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日々徒然

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日記 思い出 その欠片たち
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日々徒然

細やかに、丁寧に、休日が終わっていく。ご飯を炊いて夫が買ってきたお惣菜を半分こして、慎ましく静かに終わっていく。猫たちが温かい。/

夢を追うひとは、少しでも楽しくあって欲しい。生きることに精一杯のひとは、少しでも楽しくあって欲しい。その積み重ねの中、私もそうあるよう過ごしていくから。/

寂しいねって娘っこは会いに行った。愛は強いね距離も超えてくね。あんな時があったね懐かしいねと夫に言ったら寂し

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日々徒然

年々春が短くなっていくと感じるのは私だけだろうか。若葉の鮮やかな時も確か春と呼んでいたはずなのにその陽があまりに眩しくて、まだ春だと呼ぶことに臆してしまう。/

17年勤めてくれた方が足の手術をすることになり辞められた。御年70歳。辛い時何度も抱きしめていただいた。手を握っていただいた。貴女を娘のように思っているよと言っていただいた。心の温かい方だった。/

焦るというのは、今、足元にある小さな幸

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日々徒然

久しぶりに会った孫娘は、うんとママ(娘)に甘えっこになっていた。好奇心旺盛なところはパパ(婿)に似ているかもしれない。大きくなった。そしてその分私も年を重ねた。見送った後、もう少し近くならなぁと叶わないことを思う。一緒に時を過ごしていけたらなぁと思う。/

昔は山だったこの辺り。我が家の前にも小さな森が残る。不思議な鳥の声が。

「いい声の鳥ね。なんて名前の鳥だろう」
「姿は見えないね。なんて名前

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日々徒然

障子から射す冬の陽をぼんやり見ている。パズルのようだ。空が見えないことにまだ慣れない。風が見えないことにも。/

雨だろうか、それとも加湿器の音か。からからと落葉が風に舞っている音か。店から娘の笑い声ころころと。知りたい音が私の耳に届いてくる。音は沢山溢れているけれど。/

荷をほどかない。そう決めた時、体の良い言葉を綴ったけれど、あの時、私は私の中に毒を放ったのだろう。/

この年齢を生きるのは

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日々徒然

10月中旬からまた寝込んでしまった。どうやら悪の根は深く深く私の中にあるようだ。/

春が過ぎ、夏が過ぎ、秋も通り過ぎて冬さえもきっと。自分を諦めることをせず、人生最後の間際まで成長を願い、間違う怖さより気づくことを喜びとする。人生は過去から始まるのではなく、今日この一歩から始まるのだ。/

珈琲の香りも、炊きたてのご飯の匂いも忘れてしまったけれど。13段、階段の数。左側の壁の小さな傷に触れれば踏

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日々徒然

暑いのかも寒いのかもよく分からない。いつも身体が氷水に浸かっているよう。季節も時間も平等に降り注いでいるだろうに、そのどちらも知らない間にというのはなんてつまらないことだろう。/

数えてみた、45日めだ。孫娘が来て、生まれて初めてのそれはそれは楽しい時間を過ごして、そして、臥せった。傍らにはまだ手編みのカーディガンが掛かっている。過ぎ去った5月。ほとんどその姿を知らない。きっと清々しい緑の風が吹

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顔を洗うお水がこんなに気持ちよいこと。知っていましたか、私。/

カーテン越しの陽は柔らかいね。優しい日陰を作ってくれてる。小さなお花になったみたい。/

もっともっと小さくなあれ。小さくなって、もっともっと小さなことに感謝できるようになあれ。/

私が、私を、私として、考える。
とても久しぶりな気がする。/

「今夜は何にする?」娘が夫に問いかける声。午後の休憩時間か、うとうとしていた。上の娘の

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娘が母親の顔をしているのを見た時、自分の子育ては終わったのだなあと思った。/

風の匂いが恋しい。陽の触りが恋しい。空を見たい雲を眺めたい。木々の色づきはどんなだろう。花は開いただろうか。もっともう少し生きている心地を感じたい。それは自分の内から感じられないものなのだろうか。/

ご飯が少し食べられるようになった午前中は少し調子が良い今日は点滴がなかった。自分のことばかりでは「生きているよ、ありが

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前日から始まった陣痛は一晩かけて規則正しく3分間隔に。早朝入院すると聞いてからは、家族みんなスマホを片時も離さず。休憩時間になってお婿さんから「そろそろかもしれません」と連絡をもらって20分。

1月6日 産まれた

女の子

元気な泣き声の動画を観ながら、その口元が娘に似ている!と思った。

仕舞われた記憶。

目の前のものに触れて、色が、音が、匂いが、温度が、甦ってくる。

娘の人生に触れな

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慌ただしかった暮れとは一変静かなお正月を過ごした。日向ではうっすらと汗ばむくらいの三が日。

上の娘夫婦も初めてのお正月を2人で穏やかに過ごしたようだ。仕事一辺倒で、偏食が酷くて、料理などほとんどしたこともなかった娘が、色合いも美しい見事なおせちとお雑煮を作っていた。愛は強し。

母親の心配や役目は一体なんだろうと思う。日常生活の細かなことを、それこそ口が酸っぱくなるほど言い続けた時間。教えること

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今日日常に何が起こっても、そうたいして変わりなくまた明日がくるのだろう。あの日のようにあの時のように。生きる途中の今日。貴方も私も。/

片隅のどこかが。消えていくのだろうか。壊れていくのだろうか。朽ちていくのだろうか。見た目はさほど変わりなく。それはまず、見えないどこかが。/

人は。何も知らず何も持たず生まれてきて。自我を持ち、それを喜び、知識を得て、豊かにもなり、経験と思い出という引き出しを

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季節が夏から秋へ移り変わる。その流れ。
朝がきて夜がきてまた朝がくる。その流れ。
浮いたり沈んだり泣いたり笑ったり。自分もまたその流れ。揺蕩う(たゆたう)とは命の姿をあらわす言葉のようだ。/

毎月1日(ついたち)、亡き義父のお墓参りに行く。ここ坂の町をさらに2つ坂をのぼり、たどり着くその場所。眼下には鏡のような海が横たわっている。見上げれば空、空、一面、空。

魂は 空へ
愛は 海へ
骨は

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ブルーグレイの曖昧な空。雨を待つのか、それとも見送るのか。グレイが好きになったのは多分大人になってから。子供の頃は嫌いだった。雨も嫌いだった気がするけれど、長靴は大好きだった。へっちゃら、なにもかも。そうしてどこまでも歩いていける、颯爽と。娘たちも小さい頃よく長靴を履いていた。散歩や買い物やそれは雨の日ではなくても。自分で脱ぎ履きしやすいこともあるけれど、そのカラフルな色は楽しくなる魔法だったかも

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日々徒然

近所のスーパーが改装することになり、1週間お休みになるという。「キャベツが足りない!」「もやしがない!」「うどんが!」走れば3秒で行ける距離のそのスーパーは、お店にとって第2の冷蔵庫でもある。もちろん業者さんからの仕入れは毎日。けれど水もののように流れが変わる飲食店にとって生鮮食品の在庫持ちはご法度。ぎりぎりの線で仕入れをする。ネギとシソは屋上で育てられるようになったけれど、キャベツは自分達ではと

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