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SHIZUOKA CRAFTMAN. お茶業界の風雲児!? 本多茂兵衛さん

富士山の麓、静岡県富士市で五代続く茶園を営む、本多茂兵衛さん。
九十年以上、先祖代々受け継がれてきた製茶技術をベースに、お茶のあたらしい可能性を模索し、日夜研究を続けている。
「お茶のシャトーブリアンを作るんだ」と嬉しそうに語ってきた茂兵衛さんはまさしくお茶業界の風雲児!? いや、日夜発明を続けるお茶業界のエジソンと言っても良いかもしれない……..

住宅地にある茂兵衛さん工場

思いもよらないものをつくりたい

悪戯をした長男(六代目?)を諭す茂兵衛さん

茶園の長男として生を受けた茂兵衛さん。
両親曰く、子供の頃は聞き分けが悪く、手を焼いたそう。小学六年生から家業を手伝い、小遣い(本人いわく収入)を得るのが楽しかった一方、繁忙期の忙しさを知るが故に、家業を継ぐかは迷ったという。

茶と格闘中の父・進さん
工場に併設された実家の直売所

「かと言って、生まれ持った性格的にサラリーマンは向かない。じゃあ、独立して事業を興すしかないなと。社長になるためには広告やマーケティングを学べる商学部に行こう!ということで、商学部ばかり受験した。」
大学での学びから、ユーザー視点でのお茶づくりが必要だと感じた茂兵衛さん。継ぐか迷っていた家業を支える決断を経て、福岡・八女での三年間の修行を選択した。「八女市から静岡に学びに行く人間は毎年何人もいるけど、静岡から学びに来た人は記憶にない。普通の人はやらないことを君はやっている、と言われたね」 人が思いもよらない道を選んだことで、茂兵衛さんのお茶づくりは懐が深いものとなっていく。

茂兵衛のお茶、それはお茶を超えるお茶。

修行時代の九州で、色々なお茶、食べ物に出会った茂兵衛さん。
「元々、食べることが好きだったんだけど、お茶飲み道楽、食べ道楽に拍車がかかったのもこの頃。静岡以外のお茶を知り、視野がだいぶ広がった気がする」 今でも、日本、世界各地からお茶を取り寄せて研究を続ける。先代までの緑茶づくりを継承しつつ、ほうじ茶、紅茶、烏龍茶、白茶、ジャンルを超えた茶は多色で多彩。

紅茶でも烏龍でもない「赤烏龍」

中でも、「赤烏龍」と呼ぶ彼の茶は発酵と焙煎の妙で、クリアな飲み口とブドウの香りが同居する不思議なお茶。多くの人の舌が唸るほど圧倒的にうまい!だけどほんとに摩訶不思議。もはやお茶を超えているお茶。だからこそ紅茶、烏龍茶、ノンアルコールワインなど飲んだ後の感想は人により様々になる。

砂糖が不要なほど甘い、ノンシュガー和紅茶

他にも、小さな子供や妊娠中も楽しみやすいカフェインレスのほうじ茶や、砂糖要らずのアイスティーを焙煎技術のみで作ったりなど、研究と遊び心で作られた発明茶は多い。 今日は、新茶を蒸しながら、機械に手を突っ込み、蒸された葉っぱの葉脈部分だけをチマチマ取り除いていた。「新茶作りながらそんなことしてる人、日本にいないですよ」と言うと、「ここだけ食うと美味いんだよ、俺はこれを茶のシャトーブリアンと呼んで売ることにする」という答えが返ってきた。お茶に夢中な茂兵衛さんの発明は今日もつづく。

茶葉の葉脈をシャトーブリアンと呼ぶ茂兵衛さん
出来上がったお茶の?シャトーブリアン

ちなみにシャトーブリアンの会話のあと、お茶談義は止まらず2時間の拘束。茂兵衛さんの癖強なお茶愛については、次の記事でお届けします。