蜜蜂と遠雷 を読んだ。

女子大生書店員の読書感想文的なものです。書店員を名乗るほど沢山本を読んでいなくて申し訳ないけど読んだ本の記録のために書きます。

『蜜蜂と遠雷』を読み終わったところである。
著者は恩田陸さん。大変好き。好きです。

直木賞と本屋大賞をダブル受賞した作品で、確かにすごーく売れていた記憶がある。そういえばなぜかこの本を探しに来る方々がタイトルを微妙に違って伝えてくるから不思議だった。

まず装丁が素敵だ。本当にとても素敵。
パッと見でも素敵だし、何より読み終わってからもう1度眺めると、物語のいくつかの場面が頭に蘇る装丁だと思う。

この『蜜蜂と遠雷』だが、ものすごく読みやすい。結構ボリュームのある作品なので、尻込みする人もいると思うのだが、これは普段あまり本を読まない...という人でも読めると思う。特に、マンガは好き!という人にオススメしたい。何人かのメインキャラクターを、ひとつのコンクールを通して描いているのだが、全員が個性的で素敵だ。複数人の視点からコンクールを描いていて、それぞれの登場人物に切り替わりながら、それぞれの感情や背景を細かく描いているので、全く飽きない。それぞれの演奏の描写も、頭の中にその音楽の景色が想像できるぐらいに細やかなのに、本当にくどくなくて驚いた。それぞれの登場人物の個性と音楽の個性がぴったり合っていて、演奏の描写を通してキャラクターへの理解が深まっていく感じもまた、この本の読んでいて楽しいところだと思う。

私は読む前に、結構ボリュームのある作品で、しかもピアノコンクールについての話、と聞いて、コンクールものをこの長さで書くのか...私、最後まで楽しく読み切れるだろうか...と思った。コンクールものはとても面白いのだが、結構淡々としがちだと思っている。ドラマチックな話を書きやすい感じは確かにするけれど、コンクールというリアルにあるものを書くのにあんまりにも盛り上げてドラマチックにすると、リアルじゃなさすぎるコンクールになってしまう。それはコンクールものの面白さではないと私は思っているからだ。

『蜜蜂と遠雷』は、"コンクール"の面白さをこれでもかというぐらい味わえて、かつたくさんの主人公の人生を楽しめる本だと思う。たったひとつのコンクールの描写を通して、何人ものコンテスタントの人生とか、この先とか、そういうものが想像できる、すごい本だと思う。ここで描かれるコンクールがリアルかどうか、というのは、人によってたくさんの意見があると思うけれど、コンクールを描く小説として、リアルとドラマチックの間のちょうどいい部分を、信じられないくらい細やかに読みやすく描く物語だと思う。

ぜひクラシックを流しながら読んでほしい1冊である。ちなみに私は、Rafat Blechaczさんのショパンコンクール演奏リストずっと聴いていた。


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