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おならおばあちゃん

            笹米 あんこ

 おばあちゃんは、みっちゃんのお母さんのお母さん。

特技があって、それはおならをすると物忘れができるということ。

「みっちゃん、このスマホっていうのは、どこにボタンがあるんだい?」

おばあちゃんはみっちゃんに聞きました。

みっちゃんは、丁寧にスマホの使い方を教えてあげました。一通り伝え終わった後、

『ぷうぅ』

おばあちゃんはおならをしてしまいました。

みっちゃんはがっかり。

「あ、あららら。ゴメンなさいね。我慢していたんだけれどね。それで、スマホは?」

おばあちゃんはもう一度みっちゃんから説明を受けました。

 ある日、みっちゃんのお家の前を、焼き芋を売る焼き芋カーが通りかかりました。

みっちゃんの大好物の焼き芋です。

おばあちゃんは、みっちゃんに喜んでもらおうと焼き芋を買いに出ました。

「焼き芋の車さん、停まってちょうだい」

「あいよ。今日は安納芋と金時の二種類があるよ。どっちがいいかい?」

『ぷうぅ』

「へ?」

「あららら、ゴメンなさいね、ついおならが出てしまって。それで、何と何の種類ですって?」

「ああ、安納芋だよ。それと鳴門金時。どっち?」

「それって、どんな違いがあるの?実は孫が大好きでね。孫に喜んでもらいたくって。」

「お孫さんのね、そうだな、安納芋は最近人気の芋だよ。甘くってビタミンCやβカロテンが含まれてる。ねっとりした焼き芋が好きなら断然安納芋だね。」

「へえ、安納芋って、みやびなお名前ね。それで、もう一方はなんだっけ?」

「鳴門金時だよ。こっちは芋の王道かな。ブランド芋って感じだよ。ほくほくで昔ながらのだけど、ちゃんと甘さがある焼き芋が好きだったらこれに決まりだね。で、どっちにしようか?」

『ぷぷぅ』

「あらららららら、ヤダわ〜。」

「いやあ、おならはお腹が動いている証拠、いいじゃないの」

「まあ。お恥ずかしい。それで、なんだっけ?えっと、確か、二種類の芋が…」

「もう、ばあちゃんったら。安納芋と金時!」

 この時、焼き芋のお兄さんはおばあちゃんが、ただのボケ老人だとしか思っていなかったのです。

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