戯曲『空色ポケット』

(※上演時間は90分程度です。)

『空色ポケット』作.藤田玖美保

〇あらすじ

いくつの約束を破ってきただろう
いくつの思い出を忘れてきただろう
二度と戻れないあの日に
たまには思いを馳せてみよう

幼馴染の将平たちは、10歳の時のある事件を境に集まることはなくなっていた。
10年後の夏、20歳になった将平たちは莉奈の呼びかけで再び集まることになるが、そこへ子供時代遊び相手をしてくれた慎之介が現れる。
しかし、歳を重ねた彼らにとって、10年ぶりの再会は決して喜ばしいものではなかった…。

〇登場人物
・橘 将平・・・主人公。横浜大学3年生。役者志望であるが、自分の将来に迷いが生じている。昔は頼れるリーダーで、今でもそんな人間でありたいと思っている。(成人→シャツ、子供→半袖Tシャツ)
・内田 莉奈・・・天然でマイペース。横浜大学3年生。将平と幼稚園から一緒で、将平に対して特別な感情を持っているが、本人には言っていない。(成人→リボン無、子供→リボン有)
・高木 雄大・・・頭がよく優秀。東京大学3年生だが、周りとの格差に焦り、自分のやりたいことも不透明になりつつある。(成人→眼鏡、子供→裸眼)
・伊藤 叶・・・明るく活発。昔は引っ込み思案で、慎之介のことが好きだった。慎之介の影響で教師を目指す。(成人→髪下ろす、子供→髪しばる)
・水野 大輝・・・ムードメーカー。公務員。6人の中で唯一の社会人であり既婚者。父親は蒸発、母親は過労で亡くしており、夢を捨て自立することを選ぶ。(成人→帽子無、子供→キャップエロ被り)
・森村 明梨/女・・・5人のお姉さん的存在。一番しっかりしていて手先も器用。時々暴力的。順風満帆な生活を送っているが、5人のことを避けがちになる。(成人→麦わら帽子、子供→帽子無)
・川井 慎之介(20)/男・・・故人。6人の遊び相手をしていた。ごく普通の青年。20歳の時に自動車事故に遭い死亡。その10年後、当時の姿のまま、花火を見る約束を果たすために再び姿を現す。

プロローグ 8月

セミの声。
明転。そこは墓場。舞台上のボックスが墓石に見立てられている。一人の男(25)がそのうちの一つの前へ行き、拝む。そこへ女(25)がやってくる。

男   どうも。
女   こんにちは。今日も暑いですね。
男   そうですね。

女、上手奥の墓に花を手向け拝む。

男   どなたのお墓なんですか?
女   え?
男   いえ、毎年この時期になるといろんな方がそちらにいらっしゃるんです。若いのによく来るなあと思って。
女   あなたも若いじゃないですか。
男   まあそうですけど。
女   大切な人が眠っているんです。ずいぶん前に亡くなりましたが、今でも私たちの心の中に生き続けています。
男   そうですか。
女   あなたはどうしてここへ?
男   僕は、おばあちゃんの墓参りに、5年前に亡くなった。小さいころからよく遊んでもらっていました。でも大きくなるにつれて、会う時間はどんどん減っていって。
女   分かりますその気持ち。
男   おばあちゃんが入院したときも、僕忙しくて会いに行けなくて、次に会えたときには、おばあちゃんはもう、すでに。
女   好きだったんですね、おばあさんのこと。
男   ええ。それで毎年この時期になったら、こうやっておばあちゃんのところへ顔出しに行くんです。せめてもの罪滅ぼしとして。でも、やっぱり生きているうちに会いたかったですね。
女   ・・・。

祝砲が上がる。祭りの始まりを告げる。

男   今年も始まりましたね。お祭り。
女   この時期になると、あの日のことを思い出します。
男   あの日?
女   今となっては夢か現実か定かではありません。でも、私たちがあそこで過ごした時間は、今でも心に刻まれています。あの人(墓を見て)が会いに来てくれた日のことを。
男   それは、つまり…。
女   ここに来るまで、長いことかかりました。辛く苦しい時もあったけど、みんなとの約束があったから、私はここまで来れました。
男   約束?
女   ええ。そのために私はここへ来たんです。あの日みんなとした、約束を果たしに。

花火が上がる。
子供たちがわいわいしながら入ってくる。それに驚く男。やさしく見守る女。
子供たちは全員夢中になって花火を見つめる。それにつられ男と女も空を見上げる。

雄大  道を違え、離れ離れだった僕らは、
叶   あの日、みんなで同じ空を見上げた。
明梨  取りこぼしたものも多いけど、
大輝  ありったけの思い出をポケットに詰めて、
莉奈  私たちは歩くことを決めた。
慎之介 2016年。BACK SPACE 約束公演。
将平  『空色ポケット』

オープニング。

暗転。

第1場 大学生・将平

駅のホーム。電車がやってくる音がする。
明転。走って乗り込む将平。が、莉奈が来ていないことに気づく。
間もなく出発のアナウンス。やっと莉奈も来て、ぎりぎり間に合う。電車は出発する。多少息切れしている二人。

将平  なんとか間に合ったな。
莉奈  もう将平早すぎるって。
将平  しょうがないだろ、これ逃したら大変なことになってたんだから。
莉奈  だからっておいてかないでよ。
将平  それは悪かったって。

莉奈近くの椅子に座る。将平はたちっぱ。

莉奈  あー疲れたぁ…。
将平  時間へーき?
莉奈  うん、なんとか。
将平  ちゃんと道覚えた?
莉奈  ばっちり。
将平  ほんとか?最初は俺がいなきゃたどり着けなかったくせに。
莉奈  大丈夫だよ。あれでしょ、改札出たら右に曲がって、
将平  左な。
莉奈  で、3番出口から出て。
将平  2番出口。
莉奈  ファミマを通り過ぎて
将平  セブンな。
莉奈  ゴメンやっぱついてきて。
将平  やだよ!大輝たちもう横浜で待ってるかもしんないし。
莉奈  ヤバい、ちゃんとバイト行けるか心配になってきた…
将平  しーらね。(笑)

電車、駅に止まる。二人の目的地ではない。隣席が空いたので将平も座る。

将平  でもさ、思ったより作業長引いたな。
莉奈  まあ後輩ばっかだからね。
将平  稽古も全然やってないし。
莉奈  しょうがないよ、小屋作るので一週間はかかっちゃったし、音照さんも全然仕込み終わってないもん。
将平  それで明日から二日間休みなんだろ。大丈夫かそれ?
莉奈  まあ毎回なんだかんだ間に合ってるから今回も大丈夫でしょ。。
将平  だといいけど。
莉奈  私セリフ忘れたけどね。
将平  俺も。てかさ、客呼べてる?
莉奈  全然。
将平  そうだよな。健斗とかも今回は来れないんだって。
莉奈  みんなお盆は帰省してるからね。
将平  いいなあ、俺も帰省したかったわ。
莉奈  すればいいじゃん。明日から。
将平  いやそうだけど、二日間だけって。せっかく実家帰るならゆっくりしたいじゃん。
莉奈  でも私は帰るよ。

電車、出発する。

将平  え、マジで?
莉奈  うん。あと叶もくるし、明梨ちゃんも帰ってくるよ。
将平  へえ、よく知ってんな。
莉奈  叶とは今でも連絡とり合ってるからね。明梨ちゃんはこの前会ったし。
将平  そうなんだ。
莉奈  将平は大輝たちとLINEしてないの?
将平  全然。てか連絡先すらしらない。
莉奈  え、そうなの?
将平  まあずっと会ってないからな。
莉奈  そっか…
将平  叶はどう?元気にしてるの?
莉奈  うん、相変わらず。公演も見に来てくれるってさ。
将平  マジで?うわ、なんか緊張してきたわ。
莉奈  いま?(笑)あ、あと秋の引退公演も来てくれるって。二人の最後の晴れ舞台なんだから、見に行かなきゃダメでしょって言って、すごく行く気満々だった。
将平  へえ…
莉奈  これは私らも頑張んなきゃね。
将平  うん…
莉奈  どうしたの?また緊張してるの?(笑)
将平  いや、そうじゃなくて。
莉奈  なに?
将平  その、言いそびれてたんだけど。
莉奈  なによもったいぶって。
将平  俺さ、サークルやめようかなって思っているんだ。
莉奈  え…どうして急に?
将平  ぶっちゃけさ、今のサークルの雰囲気あんま好きじゃなくて。劇に対する姿勢も先輩の頃と変わっちゃったじゃん。それにサークルに未練もないし、もういいかなって思って。
莉奈  でももうすぐ引退じゃん。
将平  そうだけど、居心地悪いままズルズル続けても周りに迷惑かけるだけだろ。それだったらいっそ辞めた方がいいかなって。
莉奈  そっか…。でもその後どうすんの?劇団に入ったりすんの?
将平  いや、ひとまず外部のオーディションをいろいろ受けて、自分の力がどこまで通用するのか試してみる。これからも演劇やってくためには、まず外の世界を知らないとな。
莉奈  本当に目指しているんだね、役者。
将平  まあな。実はこの前もオーディション受けて、もし受かったら十一月に本番あるんだ。だからそっち受かったら出れないってのもあって。まあまだ決まったわけじゃないんだけどさ。
莉奈  寂しいなそれ。
将平  莉奈は秋の出るの?
莉奈  うん。最後の公演だし、サークル辞めたら演劇はもうしないから。
将平  そっか。

電車到着。横浜駅。将平の目的地。

将平  んじゃ、またあとでな。
莉奈  うん、私来るまでやっててよね。
将平  分かってるって。じゃあな。
莉奈  またね。

将平、電車から降りる。莉奈を乗せた電車が走っていく。

第2場 再会

駅周辺。将平待ち合わせしている。そこへ大輝がやってきて、将平に気づく。

大輝  …将平?
将平  ?
大輝  将平じゃん!懐かしいなオイ!
将平  大輝!大輝かお前!
大輝  そうだよ。
将平  ああ、よかったぁ。分かんなかったらどうしようかと思ったわ。
大輝  10年ぶりだからな。
将平  お前全然変わってねえな。
大輝  将平だってそうだよ。昔のまんま。
将平  そうかぁ?
大輝  とにかく行こうぜ。叶と雄大待ってるし。
将平  そうだな。

二人歩き出す。

将平  大輝ってなにしてるの?
大輝  俺?いま公務員。
将平  マジか!終わったな…。
大輝  どういうことだよ。

二人はける。
居酒屋。雄大、叶が4人用テーブルを囲んでいる。

叶   でね、小学生ってみんな小さいからすっごい可愛いの。あたしが何か言うとみんな元気に「はーい」って素直に返事するの。チョー可愛くない?
雄大  確かに。
叶   なんか、あたしらにもあんな時代あったってのが信じられないよね。あ、でもね、やっぱ子供ってやんちゃだし、加減知らないじゃん。もう本気で殴ってくんだよね。こんな感じでさ!(雄大叩く)こんな感じで来るんだよ。やばいでしょ。ほら、ほら!(雄大叩き続ける)
雄大  あの、やめて叶!普通に痛い。
叶   ああ、ごめんごめん。でも小学生見てたら昔のこと思い出してさ。その時は知らなかったけど、子供の相手するのって結構大変なんだなって思った。慎兄もこんな感じだったのかなって。
雄大  懐かしいなぁ。よく遊んでもらってたよね。
叶   そうそう。

将平、大輝やってくる。

大輝  ういーっす。なんの話してんの?
叶   昔の話。
雄大  お、将平じゃん!
将平  よっ。
叶   久しぶり~。
将平  え、叶!?なんかだいぶ変わってない?
叶   まあね。イメチェンしたから。
将平  いや変わりすぎでしょ。
叶   とりあえず乾杯しようよ。
大輝  おお、そうだな。んじゃ将平よろしく。
将平  え、俺?
雄大  いいから早く。
将平  分かったよ。ゴホン、えーこの度、こうやってみんなと…
叶   はいかんぱーい!
雄・大 かんぱーい!
将平  んcじぇhヴぇ、か、かんぱい…

4人ビール飲む。叶だけ飲み干す。

叶   プッハーッ!
大輝  やっぱ酒はうめえな。
叶   すみませーん!生一つで!
将平  はやっ!もう飲んだの!?
叶   いやこんなの飲んだうちに入らないから。
将平  お前やっぱおかしいって。
雄大  でもさ、またみんなで集まれるなんて思わなかったよね。
大輝  確かに。成人式でも会わなかったしな。
叶   そうだ、今のうちに連絡先交換しようよ。
大輝  おお、そうだな。

4人スマホを取り出し、連絡先を交換し合う。

大輝  てかさ、莉奈のやつどうやって俺らの連絡先見つけたんだろ。
雄大  そういえば。
将平  ああ、なんか実家から連絡網探し出して、そこの番号から辿ったらしいよ。
大輝  へえ、よくやるな。
叶   てか連絡網って超なついんですけど。
将平  でもなんで今になって呼びだしたんだろな。
雄大  さあ。しかも呼びかけておいて、自分はバイトいれてるって。
大輝  まあそういう奴だったからな。
雄大  明梨は来ないの?
叶   うん。何か用事あんだって。
雄大  そっか。全員は集まれなかったか。

4人スマホをしまう。

将平  ところでさ、みんな今何してるの?
叶   あたしは教師目指して勉強中。この前教育実習で小学校行ってきたよ。
将平  そういや昔から言ってたな。で、どうだった?
大輝  学級崩壊だってよ。
将平  マジで?
叶   縁起でもないわ!ちゃんとやれてたから。
大輝  でもなんで教師目指してたんだっけ?
叶   んー、なんか、気分で。
大輝  なんだよそれ。
将平  でも子供の相手とか大変そうだよな。
叶   まあね。結構生意気な子もいてさ。たとえば、「せんせいってかれしいるの~?」とか聞いてくる子とかいたよ。
将平  へえ。いるの、彼氏?
叶   あ?
将平  あ、なんでもないです。
大輝  これ触れちゃいけないやつだったな。
叶   そういう将平こそどうなのよ?
将平  どうって、まあ俺も彼女はいないけどさ。
叶   そうじゃなくて、莉奈のこと。
将平  へ?
叶   幼稚園から大学までずっと一緒なんでしょ?
将平  ああ。
叶   ああじゃなくて。実際、莉奈のことどう思ってんのって話。
将平  どうって、別に。
雄大  ああ…。
大輝  ダメだこりゃ。
将平  え?なにが?
叶   なんでもないですぅ。
将平  なんだそりゃ。まあいいや。雄大は何してるの?
大輝  あ、こいつスゲエぞ。なんせ、東大だからな!
将平  え、マジで!?
雄大  そんな大したことないんだけどね。
将平  いや大したことあるでしょ!東大とか超頭いいじゃん!
雄大  でも僕なんか周りに比べたら全然だよ。
叶   そんなことないって。その中にいられるだけで十分すごいよ。
雄大  んーそうなのかな…
大輝  やっぱ東大って大変?
雄大  まあ。いっぱい勉強することあるからね。
将平  どんな勉強してんの?
雄大  人工多能性幹細胞の持つ分化万能性を再生医療に応用するための課題とか。
将平  …へー、楽しそー。
叶   雄大って何目指してるの?雑学王?
大輝  でも、おやじさん医者だから、雄大も医者になんじゃないの?
雄大  うん、多分…。
大輝  すげえなぁ、そんだけ勉強できれば将来安泰じゃん。
雄大  まあ僕の話はいいじゃん、一番びっくりしたのは大輝だよ。もう立派な社会人になってんだから。
叶   しかも公務員とか、大輝のくせにすごい堅実だよね。
将平  俺てっきりお笑い芸人目指してると思ってた。
大輝  それ小学生ん時の話だろ。
雄大  でもなんで大学行かないで就職したの?
大輝  まあ、早めに自立しようと思って。
雄大  へえ、偉いなぁ大輝。
大輝  あ、そうだ。もう一つ言うことがあるんだ。
将平  なに?
大輝  結婚した。
叶   誰が?
大輝  俺。

間。

3人  ええええええ!?
雄大  うそ、本当に!?
叶   つか早すぎるでしょ!?
将平  どんなブス?
大輝  誰がブスだ。
雄大  相手も二十歳?
大輝  ううん、三十。
3人  さんじゅう!?
雄大  結構な年の差だね!
将平  つかババアじゃん。
大輝  お前ぶっとばすぞ。
叶   写真とかないの?
大輝  あ、あるよ。見る?
将平  お、見して。
大輝  お前ブスっつったからダメ。
将平  は、え、ちょ、待ってよ。

3人、将平に見えないようにしながら写真を見る。将平はその後ろから必死で見ようとするも妨害にあってかなわない。

叶   うわあ、凄い美人。
大輝  だろ?
叶   なんか女優でいそうじゃない?
雄大  そう言われれば誰かに似てるかも。誰だろ…
叶   あ、あれじゃない?綾瀬はるかじゃない?
雄大  ああ、確かにそうかも!
将平  え、マジで!?ちょっと俺にも見…
大輝  はいしゅうりょーう。
将平  ちょちょちょ、まってまって。俺まだ見てないんだけど。
大輝  君には絶対みせましぇん。
将平  ええ、なんだよ…
大輝  自業自得だよバーカ。
叶   てか将平の話も聞かせてよ。
将平  え?
叶   ほら、役者。目指しているんでしょ?
将平  あ、ああ、まあな。
大輝  ホントに?じゃあもうテレビとか出てたりすんの?
将平  いやまだそういうのじゃないから。
大輝  なんだ。まあでもひょっとしたら、俺らん中から有名人が出るかもしんないじゃん。なんかワクワクするよな。
雄大  でもなんで役者?
将平  ああ、それは…
叶   高校の担任の先生の影響でしょ?
将平  は?なんで知ってんの?
叶   莉奈から聞いた。
将平  あいつ喋りすぎだろ!
大輝  なに担任の先生って?
将平  高校ん時の文化祭でね、その先生が書いた台本をやったってだけの話だよ。
叶   しかも将平主役で。おまけに大成功だったらしいじゃん。
将平  ま、まあな。
雄大  その人は演劇やってたの?。
将平  うん、昔からやってたみたいでさ、割とすごい人なんだよ。その先生のおかげでうちの高校の演劇部全国大会出てるし。
叶   へーすごいねそれ。
将平  あん時は楽しかったなぁ。クラス全員先生のこと好きだったし。
叶   いいなあ、あたしもそういう先生になりたい。
将平  脚本書ける先生?
叶   そっちじゃねえわ。
雄大  みんないろいろやってんだね。
大輝  ホントにな。そうだ、地元でもまた集まろうぜ。
叶   あ、いいねそれ。あたしと莉奈は明日帰るけど、雄大とかは?
雄大  あーちょっと無理かも。
叶   え、忙しいの?
雄大  んー、まあ。
将平  俺もちょっと微妙かも。
叶   ええ、なにそれ。来年は帰省する暇あるか分かんないんだよ。
将平  まあな。何とかしてはみるけど。
雄大  でも向こう行ったところで何して遊ぶの?なんもなくない?
大輝  あるでしょ。大島公園とか。
雄大  いや子供じゃないんだから。よくみんなで遊んだけども。
叶   慎兄と一緒にね。
将平  そうだ、慎兄とかいたね!
叶   ね、よく遊んでもらってたよね。
将平  そっか、懐かしいな。慎兄今頃何してんだろうな。
大輝  いや、何言ってんだよ将平。
将平  え?
大輝  慎兄は死んだろ、10年前に。

暗転。

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戯曲『空色ポケット』

藤田玖美保

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藤田玖美保

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