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殺し屋ノボルのでたらめ暗殺術

「ノボルや、正しく生きるのは大事じゃ。じゃが正しいだけでは人生はつまらん。時にはでたらめに生きるべきじゃ」
「それってどうするの?」
「占いはでたらめの塊じゃ。たまにはアレに従うといい」

――

「焼きが回ったな……」

 パンツ一丁で狭い台所に立ち、汚れたコップに水を注ぎながら今日見た夢をぼんやりと思い出していた。子供の頃の夢を見るなど、俺はよっぽど現実逃避したいらしい。
 ロキソニンを二錠飲み、タバコに火をつけ原因をほっとき、ひとまず頭痛から逃れた。

 カレンダーを見る。今日で一週間。大山組の組長大山大輔を殺す期日だ。
自分で言うのも難だが俺は三流の殺し屋だ。ここらで最も強い勢力で、用心深い大山を殺すのは無理だ。この一週間で大山に近づくことは出来なかった。だが組織は俺に命令した。おそらく大山を何者かが狙ったという事実が重要なのだろう。俺は捨て駒だ。逃げることも考えたが逃げればどうなるか知っている。どうせ死ぬなら銃にでも撃たれて楽に死にたい。

 クローゼットの前にたった。今日着ていく服が死に装束になるのだろう。いつものスーツ……と思ったが、スマホを手に取り占いアプリをDLした。

「獅子座のあなたのラッキーカラーは赤!思い出の品で運気アップ!ラッキー方角は東!意外な人物に再開できるかも!」

 高校の頃ルパン三世のコスプレ用に買った赤いスーツを着る。当時はサイズを間違えたが中年太りした今なら丁度いい。更に棚から初めて殺した時のナイフを取り出す。あの頃は映画の影響で殺し屋ならナイフだと思っていた。

 鏡に映るのはルパンの格好をしたナイフを持つ中年男性、でたらめだ。だが正しいだけでは人生がつまらない。今日ぐらい楽しく殺し屋をやって死のう。
 もっと占いを見ようとしたがこれ以上は課金とのこと。誰がこんなもんに金を払うんだか。
 薄い頭を隠す帽子を被り、意外な人物を探しに東に出かけることにした。

【続く】

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます