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11 「会いたい」のすれ違い

2014年11月24日 月曜日

「会いたい」
その一言をなかなか素直に言えない直哉が、その思いを日記に綴った日、なつみからのLINEは珍しく夜だった。

「私も同じことを昨日 考えていたから、ぱるお君の日記を読んでビックリしました(・・;)」

「昨日のメールなんだけど…」と、なつみが昔、大人にしてあげた大学生からのメールが転送されて来た。どうやら、なつみに会いたいらしい。

「(^-^;) 会いたいって言えないの(^-^?」
「ぱるお君^ - ^ これは好きな人ではないから(・・;)笑。好きな人にも甘えられてないけど。。。>_<❤︎」

「そっか。。」
「うん」
「元気ないの(/_<。)?」
「勉強の監督で疲れた>_<❤︎笑。ぱるお君…癒してT^T」
「困らせてあげよっか?笑」
「うん…(._.) たぶん…エッチしたいのかも。。。何にも考えずに、抱かれたい時ない?ぱるお君は逆で抱く方だけどね… はぁ。」

「挿入… とか、じゃなくて?ただ、ギュゥ❤︎ って。とかは、あるかも☆寝落ちしちゃったじゃん>_<」

疲れているとき、心が弱っているときに、昔好きだった男の子に「会いたい」と言われたなつみは、心が揺らいでいた。今はもう、好きでも、付き合っているわけでもない。いや、未練がないとは言い切れないかもしれない。なつみは、前途ある若い男の子を、不倫という未来のない道へ誘い込むのはやめようと、身を引いたのだった。その意志だけが、なつみからの「会いたい」の言葉を思いとどまらせていた。

なつみは元彼の男の子に、直哉はなつみに…
それぞれが大人の心をもって、眠りについた翌朝。

「ぱるお君…。・°°・(>_<)・°°・。」

「"ナオヤ" といいます。名前はナオヤ。彩乃さんの涙が、こちらの空から、土砂降りです(つД`)・゚・ そしてさっきの日記で僕の心も。・゚・(´□`*)。・゚・」

「なおや君。。。さっきの日記…どうして泣いちゃう?」
「明日… 会いに行こうかな… って思ってた。1分でもいいから。。あとで言おうと思ってたところに、読んじゃった(^-^;)」

「私に。。。(・・;)?1分じゃヤダ。。。足りないです>_<❤︎」
「アハハ。笑。ありがと(^-^) その気持ちだけで、嬉しい。」

「だって1分では足りないもん… 明日来られたら、絶対に甘えてしまいます(>_<)❤︎ 今日は大学の授業がなくて、暇なのかな。会いたい気持ちが強いみたいで… 会いたいメールが続いて届いてます>_<」

「彩乃さんの気持ちも横浜に向いてる、って書いてあった…浮気の浮気のだぞヽ(`□´怒)ノ」

また大学生からのメールが転送されてきた。

「明日 会いたい…って言われちゃった。。。(・・;) 浮気の浮気…だね(-_-) だって。。。なおや君に会えないんだもん。。。」

「明日なら、、明日だけチャンスがあるけど… なつみちゃんの邪魔はできない。したくないから。彼と会ってあげなよ(^-^)/」

「ぱるお君…こっち来るの?明日は会わないよ。。。子供がお昼で帰ってきちゃう… 子供を置いて、恋には走れません。。。その男の子も分かってくれているから大丈夫(^ ^) …でもエッチしたい。。。って時もある(._.)❤︎」

「エッチ。笑」
「正直な気持ちです。なおや君は私としたくないの…(._.)❤︎?」

「明日の午前中、東京にいます。午後から夜行バスまで、10時間くらい空いてて。なつみちゃんのところまでは2時間くらいだよね。往復4時間。夕方、洗濯物を取り込む、なつみちゃんに手を振ってもらえるかな、って。今はエッチまでは。。笑。まず、一目会いたい気持ちが。。若い子には勝てないしねー(lll-ω-)」

「なおや君面白いね❤︎ 若い子には勝てない?爆。会いたいな… 就活?来週だったら夜まで時間が取れるのに!!!どうして今週なの>_< 良い子だよ… B大にいるの。。。なつみさんと結婚できないなら、なつみさんがいる日本を守る…って。。。海自だったんだけど、柔道部で大きな怪我しちゃって、海自無理みたい。。。」

「そうそう、就活セミナー。どうして今週なのかは… 運命かな(^-^;) なつみとなおやは交わっちゃダメだぞ!っていう。笑。モテてますね… んもぉ〜っ(T▽T)」

「セミナーなの?今夜は移動でしょう?忙しいね。。。会いたかったなぁ。。。何故かモテる…笑。優しいからかな… それしか取り柄がなくて(^◇^;)笑」

「、、いたかった… ほんの少し…でも。無理なのね(/_<。) 困らせてみました。笑」

「困らせられちゃいました❤︎笑。縁があれば、会えると思う。。。(^ ^) ガッカリされないように…がんばろ。。。(u_u)」

「そうだね(^-^)」

やっと言えた「会いたい」。
だが、なつみを取り巻く「会いたい」は、それぞれがすれ違っていた。「縁があれば会える」なつみの言うように、確かにそうなのかもしれない。出会うはずのなかった二人が、部屋干しの日記をキッカケに知り合い、サイトを飛び出してLINEをするようになって1ヶ月。

家庭のある二人が、そして関東と関西に住む二人が、もし会うことがあるならば、それはもはや「運命」なのかもしれない。
(つづく)


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