雪歩「ふぇぇ……真ちゃんが男の人になっちゃった……」

雪歩「どうしてこんなことに……」

真「それはボクの台詞だけどね……と、とりあえず服はまあ良いにしても……」

雪歩「一番の問題はトイレ、だよね……」

真「いや、ボクが気にしてることは雪歩がボクのことを怖がりやしないか、ってことだけだよ。はは……」ドヨーン

雪歩「真ちゃん……!」キュン

真「ボク、雪歩に嫌われでもしたら、生きていけないかもしれない……」グスッ

雪歩「ひぅっ!?」キュキュン

真「お願い雪歩! ボクのことを避けたりしないで、これまでみたいに、一緒に――――!」

雪歩「お、おっ、落ち着いて真ちゃん!?」

真「ああ、雪歩! 雪歩っ! 雪歩ぉおおおお!」ダキッ

雪歩「ひゃう!? ちょっと真ちゃ……離し……」ドギマギ

真「離すもんか……! 今、離したら雪歩が何処かに行ってしまう!」

雪歩「そんなこと……」

真「そんなの……耐えられないんだ……男になって、女の子として大切なものを全部失って、雪歩まで失ったら……」

雪歩「真ちゃん……(弱気な真ちゃんとか反則だよぅ)」

真「雪歩……」ソッ

雪歩「真ちゃん、瞳が……近――――」ポエー

真「――――あっ!? ごめん!」バッ

雪歩「う、ううん……大丈夫」

真(なんでだろう、ボク、雪歩に嫌われたくないって思っただけなのに……今は……もっと、雪歩を抱きしめたい、なんて……)ドキドキ

雪歩(はぅ~~~……今まで男の人って怖いだけだったけど、真ちゃんに抱きつかれて私、すごくドキドキしてる……?)ドキドキ

真「そ、そうだ……! 今のボクなら元は女の子なんだし、少しは雪歩の男性恐怖症を克服する手伝いが出来るんじゃないかな?」

雪歩「――――え? ええ……?」

真「ほら、最初は手を繋いだりして、さ?」

雪歩「だ、ダメ! そんなの――――」

真「そ、そうだよね……」

雪歩(――――真ちゃんに近寄られただけで心拍数が上がるのに、手なんて繋いだらドキドキで死んじゃう!)

真(ああ、雪歩に嫌われたかもしれない……どうしよう……でも雪歩と……)

雪歩(真ちゃんと……)

真・雪歩(手を繋ぎたい!!!)

真(でも、断られちゃったし……)チラッ

雪歩(でも断っちゃったし……一言、お願いしますって言えてたら……うう、私ってやっぱりダメダメですぅ~……)ウルウル

小鳥(頑張って! 頑張るのよ二人共!)

P(ああ、俺たち居たんっすね。そういう設定なんですね)ヒソヒソ

小鳥(しっ、プロデューサーさん! ここは黙って二人を見守りましょう!)ヒソヒソ

P(あ、はい)

真(くそう……雪歩と手が繋ぎたい! どうすれば良いんだ? どうすれば自然に雪歩の手を……)←思春期の男子脳

小鳥(ああ、真ちゃんの苦悩する表情、すごく良いっ! そそるわっ!)←純然としたカップリング脳

P(なんか、見てるこっちまでドキドキしてきたぞ……思えば俺にはこんな絵に描いたような青春時代が果たしてあっただろうか……? いや、無かった……思えば寂しい青春だったな。だからこそ、アイドルをプロデュースすることで、カンバック青春を謳歌しようとこの業界に入ったのに……それが今はどうだ? プロデュースしてきたアイドル二人が自給自足の青春を……くそっ! 俺も混ざりてぇええええっ! リア充どもめ!! もうさっさとくっついてリア獣と化しちまえ!!)←ダメな大人脳

雪歩「ま、真ちゃんっ!!」

真「はっ、ハイ!」

雪歩「私! 真ちゃんなら怖くないよ! ほら、手だってこうやって――――」ギュッ

真「っ!?//////」

小鳥「エンダあああああああああああ!」ガタッ

P「嫌ぁああああああああああああ!?」ガタッ

雪歩「ぷっ、プロデューサー!?」

真「っと、小鳥さん!?」

小鳥・‘P「あっ、しまった。興奮が最高潮に達して我を忘れて……」

真「あれ……?」

雪歩「どうしたの、真ちゃん?」

真「下半身に違和感というか……なんか、むしろ長年付き合ってきた友達に会えた時のような……」

雪歩「それって……!」

真「も、戻ってる……! 元に……女の子の身体に……!」プルプル

小鳥「そんな……」ガクッ

P「いやいや、そこは喜びましょうよ」

雪歩「よ、良かったね! 真ちゃん!」

真「うん!」

小鳥「ちくしょう! おい、プロデューサー! たるき亭押さえとけ! 今日は酒を浴びて寝るのよ!」

P「あ、はい。もしもし、たるき亭さん? Pですけど、お一人様ご案内で――――」

小鳥「おめえも付き合うんだよっ!」ガチャッ

P「……に、二名で今から行きます。はい……」バタンッ

真「お……お疲れ様ですプロデューサー」ボソッ

雪歩「よ、良かったね、元に戻って……」

真「う、うん」

雪歩「さっきね、ホントは私、すごく無理してたんだと思う」

真「そう、なんだ?」

雪歩「うん。手だってこんなに、汗ばんじゃって……」グッパグッパ

真「あはは、ボクも……かもしれない」

雪歩「やっぱり、こうやって気楽に手を繋げる方が良いよね♪」

真「そうだね、うん♪」

雪歩「えへへ、少し残念な気もするけど。真ちゃんカッコよかったし」

真「えええっ!? もう、雪歩ったら!」

雪歩「ふふっ♪」

――――――
――――
――

次の日。

小鳥「あったま痛い……」ガンガン

P「同じく……」

真「もう、二人共良い大人なんだから少しは自制を心がけてくださいよ……」

小鳥「カッコイイ大人って言うのは、後先を考えないものなの……!」

真「それのドコがカッコイイんですか!?」

雪歩「真ちゃん!」バンッ

真「ああ、おはよう、雪歩」

雪歩「私、男の人になっちゃったよぅっ!」

P「おや?」

小鳥「ktkr!!! この王道パターンこそ至高! 天丼最強!」

真「えぇええええええええ!?」

雪歩「真ちゃんが女で、私が男……! これで、何も問題無いよねっ!?」フンス

真「問題しか無いよっ!?」

                                                             おしまい。

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