大学入学共通テストの2020年度実施延期を求める緊急声明

 11月1日の英語民間試験の実施「延期」に続いて、12月17日には国語・数学の記述式問題実施「見送り」が決まりました。このことによって、2020年度実施予定の大学入学共通テストは、その改革の二本柱を失ったことになります。
 国語・数学の記述式問題の実施「見送り」は、問題形式の大きな変更を意味します。適切な共通テストを実施するためには、2020年度の本試験までに記述式問題を除いた新たな試行調査(プレテスト)を実施することが必要です。しかし、新たな試行調査(プレテスト)を実施した上で、試験問題を作成する時間は残されていません。試行調査(プレテスト)がなされない本試験は、その適格性が強く疑われます。また、多くの専門家がこれまで指摘してきたように、これまでの試行調査(プレテスト)の問題にはセンター試験と比較して数多くの問題点があり、その改善もなされていません。
 2021年1月の試験実施まで、あと約1年しか残されていません。この時期になっても大学入学共通テストの試験内容について詳細が定まっていないことは、受験生そして教育現場を混乱させています。この混乱を一日も早く解消することが求められています。
 一刻も早く、大学入学共通テストの2020年度実施を延期し、センター試験の継続を決定することを強く求めます


「大学入学共通テストの2020年度実施を延期し、センター試験の継続を決定することを強く求めます」の具体的な内容
2021年1月実施の共通テストについては大学入試センターのホームページにも公開されている『令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針』を撤回し、現行のセンター試験と同一の方針で問題を作成し、同一の形式(試験時間・問題構成・受検料等)で実施することを求める。

呼びかけ人:
大内裕和(「入試改革を考える会」代表、中京大学教授・教育社会学)
中村高康(「入試改革を考える会」、東京大学大学院教授・教育社会学)
吉田弘幸(「入試改革を考える会」、予備校講師・物理)
阿部公彦(東京大学大学院教授・英文学)
荒井克弘(大学入試センター名誉教授、前・日本高等教育学会会長)
大澤裕一(予備校講師・数学)
小川貴也(高校教員・国語)
嘉田勝(大阪府立大学准教授・数学)
苅谷剛彦(オクスフォード大学教授・社会学)
木村小夜(福井県立大学・日本文学)
紅野謙介(日本大学教授・日本文学)
齋藤幸子(北海道教育大学准教授・幾何学)
仲島ひとみ(高校教員・国語)

上の声明にご賛同戴ける方は,ここから署名をよろしくお願いいたします。

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