はじまりの日々/スキルフラワー_MAGIC OF LiFE【アサミ】

ここ半年で一番聴いている回数が多いバンドだと思うMAGIC OF LiFEの新譜は、「はじまりの日々」と「スキルフラワー」という両A面シングル。両曲ともに途方もないほどのキラーチューンで、聴いているだけで涙が出てくる。なぜ涙が出るのか?それは情景が浮かぶ歌詞と、楽曲から感じる青春の疾走感に思いを馳せてしまうからだろう。

では青春とは何なのか。人生の春、青年期、辞書を引けばそんな言葉が出てくると思うが、私の中での青春とは何かに熱中している時期のことだと思っている。それが勉強でも仕事でも恋愛でも育児でも趣味でも、なんでもだ。そう考えていると、常に何かに熱中している人は常に青春時代なのだと思う。

「はじまりの日々」はそんな青春時代の始まりを振り返っている1曲。"意地をはり 食いしばり 悔し涙が僕らを作った"という一節からも分かる通り、順風満帆ではない日々を越えて立っているその地点から、自分の過去を振り返っている。ただ、それは青春時代の終わりではない。そんな日々を自分の糧として、ここから先も進んでいく決意の曲なのだ。"讃え合い 笑いあったあの日々が「はじまり」"なのだから。

「スキルフラワー」は青春真っ只中の燃え盛る時期を描いた1曲。青春にライバルはつきものである。ライバルという定義は難しいが、双方共に実力を認め合い、ジリジリとした戦いを繰り広げられる相手こそがライバルなのだと思う。まさに切磋琢磨。それを"火花が散った刹那に ハートが喜んでる""赤く燃えた逆風に ハートが笑ってる"と表現する彼ら。心と心のぶつかり合いができる、それこそがライバルなのだと思う。

この両曲はそれぞれ漫画「弱虫ペダル」の映画・実写ドラマのタイアップがついている。ただのタイアップではない、彼らと「弱虫ペダル」の関係性はアニメ化第1期のオープニング曲の提供から始まっていて、そこから続いている両者の関係性は強い。「はじまりの日々」は映画の内容(卒業生の過去を描く作品)、「スキルフラワー」はドラマの内容(主人公が様々なライバルと出会い、成長する過程)にしっかりリンクしているのだ。タイアップという商業的なつながりだけではない、「弱虫ペダル」という作品を理解した上での楽曲であることから、彼らと「弱虫ペダル」の絆を感じる。

聴いている回数が多い理由は単純明快、私が「弱虫ペダル」のファンで、彼らの曲が良い曲だからだ。好きな作品の主題歌・テーマソングだから聴きこんでいるわけではない、私が作品に感じているのと同じような愛情を、彼らの楽曲からも感じるからだ。こんな素敵な相思相愛がいたるところで発生している「弱虫ペダル」についてもいつか語りたい。

「弱虫ペダル」を知らない人も、自分の青春時代を振り返って聴いてみてほしい。必ず自分に重なる部分があるはずだから。なお、そんなことを書いている私は、おそらく死ぬまで青春時代だと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?