沼の底まで (途中)

「沼の底まで、」

私の初めてはすべて彼に奪われていく感覚になった。
まさに ”沼の底まで”(陥った) 。

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2xx9年 彼に出会う前の私はアイツらに潰されていた人生だった。
「そこのおデブちゃん、また告白すんの〜?笑」
お前らに命令されているからだよ、
「てか、コイツ生きている意味あんの?笑」
生きる意味なんかねーよ、生きる事しかできねーんだよ。
「じゃあ、放課後 星那(せいな)くんに告白、よろしくね、笑」

はぁ、またか。今は黙ってアイツらに従えばいい、それが私の今の ”生きる意味” だ。
「星那くん、付き合ってください。」
「まだ告白してんだね、あの人達に命令されてて
よく普通の顔して俺に告白できるよね。”愛鈴(あいり)ちゃん”」
は、なんで私の名前知ってんの?何コイツ、アイツらの仲間か?
いや、アイツらは私の名前すら知らないはずだから、なんなんだ。
「あの人達は愛鈴ちゃんの外見しか見てないもんね。
この間、愛鈴ちゃんがおばあちゃんを助けてたの見たし。
まあ、告白はごめんね。」
「分かりました、ありがとうございました。」
まあ告白しなくても分かる結果。私にとっては流れ作業みたいなもんだ。

それからというもの、何ヶ月も続いたアイツらからの奴隷は急に途切れた。
それはこの間告白した星那というやつがアイツらに何か言ったらしい。
まあいいか、もう奴隷は終わったんだから。
私の生きる意味を失ったな、これからなにしよ。

「ただいま、」
親とは最低限の話しかしていないため、アイツらのことは言っていなかった。

はあ、これからどう生きようかなと考えながらTVを見ていたとき、
私の人生を変えた出来事は突然起きたんだ。

「はじめましてっ、Legendsです!!」

「はじめまして、Legendsの紫担当の”山口海人(かいと)”です。」

刹那、 。
少し茶色い目、ふにゃんとした喋り方なのに低い声、目にかかってる前髪。
時間が止まったように、その姿に吸い込まれた。

その後私はすぐ部屋に入り、彼のことをすぐ調べた。

えーっと、Legendsっと。
(Legendsは、鳴宮 新、如月海星、岩崎涼、七瀬達、山口海人の5人で結成されたアイドルグループ)
(その中でも)私が気になった彼は Legendsという5人組のアイドルグループの ”山口海人”。
メンバーカラーは紫で、Legendsの中でも人気メンバーらしい。
”カイ”という愛称で親しまれているらしい。

それからの私は、すぐに彼らの映像作品を見漁って夢中になっていった。
学校から帰ってきたらすぐにLegendsのDVD、バライティーを見漁り、
いつの間にか私の世界が変わったみたいに毎日が明るくなった。

私がLegendsにハマって2ヶ月位たったある日の教室で、
「昨日のLegendsのパフォーマンス見た?!」とクラスの女子の会話に耳を傾けた。
「海人くんの流し目ウインク本当しんどかったな〜、」
「分かる分かる!でも私は涼くんのセリフがよかったな〜!」
いいな、私もあの会話に混ざりたい。
あれ、そういえば何気にクラスの人たちの会話を聞いたのは久しぶりかも。
と心の中でそっと呟く。そんな考え事をしていたら、
「春海さん、呼ばれてますよ。」とクラスの人に声をかけられた。
「久しぶり、青山星那だけど覚えてる?話したいことあって、
ここだとあれだから場所移動しよっか。」
その声は、私がこの前告白した星那くんだった。

「愛鈴ちゃん久しぶり、いきなりでごめんね。
最近痩せたよね、何かあったの?もしかしてあの人達?」
この人はなぜ私なんかに構うのだろう。
でも小さな変化に気付けるなんて、さすが学校の中でも名が挙がるイケメン。
「最近食欲ないだけで、全然気にしないでください。」
本当はLegendsの活動をずっと追っていたくて、
食欲なんか忘れるくらい夢中になっていたから食べていなかっただけだ。
「そっか、じゃあこの飴あげる、!俺の好きないちご飴。」
「ありがとう。」そう返事したと同時に思ったことがあった、
目の前にいた”彼”はなんとなく彼と似ていた。

Legendsにハマって、1年。
私は高校を卒業し、


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