公衆衛生学とは?どんなコース?

こんにちは。できるだけ毎日何か書いていこうかなと思ってます。いつまで続くかな。

今私はロンドンで公衆衛生大学院に通っているのですが、英語ではPublic Healthと言うんですね。

つまり集団の健康に関する学問なんです。衛生というと清潔、とかそういうイメージを持ちがちですが、衛生の本来の意味は健康を守る、ということなんです。

医学が個人個人に着目したアプローチであるのに対し、

公衆衛生学は集団なんです。わかりやすいので言えば疫学のような。コミュニティ内での感染症への対策とか。おもしろいですよね。

実際にコースの内容は、大学院によって非常に異なるみたいで。公衆衛生を学びたい人は、コース内容もじっくり調べてみたらいいかと思います。

私が通っているImperial College Londonの公衆衛生大学院には、3つコースがあって、1つはちょっとあまりよくわかってないんですが(笑)、もう1つはepidemiology、つまり疫学をメインとしたコースで、私のコースがおそらく一番一般的と言えるMPHですね。Master of Public Health です。もっと広い領域を扱ってて、全体的に基礎となる、この世界への入り口になるものだと思います。

医療の背景がないと難しいんじゃないかな、って思うような授業もありますが、医療者じゃなくても、興味深い学問だと思っています。

いくつか授業の内容をご紹介すると、、、

Public healthの基礎: 限られたバジェットの中で、いかに結果を最大にするか、という考え方が基礎となっています。あるエリアの何かの問題を解決しようと動くには、政府、お金を出してくれる団体(stakeholder)、NGO団体、市民団体、WHOなどの国際機関、製薬会社、などなど、本当にさまざまなが組織が関わってきます。どこにいくら使うことでどんな結果を想定できるか、というようなことを学ぶコースでした。

統計学: これは私は薬学部出身なのでかじった程度だったのですが、根本的な考え方から、STATAというようなソフトウェアを使ってデータ操ったり分析したりする学問でした。

疫学: 研究論文とかを読む/書くにあたって、必要になる知識を学びます。例えばどんな類の研究なのか。例えばたくさんの関連した論文をぜーんぶ集めて総合的に調べるのか、ある時点での肺がんと喫煙の関係を調べるのか、太陽に浴びている人と浴びてない人を10年追って皮膚ガンになりやすさが異なるのか調べるのか、とか。

医療経済学: シンプルに医療x経済ですね。病院のパフォーマンスをどうやってあげるかとか、保険の仕組みと人の健康の関係とか。これは個人的に結構面白かったですね。経済学としても医療にかかわらず基礎を知れたような気がします。とても難しかったのは事実ですが。

イノベーション: これは発展途上国をメインとした授業でした。あるイノベーションを自分で調べてクラスに売り込むようなプレゼンをしたり。イノベーションに必要な要素、例えば世界標準である、とか、文化して受け入れられるのか、とか、継続可能なアイデアなのか、とか。逆に発展途上国にアプローチしたイノベーションを、途上国へ逆輸入して成功するようなイノベーションパターンもあるとか。おもしろい授業でした。

まあこれくらいにして。見ていると分かる通り、Public Healthのプロに今後なっていく上で必要になるものをかじっている感じなんですね。どれのプロにもなっていないです。経済学者でも、疫学者でも、コンサルタントでも、MPHを取得するだけでは、どれにおいてもプロにはなりえません。どの大学でもそうかと思います。どのエリアでもプロになるにはその道で経験を積んでいくしかないんですね。ただ、幅広い世界を知れて、基礎的な考え方を身につけられ、研究者やコンサルタントやアナリストや、様々な分野に進む上での入り口、出発点に立ったような形です。世界にはもう果てしないほど健康にまつわる問題があるのだな、と思い知らされましたね。

ざっと公衆衛生学ってどんな感じなのか書いてみました。参考になれば幸いです。読んでいただいてありがとうございました。

あや


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