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保護犬 猫 でビジネス?

犬猫の”取り引き屋”という業者があることをご存知でしょうか?
以前の記事で売れ残りなどを考慮せず繁殖させ続けるパピーミル、キトンミルと呼ばれる悪質な繁殖業者について話しました。

その悪質な繁殖業者が、疾患があって売れないと判断した子犬子猫、子を産めないと判断した繁殖犬猫や引退を迎えた繁殖犬猫をいつまでも抱えていられない(コストがかかる)ため引き取りを依頼していたのが”引き取り屋”です。

この引き取り屋は繁殖業者から引き取り料を受け取り余剰犬猫を引き取っていきます。
売れそうな子は格安で売り、売れないだろうと判断された子は散歩もされず、給餌も満足にされず死にゆくのを待つ、という信じられない内情が問題となっていました。
引き取り料を繁殖業者から受け取ることができ、更にこの子達の里親から譲渡費用をうまく取れれば、いいビジネスになると思いませんか?

ここに目をつけた人々が始めたのが”保護ビジネス”です。

繁殖引退犬猫や、疾患などでペットショップへ出られなかった子犬子猫を「保護犬・保護猫」と称して里親を募ります。
今まで遺棄されたり処分されていた命を保護し里親を探している…ということで一見いいことをしているように聞こえますが、闇があることも事実です。

繁殖引退犬猫や疾患のある子犬子猫をブリーダーから引き上げたと話す団体もいれば、そこを隠して”保護犬猫”とだけ伝える団体もいるようです。繁殖引退犬猫を扱っている=保護ビジネスであるというわけではないのでご注意いただきたいのですが、保護ビジネスを疑うべき業者 団体の特徴をいくつか挙げます。

譲渡条件1・・・
指定メーカーのドッグフードを◯年ぶん定期購
解約不可 もしくは契約しない場合譲渡費用+2万円など

譲渡条件2・・・
"指定"するペット保険の加入要
(審査要項になっている)

健康的な子ばかりを扱っているのであれば条件①の内容もまだわかります。しかし繁殖引退犬となると6、7歳〜の子が多くなり疾患がある場合、なくても今後出てくることも多くなります。疾患のある子犬子猫だと市販の一般的なフードが食べられない場合もあります。健康管理をするには食はすごく大切です。そんな子ばかりを扱っていて、譲渡されていく子の幸せを願っているはずの団体が、フードを指定するのはどういうことなのでしょうか?

②については、契約何件ごとかにインセンティブがあるようで
例えば先住犬が保険Aに入っていたとします。今度迎える保護犬も同じ保険に加入すると多頭飼いの割引のようなものが適応されるのでもちろん飼い主さんは保険Aを希望します、しかし悪質な団体だとこの契約が欲しいので、提携している保険Bへの加入は審査要項になっていて加入されない場合は譲渡不可、まずは1年だけでも加入してくださいと言われるようです。

その他、✳︎純血種ばかりを扱っている ✳︎生年月日が全頭分かっている…などを判断基準としている方もいるようですが、私はこの2点については慎重に判断すべきだと考えます。
繁殖引退犬猫や疾患などがあって市場へ出られなかった子たちにも幸せになる権利はあります。実際、引き取り屋などからの救出をメインでしているしっかりとした保護団体もあるので、純血種ばかり=保護ビジネスでは?と疑うよりも運営を見ての判断が大切だと思っています。

持ちつ持たれつ

”保護ビジネス”だとしてもしっかりと健康管理をし、里親との出会いの場を作り命を繋いでいるのであれば、命が救われているのであれば問題ないのでは?と言う人もいます。
ただ、「ビジネス」にするということは「仕入れ先がなくなってしまうと事業の継続ができない」悪質な繁殖業者と持ちつ持たれつの関係であることは明白です。

現に、私が働いていた保護ビジネス団体にも、まだ4〜7歳というのに歯周病のひどい子、何ヶ月もお風呂に入れてもらえていないであろう子、疥癬などで皮膚の状態があまりにひどい子など劣悪な環境下で繁殖がされていたことがわかる子がたくさん受け入れ依頼で来ていました。しかし、この自称保護団体は受け入れるのみ。その悪質な繁殖業者への指導は一切行われていません。これでは同じような状況の子を次々と生み出してしまうだけです。こんな団体のどこを保護団体と言えるでしょうか。

動物愛護に関心があり保護犬猫を迎えようとしているのに、その迎える先が保護ビシネスの団体なら、保護しているつもりでも紐を辿っていくと実際は他の命を苦しめていることになってしまうのです。人の善意につけ込んだ極めて悪質なものです。

「買い物は投票」です。悪質な業者からは迎えるべきでないと思っています。では、今すでにそういう悪質な業者 団体の元にいる犬猫はどうなってしまうのか?と言うご意見もあるかと思います。私も、その犬猫には罪はない、見捨てられない、と言う気持ちから働いていた団体を辞められずにいました。今でもあの子たちはどうしているだろうと考えます。
ただ、それも私たちの善意、優しさにつけ込んだやり方なのです。
労力も、皆さんがお迎えする際の譲渡金も、悪質な彼らの資金になり更に苦しむ命を生む元になっていると考えると、この負のサイクルを今ここで断つべきではないでしょうか。

よく、例えとして言われる表現が、
「どれだけ受け皿を増やしても、蛇口を閉めなければ溢れる」というもの。
根源を絶たないと何も変わらないのです。

最近すごく嬉しい事があったのですが、
友人から「猫カフェに行った。あるブリーダーが経営しているようだが、悪質な業者だと思うか?」と連絡がありました。
「すごく気に入ったけど、悪い業者なのであればお金は落としたくない」と。

こういう考えをもつ人が増えるだけで、どの分野の問題も少しずつでも改善されていくのだと思います。

あなたの優しい気持ちも、労力もお金も、悪質な彼らに渡す必要は1ミリもありません。

寄付したい、保護犬猫をお迎えしたい、ボランティアをしたい…と思う方がいれば、まず一度立ち止まって周りに聞いてみたり落ち着いて考えてみてください。
その一呼吸がたくさんの命を救う一歩になるかもしれません。


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