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めざせ猫の理想郷!猫が快適に長生きするための環境づくり

こんにちは!犬猫の獣医師、あんじゅ(@vets_magazine)です。

  • 猫の理想の飼育環境を整えたい!

  • 猫はストレスに弱いって聞いたけど、どうしたらストレス無く快適な生活を送らせてあげられるかな?

という飼い主さんのための記事です。

猫はストレスに弱い動物。

他の猫との関わりや、お客さん、騒音など、様々な刺激に対してストレスを敏感に感じる動物です。

また、猫に多い慢性腎臓病や、嘔吐の散発などは、環境次第で悪化を防ぐことができます。

この記事では、「獣医師が勧める猫の理想郷の作り方」と題して、猫の飼い主さんが知っておくべき事項をまとめていきます。

猫の飼い主さん全員に一度目を通していただきたい記事です。
取り入れられる部分から取り入れて、飼育環境を整えていってください!

猫のストレス対策

猫さんにストレスがかかると、以下のような疾患のリスクが上がります。

ストレスによって発症しやすい疾患

  • 猫特発性膀胱炎

  • 舐性皮膚炎

  • 急性嘔吐・下痢

etc.

猫には原因不明の膀胱炎(特発性膀胱炎)が多いのですが、「ストレス」がきっかけになることが指摘されています。

実際の診療でも感じますが、ストレスがきっかけの1つであることは確かです。

例えば、特発性膀胱炎と診断した猫の飼い主さんに話を聞くと、

  • そういえば昨日来客があった

  • 最近隣の部屋で工事していて音がうるさい

  • 同居の猫が先日亡くなった

  • 娘さんが新型コロナウイルスの濃厚接触者になってしまって、ご自宅にいる人間の数が増えた

  • 急に寒くなった

みたいなことは、あるあるです。

こういった環境の変化は、猫にとっては十分にストレス要因となります。

思い当たる原因がある場合、原因を取り除けるのであれば、なるべく早く取り除くこと。

そして、お部屋の構造自体を、猫にとってストレスの少ない環境に整えてあげることも重要です。

例えば、キャットタワーなどで、高いところに猫の居場所を作ってあげるとか。これ、結構効果的な対策です。

隠れ場所を作ってあげるのもいいですね。

また、勘違いされている飼い主さんも多いのですが、猫も基本的にはかまって欲しい生き物です。

おもちゃで遊ぶ時間も、必ず作ってあげてください。

以下の記事で、ストレス改善アイテムを詳しく紹介しています。

猫の理想のトイレ

猫はトイレのこだわりが強い動物です。

トイレが気に入らないと、トイレ以外の場所での粗相が増えたり、オシッコを我慢することが増えるために尿路トラブルのリスクが上がります。

代表的なおしっこトラブル

  • 尿路結石

  • 特発性膀胱炎

猫にとっての理想のトイレはこれ↓

お外の砂場です。

野良猫さんが、砂場や畑で用を足しているのを、見たことないですか?(私は田舎住みだからよく見ます。)

だだっ広くて、キレイな砂が豊富にあって、用を足したあとにしっかり隠せること

これが猫が追い求める理想のトイレです。

これをお家の中で実現しようとしても無理ですから、なるべくこれに近い条件のトイレを用意してあげましょう。

今のトイレを気に入ってくれているかどうかは、トイレいやいやサインが出ていないかどうかで分かります。

トイレいやいやサイン
トイレのふちに前足をかけて排泄する
猫砂以外のものをかく(床とか壁とか空中とか)
排泄後の砂隠し行動がない

どうですか?

これらの徴候が1つでもあるようなら、以下の記事をもとにトイレの見直しをしてみてください。

猫の長生きの秘訣はお水を飲むこと

先日、こんなツイートをしました。

そう、猫さんの健康対策の1つは、「水分をたくさん摂取すること」です。

猫の先祖はもともと砂漠の生き物。

少ない水でも生きていけるよう、腎臓が濃いおしっこをすこーしだけ排出するように進化してきました。

でも、濃いおしっこを作ることは、腎臓に負担をかけます。

次第に腎臓にガタが来て、慢性腎臓病を発症するのです。

腎臓の負担を減らすための一番の対策は、たくさんお水を飲むこと。

また、お水をたくさん飲むことで、特発性膀胱炎や尿路結石を予防できるので、おしっこトラブル全般に効果があると言えるでしょう。

・・・とはいえ、猫にたくさん水を飲みなさいと言ったところでゴクゴク飲んでくれるわけではありません。

ちょっとした工夫が必要になりますので、以下の記事を読んで対策してみてくださいね!

猫の嘔吐対策

猫さんは嘔吐が多い動物。

原因は様々です。

毛玉を舐め取りすぎて吐いたり、ガツ食いしすぎて吐いたり、逆に空腹過ぎて吐いたり、ごはんが合わなくて吐いたり。

中にはやばい嘔吐のときもあります。見分け方は以下のnoteて解説しました。

上記の記事内でも解説した通り、元気食欲があって1〜2回吐いただけなのであれば、特別な治療をせずにそのまま様子をみることが多いです。

「吐き戻しは月に数回程度なら許容範囲ですよ!」と獣医さんに言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、嘔吐は嘔吐です。

私達人間だって、嘔吐したあと結構体だるくなりませんか?嘔吐って、体力を使うんですよね。

健康上は問題なくても、猫さんのQOL(生活の質)向上のため、できるだけ回数と頻度を減らしてあげたいところ。

嘔吐を減らすためには、まず食事回数を見直しましょう。

猫は少量を頻回に食べる生き物。1日のフード量を4〜5回に分けて給餌すると、それだけで嘔吐の頻度が下がる可能性があります。

「日中は仕事があるし、1日4〜5回は難しいなあ・・・」

という方は、自動給餌器を導入してみてはいかがでしょうか?

決められた量を決められた時刻に自動で給餌してくれるので、少量頻回給餌が楽にできますよ!

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それから、食餌のお皿の高さも工夫しましょう。

餌のお皿を床に置いている方は、少しだけ高さをつけてみてください。

猫が、首を下げなくても食べられる位の高さに、お皿を設置するのです。

以下の商品のような、もともと脚が付いているフードボールでもいいかもしれません。

そんなちょっとした一工夫だけで、食道から胃へとごはんが流れやすくなるため、嘔吐回数が減ることがあります。

まとめ:猫の理想の館は完全室内でも作れる!

よく、「猫はお外を自由に散歩できたほうがストレスが無くて幸せなんじゃないか」という主張を耳にします。

確かに一理あるかもしれません。なんたって理想のトイレは砂場ですからね。

ただし、外猫さんにはいろんな危険が降りかかるのもまた事実。
事故、喧嘩、寄生虫感染、飢餓・・・
外を行き来する猫の平均寿命は、完全室内飼いの猫よりも2.5歳も短いのです。

そして、屋内でも猫の理想の飼育環境を作ることは可能です。

この記事を参考に、今よりちょっと、猫さんとの生活が素敵なものになることを祈っています。


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