おならおばあちゃん 2発目
笹米 あんこ
今日は、おならおばあちゃんと、ホクロおじいちゃんのお話。
おばあちゃんと、おじいちゃんは結婚して35年。
二人はケンカするほど仲がいい。
だって、いっつもおばあちゃんがおならをすると、おじいちゃんは
「おい!いい加減にしろ!」と、大きな声を出す。
35年間、ズーーーットだよ?
そして、おばあちゃんは機嫌が悪い時にはいつもおじいちゃんに八つ当たりをする。
「あーら、あなた、またでっかい鼻くそついてるわよ。」とか
「ちょっと、おでこにアリンコつけてふざけてるの?」とか
おじいちゃんのホクロをいじめる。これは定番。
そんな二人が、いつもみっちゃんと僕のことを笑わせてくれる。(みっちゃんは姉さんだよ)
おばあちゃんとおじいちゃんは、自分の子供よりも孫を育てることの方が 夢中になれるらしいからね。
実は、孫ができるまでは本気でいがみ合っていた夫婦だったけど。
母さんが早い年齢で僕たちを産んだから、離婚しないで済んだんだって。
母さん、ナイスって僕は思ってるよ。最近会ってないけど。
ま、そんなことはどうでもよくて。
だって今日は、おばあちゃんから昔聞いたことのある、おじいちゃんの プロポーズの話を思い出したんだ。
それはね、おじいちゃんとお付合いをしてまだ間もない頃。
とっても気があって、優しくて、おじいちゃんがおばあちゃんに惚れ込んでいるのは確実だったから、この男性となら結婚もいいかもって思っていたんだって。
でも、どーーーーーしてもホクロが気になった。
最初の方は、今ほどそんなに大きくなかったらしいんだけど。おばあちゃんの友達に彼氏の写真を見せると、
「こんなに顔にホクロがある人見たことない!これじゃ、ホクロ占いの占い師泣かせだね。だって、金運最強の場所にホクロあるでしょ?でも、金運最低のところにもホクロあるもん!これは、顔のホクロでバトルしてるんだね。将来が楽しみだから、結婚してみてよ」
なんて、笑い者にされていたんだって。
それで結構おばあちゃんは悩んだらしいんだよ。
写真を持って占い師のところへ行ったり、整形外科のチラシを穴があくほど眺めたり、神社で神様になんであの人のホクロを!なんて文句言いに行ったりしたって。
でもね、好機がやってくるんだよ。
ある日、おばあちゃんはおじいちゃんと一緒に寝ていた朝方。
おばあちゃんが先に起きちゃったんだけど、隣で静かにおじいちゃんが起きるのを待っていたんだって。
そしたら、急におならがしたくなっちゃった。
でも、まだおじいちゃんとはおならをするほどの仲になっていなかったんだ。
きっと、おならをしたら嫌われちゃう! やだ!でも、もう出ちゃいそう!!!どうしよう。
ううん、大丈夫よ、まだ寝てるもの。
え、もしおならの音で起きちゃったらどうしましょう。
それも平気、策はある。スカせばいいのよ。よし!
おばあちゃんは、おならのプロだったからおならをブッスカす事くらい容易かった。だだ一つの誤算を抜きにして…
あまりの衝撃でベットが揺れておじいちゃんが起きちゃったんだって。
そりゃそうだよね。いつもおならをブッスカす時は空中で、ベットが壁になってしまうなんて。完全におばあちゃんの経験不足が仇となった。
とっさに、おばあちゃんは地震よー!!!って誤魔化したけどすんごい臭いで、おじいちゃん
「屁こいたな!!!!!!」
って、寝起きで大きな声が出たんだって。
その言葉がプロポーズの言葉よ。って、おばあちゃん言ってた。
僕はすっごく面白かったけど、母さんとみっちゃんには、お友達とかネットとか、お外で絶対にこの話しをしてはダメよって口止めされたな。
実はね、おじいちゃんが身体のいろんなところにホクロを書き足していることを知っているのは僕だけなんだけどね。
なんでそんなことしてんの?って聞いたら、
俺のホクロがないと、ばあさんおならをぶっ放せないだろ?って。
愛だね。
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