黒執事「寄宿学校の秘密」~友人Sに寄せて~


私の黒執事の感想をツイートしたところ、原作大ファンの友人Sから(今回も一緒に観劇しました。)まるっと2時間オーバーのフィードバックを頂きました。(この、お花畑!と罵られながら。)黒執事を愛する彼女の熱い思いを(勢いあったので、、)忘れないように文字にしておこうと思う。

※ネタバレあります※

Sちゃんの話を要約するとこんな感じ。

・不要な場面と必要場面が整理されていない。

S「まず、冒頭の振り返りシーン、これは豪華客船のみでいい。寄宿学校にあまり関わり無いシーンの演出は不要。原作見てないと混乱しちゃうし、原作見てても混乱したわ。同様に1幕中盤以降のシエルの夢、あのシーンは完全に蛇足!黒幕である校長が葬儀屋だった!という(想像はついているが)驚きが半減してしまっている。葬儀屋(葬儀屋でというと語弊があるが)を出したいのであれば、セバスと葬儀屋の追いかけっこのシーンが必要不可欠。いやいるだろう。中途半端に葬儀屋を途中で出すからやっぱ最後が締まりきらない。このEPの面白さが原作未読のファンには誤って伝えられているのではないか!!!」といったようなことを捲し立てていた。(彼女は燃えているのだ。)

原作ありきの舞台は、やはり原作ファンも多い。その視点から物事を見ると気付きが多いものだ。確かにSが言う通り、必要な場面と不要な場面を整理すると、「なるほど、面白い。」と感じた。まず冒頭シーンは、豪華客船のみの方が話の流れが掴みやすい。おもちゃ箱のように場面を詰め込まなくてもいい。そこにお得感は必要ないのだ。(立石君見に来たファンも、もっと朗々と歌う彼が見たかったんじゃないの?とはS評である。)黒執事には「余白と余韻」が不気味さ、いい意味での後味の悪さを醸し出している部分がある。対して今作は「忙しい」が過ぎる。だから、演出も曲もキャラクターでさえも記憶にうまく残り辛いのかも知れない。(あ!でも立ち回りのシーンは良かったらしい。動ける役者さんキャスティングしたな。脚が長いので、迫力あったよね!)(不要なとこ無くせば、セバスソロなりお茶会シーンへの流れにもっと時間割けたのでは?S様、仰る通り。)

・要所要所の創りこみが甘い!!原作に敬意を払わんかい!

S「クリケットシーンさ、あれもっと振り切ろうよ。テニミュオマージュ上等(原作でも「たるんどる!」言うてますからね。言ってたよね?)技名出てきたりとかして、まんまじゃん。何のためにそういう舞台を経験した役者使ってんだ。原作ではラップとか無いし。さらっとやらずにテニミュ張りに真剣に振り切ったクリケットしてくれ。変な振り付けして技名やらんでくれ。舞台だから踊っても歌ってもいいけど。」

あら、珍しい。この黒執事あるまじき演出は、彼女にとって地雷だったのではないかと危惧していたのだが。中途半端なところがお気に召さなかったようだ。確かに、ラップバトルしか印象にない、、かも。紫たち可愛かった。

S「そんで、役者も音楽も演出も甘いんだわ」左様ですか。。(もう、ヒートアップである。ここまでくると何故か私が敬語を使う始末。)S「原作への忠実さが欠如している、どこ目指してるのか分からない。振り切った演出のクリケット、そしてダークさ満開のお茶会からの流れ、なんともやるせない結末。それが寄宿学校編。他のEPとは違う魅力いっぱいのお話。今回そのどれもがさらっとしていた。前作までの舞台を裏切らないように、新しい風を吹かせたい、、違う。意識するのは、原作!前作までのキャストでも舞台でもない!!!」

正直はっとした。2・5次元作品に属する舞台は原作をいかに舞台上で生身の人間が表現するのか、その完成度の高さが観客に満足感を抱かせる。前作までの舞台が偉大だったのは「覚悟」と「原作に対する敬意」が表現されていたからだろう。(いや、確かに松下さん・古川さん期に比べると役者さん自体の純粋な経験値などに差はある。そればかりは、まぎれもない事実。)しかし、観客は元より今作に松下さん・古川さんのカンパニーが出演しないことは分かったうえで「黒執事、寄宿学校」を観劇しに来ているのだ。楽しみに観劇に出かけるのだ。キャストの実力不足、若い演出家、、そんなものはただの言い訳である。プレッシャーを感じ過ぎて、どうする!!「新生」と歌っておきながら、バチバチに前作までを意識している、その「覚悟の甘さ」が今作の「悪くはないが、よくもない」「思っていたのとは違うかも。」といった感想を抱かせたのかもしれない。今作のカンパニーが舞台上で表現したいもの、伝えたいこと、自信満々にもっと魅せてほしい、敬意と覚悟を持って。原作も舞台もとてもステキで熱狂的なファンも多い、とてつもなく愛されている作品なのだろう、黒執事は。難しい作品である。

Sちゃんに、次回あっても観劇しない?と尋ねてみると「いや、するね。順当にいけば緑の魔女でしょ。絶対見たい。」とさらっとお答えになった。彼女の物事をフラット見る姿勢は、かなり尊敬する。私は「人の意見」に左右されるところがあるので「今回の生執事微妙らしいね、、。」と色眼鏡かけて初回の観劇を終えたので、まっさらな気持ちで観劇したわけではないのだ。(そもそも古川さん贔屓200%の時点でフラットではないんだけど。)しかし、終わってみるとどうだろう?案外楽しかった。今回の役者さんは割と粒揃いだと思うし。(S評にしても、悪くないと言った結論のようだ。しかし主演の立石くん綺麗な容姿が仇となっている、演技に説得力持たせないと歌えるイケメンな印象だけだぜ!)、、厳しい。ただ、彼は良くも悪くも目立つ。(しかも主演だしね。)舞台を観れば分かるが、パッと目を惹くのだ。(私が美人なタイプが好きってのもあるかもだけど。まあ好みだよね。)天性の華とは、羨ましい限り。次回は(あるのであれば)観客の目は更に厳しいだろうし、役者ファンの目も「更にいいものを!」と求められるだろう。美しさだけでなく、たくさんの経験を積んで、今回とは違った姿を魅せてくれることに期待!立石さん、頑張って!(無責任に応援しちゃうけど。ロミジュリも見に行くよ!たぶん立石さん回だったはず、、違うか?)

あまり関係ないけど、初座長だったのね!最後の座長挨拶、初々しくて可愛かった。S「あれは、ゆんの真似?(失礼すぎるでしょwまあ古川さんも、序盤ふわっとしてたもんね。そこも好きです。もちろん今は立派ですよ!)」キャストの皆が、見守るようにしていたのも可愛かった。仲良いんだろうな、いいカンパニーだと思う。歴史ある作品で、根強いファンも多い作品で初主演なんていいじゃないか。きっと次回作もあれば観劇に足を運ぶのだろう。前作までが全霊で創り上げた「極上の2.5次元」を体験させてくれることを切に願っている。(何度も言うけど、ぜんぜん私は今作もすきだよ!!ほんとに。もっと面白くなるはずなんだけど!とは思うけどね!)





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?