子供の見るYouTube、なぜ親は抵抗があるのか(その2)

どこの家でも同じような悩みを抱えておられると想像する子供のYouTubeとの攻防問題(ゲームやスマホでも本質は同じかと思います)。我が家でも「ルールを守る」ことを約束させたうえで与えたものの、子供がルールを守るわけもなく、果てしなく続く攻防にエネルギーを使い、神経を擦り減らすことに。加えて我が家の場合はそこに不登校が加わり、「学校は休んでいいよ」というのは迷いがなくても「YouTube好きなだけ見てもいいよ」とは思えず、ますますややこしい問題に…。

そこからどのように落ち着いたのか、を書く前にもう少し、なぜ親は子供の見るYouTubeに抵抗を感じるのかを考えてみたいと思います。

大きく「時間」と「内容」の二つがあります。これは子供を管理しようとするときの守らせようとする2つのルールと対応しています。


先にまず「内容」についてです。まずこちらについては、少なくともどんな動画を見ているのかは把握する必要はあると考えています。子供に対しても「インターネットはあらゆる人と繋がっているのだから、中には悪意のある人の動画もあるかもしれない」ということをきちんと説明して「親から見て『これはダメ』と判断した場合はそれを見ない」ということを約束させる必要があります。これはきちんと理由を話せば子供も納得します。説明の際に、具体的な例の話をしてもいいと思います。「(ものを壊す、盗む、といった(※「殺す」までは言わなくてもいいでしょう))悪いことをしてもいい、こうすればできる、ということを言う」「子供が見たがるような動画を装って、残酷なことや気持ち悪いことを見せようとする(いわゆるエルサゲート)」などを話せば、年長から小1くらいであれば十分理解できます。その理由を納得すれば、親のそばで見なさい、というルールもきちんと守ります(将来の思春期になればまた別の話でしょうが)。

あとは親がダメと判断する「一線」を超えない限りは、何を見ても口出しをしない、好きなものを好きに見させることです。しかしこの線引きが意外と難しいのです。最もよくあるのは、親としてはつい「役に立たないもの」「気に入らないもの」を見ていると止めてしまうことです。


例えば具体的には、新品のおもちゃをひたすら開封していく「開封動画」。まず新品のおもちゃを山積みにして、ただひたすら開けていく動画です。うちの子の場合は「プラレール」が大好きだったので、プラレールの開封動画を次から次へと見ていました。うちの子ははまりませんでしたが、カプセルトイをひたすら開けていくという動画も多いと思います。次第に同じ系統で、おもちゃの新製品を大人買いして紹介していくユーチューバーを見つけて、それにはまって行きます。おもちゃの新製品を紹介するものや、マクドナルドのハッピーセットなどのコレクション系のものも多いと思います。

このおもちゃ開封系の動画、よほど言葉遣いが汚いとか、無駄遣いする(例えばわざと壊す)とかでなければ、「一線」を超えてはいません。しかし親としては嫌悪感を抱いてしまいます。

ひとつは「こういう動画を見て、次々と欲しがるのではないか」という危惧でしょう。私もそう思っていました。しかし我が子の場合の経験則ですが、結果としてそれは杞憂でした。確かに動画で新しいおもちゃやファーストフードのおまけを知って、欲しがることはありましたが、普通に買ってもいいと思えるときには買ってあげる、ダメな時には我慢しなさいという、という範囲で十分コントロールできました。動画を見ているから次々に欲しがる、ということはありませんでした。

もうひとつは「(際限なくおもちゃを買うという)贅沢な常識が身につくのではないか」という不安ですが、これも上記の動画を見て欲しがるということはないのと同じく、例えば買ってもらったおもちゃを粗末に扱うというようなこともありませんでした(早く飽きてしまうことは多いですが)。それよりも、実験をしたり、おもちゃを改造してみたりすることで好奇心を刺激するようなものもあり(プラレールでおもしろいコースを作ったり、モーターを交換したり)、それはそれでいいのかなと思えるようなこともありました。

むしろ親の感情としては、おもちゃを買って紹介するYouTubeで生計を立てることに成功しているユーチューバーへの嫉妬が原因だろうと思っています。


うちの子の場合、6歳になった頃に、おもちゃの開封系の動画には飽きたようでほとんど見なくなりました。次にはまったのはクイズ系の動画です。これは親の自分自身が好きなのでそれを横で見ていて(PCを与える前は一緒に見させて)、好んで自分から選んでみるようになりました。

これは親としても一緒に見ていてもまったく苦痛にならないし、新しい知識がどんどん身についていくので、これなら見せても問題ないなと思いました。ちょうどそのタイミングで、息子用にPCを購入しました。これは今でも好んで見ていますし、時間さえコントロールできれば(時間については後ほど)問題ないなと思えてきました。


ところが、半年ほど経過した頃、ちょうど不登校になるかならないかの頃に見始め、今でも好んで見ているのが「ゲーム中継」の動画です。今回はゲームについては触れていませんが、「マインクラフト」を好んでするため(ゲーム解禁したのはPCを購入したときと同じタイミングです)、マイクラ系のゲーム中継の動画を見るようになりました。いま、見る動画の9割以上がマイクラのゲーム中継です。

最初に好んで見始めたのは、マイクラでのテクニックを紹介する動画です。特に「最初に始めるならこういうことからやってみましょう」という解説の動画で、これは特に問題を感じることはなく、実際にいつのまにかその通り自分でやってみたりして感心すらしていました。

ところがその後、いつのまにかよく見るようになったのが、3~4名程度のプレイヤーがゆるくゲームをやりながらおしゃべりするのをひたすら流すというものです。まったく主観的だというのはわかっているのですが、これを見ているのを横で見ている(聞いている)と、親としてはイライラしてたまらないのです。

プレイヤーのリーダー(そのチャンネルのユーチューバー)の言葉遣いが若干汚かったり(例えば同じメンバーの女のプレイヤーの一人を呼び捨てにしたりなど)するのですが、冷静に考えれば「一線」を超えているというほどではないことはわかっています。「学びがない」というのはありますが、そもそも楽しむものに「学び」は必須ではありません。息子はただ楽しいから好んで見ているのはわかっています。ただ、親としてそのユーチューバーと相性が合わないのです。

テレビの嫌いなタレントと同じ感覚です。冷静に考えて、公序良俗に反していないのであれば、好きに見させてやればいいのはわかります。自分も子供の頃に好きなものを大人に否定されて嫌な思いをしたことは覚えています。でもどうしても嫌悪感を感じてしまうのです。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とはまさにこのことで、そのユーチューバーの声や話し方すべてがいらつき、そのチャンネルで使用しているBGMや冒頭及びラストの決まり文句を聞くだけでイライラしてしまいます。


YouTubeの特定チャンネルをブロックする方法がないかもさんざん調べました。結論から言いますと、特定チャンネルをブロックする機能はありません。おすすめ等に表示されない機能があるだけです。フィルタソフトを使ってチャンネルのトップページをブロックに登録しても、確かにそのページは表示されませんが一つ一つの動画のアドレスは全く個別に与えられているため、表示させないことはできません。キーワードを指定してのブロックもYouTubeには全く役に立ちません。

YouTubeプレミアムにその機能が無いかも調べましたが、こちらも「特定のチャンネルを表示しないようにする」機能はありませんでした。おそらくプラットフォームとして搭載する価値のない機能ということなのでしょう(動画を投稿する側から見ればあってほしくない機能ですし)。かろうじてYouTubeキッズには親が選んだチャンネルだけを見れるようにするホワイトリスト形式の機能がありますが、親が選んだものしか見せないとの選択は不可能で、これは幼児期にしか使えない機能でした。

結局、親として子供に「見せたくないチャンネルを見せないようにする」ことは不可能です。公序良俗に反するチャンネルの場合は、「通報」機能がついているでしょう、ということです。


最初に子供と約束した「一線」を超えていない限り、自由に見させるしかありませんし、親が見せたくない理由は「嫌いなテレビのタレント」と同じ理由でしかないので(加えてそのユーチューバーへの嫉妬心)、子供が見たがるものを制限する理由にはなりません。

解決策は「距離を取る」ことです。我が家の場合、横では見させていますが、その動画を見ている際には親がイヤホンをして音楽を聴く、別の動画を流すなどでなるべく気にしないようにしています。なおイヤホンは片側だけにして、もし不適切なものを見ていると判断したら止めるようにはできるようにしています。6歳の息子にイヤホンを使わせるのは嫌なので、それは大人が我慢するようにしています。子供にとっても「(好きなものを見てもいいけど)親が見ている」ということは意識させる必要はありますし、理解しています。

息子には、「パパはそのユーチューバーは嫌い」とはっきり伝えています。「但し、(「一線」を越えるようなものがなければ)息子が好きなのは否定しないし好きなように見ていい」と伝えるようにしています。息子は息子でそれなら音を小さめにするなどの気遣いもするようになり、お互いの「好き」「嫌い」を認めることが答えだったということに気付きました。


続きます。





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