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二級建築士の学科試験を独学で受けて受かった話

現在二級建築士免許を所持しています。

社会人半年目、関西から関東に出て独り暮らしをしており、貯金もあまりない状況でした。もちろん予備校に通う余裕はないため、独学での受験を考えましたが、ネットで調べてみても独学で合格したという体験談が少なく、心細かったことを覚えています。建築士資格を目指すということは少なからず生活や今後の人生にも影響する決断だと思います。この記事が二級建築士を取りたいけど、踏み出せずにいる、そんな方の背中を押すことができれば幸いです。

きっかけ

新卒で内装設計の会社に入って約半年がたった頃、ずっと考えていたことがありました。

仕事辞めてぇ!

本当に毎日考えていたと思います笑 事務所に行く時は退職を伝える方法ばかり考えていました。

理由としては、同期が面白そうな仕事(建築雑誌にも乗りそうな物件の設計)をやっているのに対して、自分は片田舎の商業施設の改装物件が多かったこと。設計職で入社したのに、研修だかなんだかで現場常駐が多かったこと。関西で採用されたのに配属が関東だったこと。今考えると正直大したことも無いことが当時の自分にはものすごくストレスだったのでしょう。

かといってすぐに退職する訳にもいかないので、何か悪あがきを考える訳ですよ。

二級建築士、、、取るかぁ

大学で建築学科を卒業した人であれば、一度は考え、悩む問題かと思います。所定の単位をとって卒業すれば受験資格が与えられる二級建築士。現在は一級建築士も先に受験することができますが、当時の選択肢としては、

1.二級建築士を受験する。

2.2年後の一級建築士に備え、勉強する。

3.配属次第では建築士ではなく、施工管理技士を受験する。

4.もう受けない

こんな感じだったと思います。

自分は卒業してから4月にある出願をしなかったため、社会人1年目での取得は諦めており、職種も内装設計だったため、取るべきか迷っていました。

お洒落な空間設計ができると思って、入社したものの現実とのギャップで疲れ出し、夜間現場が深夜2時に終わり、始発のために2つ先の駅にとぼとぼ歩いていた時にこのままなのは嫌だなぁと、二級建築士の取得を決意しました。2018年の9月のことでした。丁度来年の製図試験まで約1年のこのタイミングで決意できたことは今考えると良かったと思います。

とりあえず、何をしようか

始発で家に帰り、しばらくしてから出かけました。

机と椅子を買うために(笑)

その時の自分の部屋はベットと本棚とテレビと人をダメにするソファというどうぶつの森の初期の部屋?というようなアイテムしかありませんでした。

ニトリで天板と脚、トータルで6000円程度の机と、近くのホームセンターで叩き売られていたイームズチェアのレプリカを手に入れ、ひとまず勉強できる環境をつくりました。製図試験の勉強ではA2サイズの製図板を使用することも頭にあったので、600mm×1200mmの少し大きめの机にしました。

この環境を整えることは独学で挑む上でかなり重要なことだったと思います。勉強する空間が部屋の中にあるだけで、「勉強せねば、、!」という使命感というか義務感のようなものがめばえて、自ずと勉強するようになっていきました。

次に教材について

建築学科にいた人だと知っているはずです。

資格学校の営業が猟奇的に迫ってくることを。

在学中から資格学校の営業が本当にもうしつこくて笑

ちょっとした反発精神から独学でいってやろうと思っていました。

あとはいつか最終的には一級建築士を取りたいと思っていたので、二級建築士の学科ぐらいは独学でいきたいとも思っていました。

手始めに購入したのが

スタンダード 二級建築士

2級建築士 分野別厳選問題集500+100

この2冊を購入しました。

参考書と問題集を1つずつ用意しようと考え、参考書は現場や打ち合わせで移動が多かったので、外でも持ち運びやすい物を選びました。

これに加え、試験用に法令集を購入しました。

井上 建築関係法令集

この法令集はすごくおすすめです!

予備校の法令集もとても見やすいのですが、線引きの資料を手に入れるためには営業電話を覚悟して個人情報を伝えないといけません。

しかしこの黄色の法令集は線引き範囲が記載されているwebサービスが無料で利用できるため、独学の方にとってはとても助かる法令集になっています。

これらの参考書を元に独学での勉強をスタートさせました。方法としては参考書をみて項目ごとにノートにまとめ、問題集を解くことを繰り返していました。しかし、試験まではまだ半年以上あり、あまり勉強に身を入れることができず、週に2、3日、気が向いた時に1、2時間程度しか勉強していなかったと思います。

年が明けて、気がつくと3月

受験年度の2019年1月より、主担当の物件を2件与えられ、右往左往しながら奔走していました。計画がまとまり着工できたのが3月、試験までは残り5ヶ月で少し気持ちに焦りが出てきました。(2月にはインフルエンザになったり、今までやったことのなかったことが押し付けられ、怒られ、年明けからの2、3ヶ月はなかなかに疲れていたと思います。)

設計職だったので、工事が始まってしまえば少し業務が落ち着いてきたので、勉強方法を見直すことにしました。

まとめノートをやめよう

学生の頃から、勉強=ノートにまとめると考えて、おこなっていたまとめノートをやめることにしました。

・時間がかかる

・まとめることがノルマになり、しんどくなる(これが一番大きい)

・案外記憶に残らない

改めて考えるとデメリットが多いことに気がつきました。

そこで予めまとめられているノートのような参考書を探し、そこに自分のわからないことを書き足していく方法に変更しました。

ラクラク突破の二級建築士スピード学習帳

どの科目も1項目に対して2ページの解説、2ページの一問一答となっており、大枠を捉えることができました。今まで使っていた参考書は要点はまとめられているものの、活用法が見出せず、自分には向いていないと判断し、こちらへ乗り換えました。

また過去問もこのタイミングで購入しました。

2級建築士 過去問題集チャレンジ7

過去問は各予備校が出版していますが、個人的にはどの予備校の物でもいいと思います。(違いがあるとしたら、解説ぐらい?)

これと可能な限り古い物も手に入れたかったので、平成22年度に出ていた物も購入しました。古い過去問は試験が近くなると中古でも値段が高騰するので、早めの入手をお勧めします。

最終的にはスピード学習帳と合計14年分の過去問で合格することができました。(活用方法などは次回に書きます。)

平日は1、2時間 土日は6時間とまとまった勉強時間を確保できるようになりました。過去問は基準点を超えれたり、超えれなかったりを行ったり来たりしていました。

出願と予備校の活用

4月になり、気持ちを引き締めるため、わざわざ有給を取得して出願に行きました。

学歴のみでの受験資格だったため、出願自体は20分もかからなかったと思います。実務経験で受験する方はどんな仕事をしてきたかなどを確認する面談をしていました。

出願が終わって会場を出ると、出会しました。

予備校の謎ブース

暴動か、、、?と思うような気迫で「通われてる予備校はありますか!?」「独学ですか!?」と。

ただ、この時予備校の人に会いたいと思っていました。

模試に関する情報が欲しかったのです。

独学だと全体の受験生の中で、自分がどれぐらい勉強できているかがとても分かりにくいです。(自分にとってはプレッシャーにならず、それがいい面もありました。)この時点で過去問であれば基準点をクリアできる程度のレベルでした。

模試に関する情報+あわよくば受講生しかわからない情報がもらえないかと思っていたので、学生時代にあまり営業をされなかった予備校(映像授業が中心の方)に個人情報を伝えました。その時に最重要ポイント集みたいな物をもらった気がします。コンパクトでまとめられていましたが、自分はスピード学習帳を自分用にまとめていたので利用しませんでした。

その夜、営業の方からお礼(?)の電話がきて、勉強のコツも教えてもらうことができました。自分の連絡をくれた人は後に課長さんだったこともあってか、受講生だけが受ける模試や問題集を送付していただきました。

ラスト1ヶ月

この頃になると過去問は大体解けるようになりました。

不安要素についてはスピード学習帳を読み込み、過去問をとにかく解きました。また法規がまともに解けるようになったのもこの頃だと思います。

6月には最初で最後の模試も受けに行きました。

結果は構造が基準点に1点届かず、12点。

ここでものすごく危機感を覚え、構造を中心に最後の勉強をしました。

ただこれは反省点ですが、力学はほとんど勉強できませんでした。元々苦手だったことに加え、勉強時間に対して点数の向上が見込めなかったこともあり、「捨て」に入ってました。

結果発表〜!!!

計画 20/25

法規 17/25

構造 13/25

施工 20/25

合計 70/100

無事合格することができました。

ただ力学をほぼ捨てた構造は足切りのギリギリの点数でした、、、

この後、予備校の営業の課長さんから連絡があり、製図試験の独学は難しいと考えていたため、製図試験に関しては予備校に通うことになります。

この辺りは次回以降、感想程度にかければと思います。

独学で良かったこと、しんどかったこと

まず独学で良かったとこは

・予備校代、数十万円が浮いたこと。

・周りの受験生の状況を気にせず、プレッシャーを受けずに勉強できたこと。

しんどかったことは

・勉強時間の確保

これは慣れるまで大変でした。というより、単純に勉強できませんでした。

ただ、会社の人や現場で受験することを話したことで、逃げ場のない状態をつくれたからこそ、勉強できたと思います。

むしろ、内装設計の会社で必ずしもとる必要はなかったため、ちょっと浮いた存在になっていることがしんどかったですね、、、

昼食も誘いを断り続けて、勉強していたので余計そう感じていたかもしれませんが、、、

まとめ

独学で必要な物はと聞かれたら、自分としての答えは

・半年間休みを捨てる(勉強にあてる)                →自分はなんだかんだ2週に1日は同期や友達と遊びに行ってたと思います。

・環境を整える(自分にあった机を買う)

・予備校の参考書に勝るぐらいの自分専用の参考書を設える       →次回書きます!

このぐらいかと思います。

勉強期間も長いように見えますが、本腰が入ったのは3月末からでした。

法令集の線引きは1週間程度かかるため、1月中にやってしまった方が後々助かると思います。

以上が独学で二級建築士学科試験を独学で受けた時のことになります。

この記事が同じような境遇の方の参考になれば幸いです。

有機野菜 2020.12

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