2019年Q3アメリカ_スタートアップ_調達まとめ

2019年Q3アメリカ・スタートアップ調達まとめ

こんにちは、ANRI江原ニーナです!

2019年も残り3ヶ月を切りました。夏の暑さもすっかり和らいで、秋の到来を感じますね。今秋は秋刀魚が不漁というニュースが散見され、食欲の秋を目前のちょっと不安が募る今日この頃です。

さて、本記事では、2019年7月から9月の間で起こったアメリカのスタートアップの資金調達の動きをまとめます。

また、Q3のまとめを短くクイズ形式にしたポッドキャストはこちら
毎週月曜日に配信しているので是非聞いてくださいね。

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ニーナの世界スタートアップチャンネル

目次
Intro. 概要
1 ステージ別
2 シリーズE以降の大型調達
3 注目IPO
4 リード投資が多かったVCランキング
5 まとめ

Intro. 概要

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(MoneyTree Reportより)

2019年Q3におけるUSスタートアップの累計調達額は$26Bに到達。2019年Q2と比較すると15%の落ち込みを見せています。調達件数も同様に低下(16%)しました。

また、$100M以上を調達した案件は55件にとどまっており、2019年Q2の67件から大幅な減少となっています。

1 ステージ別

〈2019年Q3・シリーズ別調達案件数〉

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(CrunchbaseのCompaniesより江原が集計。2019年10月7日時点。調達情報が後から追加される場合もあるため、若干の誤差が生じる可能性あり)

また、今年1月からのまとめは以下のとおり。

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(同上)

調達案件総数が最も多かったのはシードで、特に7月後半と8月後半は3桁を超えるスタートアップが調達を発表しています。3桁台に突入するのは3月後半ぶり!

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2 シリーズE以降の調達まとめ

以下、シリーズE以降の大型の調達をまとめます。

7月

◆シリーズE◆
Remitly($135M、Fintech)
AeroFarms($100M、CleanTech, Agriculture)
Rockley Photonics($52M、Electronics)
Emerging Travel Group($10M、Travel)
Robinhood($323M、Crypto, Personal Finance)
Turo($250M、PtoP Car sharing)
TurnKey Vacation Rentals($48M、Travel, Vacation)
Icertis($115M、Cloud data service)
◆シリーズF◆
Thumbtack($150M、Online Skill share)
◆シリーズG◆
Compass ($370M、Real Estate)

8月

◆シリーズE◆
Cybereason($200M、Cyber Security)
LanzaTech($72M、Clean tech, Renewable energy)
Sagimet Biosciences($7M、Biopharma, Therapeutics)
ThoughtSpot($248M、AI Analytics)
Root Insurance($350M、Auto Insurance)
◆シリーズF◆
Lucidworks($100M、Analytics, cloud computing)
thredUP($100M、EC, recycle)
◆シリーズG◆
C2FO($200M、Enterprise Payment)
◆シリーズH◆
Wish($300M、EC)

9月

◆シリーズE◆
Trifacta($100M、Analytics)
GitLab($268M、Git repository manager)
Ginkgo Bioworks($290M、Biopharma, alternative medicine)
DataRobot($206M、Robotics, AI, Predictive analytics)
TouchBistro($158M、POS App)
◆シリーズF◆
Nextdoor($47M、Govtech, local SNS)
Shape Security($51M、Cybersecurity)
Samsara($300M、IoT sensor)
Stripe($250M、Payment)
◆シリーズG・H◆
該当なし
◆シリーズI◆
Sweetgreen($150M、organic food)

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(MoneyTree Reportより)

さらに、ここに登場している以外にも、シリーズを公開せず巨額の調達を行なった企業も多くあります。

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(MoneyTree Reportより)

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3 注目が集まったIPO

今期IPOしたUS企業は22社。こちらもQ2の33社と比較して大幅な減少を見せています。今期(特に9月終わりにかけて)は、WeWorkのIPO騒動に注目が集まりましたが、他にも以下のような企業が腫れてIPOをアナウンスしました。

SmileDirectClub
9月12日 Raised $1.3B
NASDAQ:SDC
Peloton
9月25日 Raised $1.16B
NASDAQ:PTON
Cloudflare
9月12日 Raised $525M
NYSE:NET

Crunchbaseは2019年Q3のIPO事情を振り返って、以下のようにコメントしています。

Q3 2019 presented something of a turning point in the IPO market. Companies with robust fundamentals and a narrative which suggests continued growth did fairly well. Others, with “visionary” founders and specious claims about “elevating consciousness” and “selling happiness” didn’t fare so well.

幸せを提供する、とかビジョナリーであるだけではダメだったようだ、となかなか辛辣なコメントです。

また、2019年Q2にはUberやSlackがIPOしましたが、これらの企業がIPO時に集めた額(それぞれ$8.1B、$4.56B)は今期の数字と比べるとやはり相当大きかったことも再確認できます。

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(crunchbaseより引用)

さらに、IPOが噂されるPostmatesは、同社のCEOであるBastian Lehmann氏自ら、今の市場を見る限り、IPOは遅らせると述べています。

また今期はIPOのあり方そのものにも疑問が呈されはじめました。
BenchmarkのGPであるBill Gurley氏は、Slackのようにdirect listing を狙うべきだと提唱しています。

4 リード投資が多かったVCランキング

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(Crunchbaseより引用)

Q3にリードで投資をしたVCのラウンド数に基づくランキングでは、Tiger Global ManagementがTencent Holdingsと並んで13ラウンドで1位、追うSequoia Capital Chinaが2位の12ラウンドとなっています。(※米国内だけのランキングではなく、グローバルである点に注意。)Accelやa16zはもちろんのこと、Softbankもしっかりランクイン。

5  まとめ

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USにおいて大規模なファイナンスが起こっている領域は、上位からインターネット、ヘルスケア、モバイル/テレコミュニケーソン、ソフトウェア、消費者向け財およびサービスと続きます。

参考:
-MoneyTree Report Q3 2019 by PwC and CB Insights
-The Q3 2019 Global Venture Capital Report: Seed Stage Deals Increase While Broader Funding Environment Shows Signs Of Erosion

以上、アメリカにおける2019年7月から9月までのスタートアップをめぐる動きのまとめでした。MoneyTree Reportについては、そのまとめだけで1本まとめられそうなので別記事を書くかもしれません。書きたい、、。

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