日本企業向けEnterprise SaaS領域の取組が知りたい

2018年ももう半分が終わってしまい、後半戦に突入しつつある。

ProgressBar201Xというアカウントをフォローすることによって、1年を12ヶ月ではなく100%のスケールで捉えることができるのでオモロイのでオススメ。

最近は日本企業向けEnterprise SaaS領域の取組について考えているのだが、なかなか対日本企業のEnterprise SaaSに関するベストプラクティスってあんまり表に出てきていない気がしている。この領域はカスタマーサクセスチーム、セールスチーム、プロダクトチームの本質的にインセンティブ構造が違う3つのチームを上手くマネージする必要があって、その判断が結構難しい領域だと思うのだが、あんまりそういう話をしているところを見たことがない。

例えば、Enterprise SaaSのプロダクト開発/セールスを見たことがある人ならわかると思うが、導入前の顧客にとって刺さる機能と導入後の顧客が重視する機能は全然違う。ざっくり言えば導入前は「機能として備えているか否か」という0か1かでのバイナリの比較がなされるのに対し、導入後はその機能を利用しやすいかどうかのUI/UX部分や、機能的な完成度(50点なのか80点なのか)がとても重視される。2C向けやSMB向けのサービスは自分ではやったことがないのでわからないが、この傾向は導入単価の高いEnterprise SaaSにて特に顕著な傾向なのではないかと思う。

Enterpriseだとどの製品を選ぶべきか論理的な意思決定を社内的に求められ、多くの場合は製品の機能や価格の比較表といった形に落とし込まれて社内説明がされるわけだが、その過程において表に掲載しにくい要素は削ぎ落とされる。そうなるとやはりUI/UXなど客観的評価をしにくい領域や、実際にデータを入れて回してみないとわからないような運用コスト、パフォーマンス等の情報は掲載されず評価されにくくなってしまうという力学が働く。

プロダクトチームとしては、セールス上必要な機能開発を優先すべきか、カスタマーサクセス上必要な機能開発やバグフィックスを優先すべきかの優先順位付けの選択を常に求められ続けることになる。個人的にはこれはビジネスの状況とプロダクトのステージによって向き合うところを動的に変えていきつつ、個別に判断していく仕組みを作るのが良いと考えている。

例えば、ステージ別の話でいうと、プロダクト立ち上げ段階では、プロダクトが課題解決ができるようにすることにフォーカスすべきだし、ある程度型化がなされた段階においては、営業がスケールするためにある程度セールス側の視点偏重でいくべきだし、ある程度顧客数が増えてきて、MRRが積み上げられてきた段階からはチャーンを下げるため、アップセルをできるようにするための開発にシフトしていく必要があると思っている。

SaaSだカスタマーサクセスだサブスクだと騒がれており、いろんな記事や本は出ているものの、個人的には2C向けとSMB向けとEnterprise向けは全然性質が違うビジネスだと思うし、特にEnterpriseは日本企業の商習慣も合わせて論じることが必要な分野だと思う。うちはEnterprise向けをやっていて、諸々のナレッジを仕入れたいなと考えているのだが、日本におけるEnterprise SaaS事業がそもそもそこまで数が多くなくて、取組事例はほぼ出てきてない状態にあると思うので、誰かいい事例があったらぜひ教えてほしい。

#Startup #SaaS


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