倒なだけと思っていたようです)虚しくなってきたこともありました。ということもあり、提案に対して「勉強とYouTubeは別々に考えよう。YouTube見たいから勉強、っていうのはおかしいと思わない?」と話しました。

さらに「(見ていい時間を)パパが決めていいよ」とも言ってきました。この辺りはなかなか頭がいいなとも思いました。「息子が自分で決めた」という形にしないといけないと思っていましたので、「パパは〇時間くらいがいいと思うけど」と喉元まで出かかっていたのをぐっと押さえて、「いや、自分で決めて、自分で守ってほしいから、どれくらい見たいかは決めて」と返しました。

結果、「1日3時間(勉強等の交換条件は一切無し)」で落ち着きました(実際は上のようにすんなり進んだわけではなく、1,2週間かけて試行しながら決まりました)。正直、3時間はちょっと長いかなとも思いましたが、実際1時間や2時間では満足できないだろうなとも思い、妥結しました。

またこのときもうひとつ、「昼間に限る」(夜寝る前は見ない)ということを取り決めました。これは「パパからの要望」として伝えたものです。「寝る前の時間に動画等を見ると気持ちが興奮してしまって、夜の眠りが浅くなる」と理由を説明したところ、本人も納得しました。今は寝る前の時間にYouTubeを見たがることはありませんし、毎日21時の就寝を守っています。以前、寝る前に見せていたころは、21時に寝るよといってもなかなか切り上げられず、無理矢理切ってもバトルになってしまって、22時近くまで寝ないということもありました。

このように「時間」については、交換条件を付けずに子供自身に決めさせて守らせる、ということが効果的です。信じられないかもしれませんが、悩まれている方はやってみてください。「勉強をしてから」等といった交換条件を付けたくなりますが、話し合って決めた一定時間(我が家の場合、昼間に3時間)は無条件で好きなように見てよい、と認めるのがよいと思います。


「時間」「内容」とも、子供と話し合って、親が守ってほしいこととその理由を説明して、子供自身に決めるという形にすれば、子供が自分で制御できることがわかりました。親と約束した「決めた時間」「「一線」を超えない範囲で」という条件の範囲内ではありますが、好きなようにしていいと認められれば、子供も自分で守るようになります。とにかく「親が決めたルール」を一定範囲で徹底的に取り除くことがポイントです。

かつて育児書で読んだ時には「子供に決めさせるなんて…」「そんなことをすれば好き放題で歯止めが利かなくなる…」と思いましたが、実際にやってみるとそんなことはないことがわかりました。子供の「自治」を認める最初の1歩と位置付けて向かい合ってみるのがよいと思います。


最後に、1点だけ触れていなかった注意事項があります。もったいぶった書き方でも申し訳ありません。敢えて触れなかった点で、ここまで読んでくださった方にとってもひょっとすると残っている危惧の点かもしれません。

最後にまとめとして次の記事で触れたいと思います。





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