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生きていける

何か良いものに触れたとき、生きていける、と思う。

体験でも、景色でも、音楽でも、文章でも、物でも、人でも。

最近は将来という漠然としたものに不安を感じていて、自分がどうなるのか周りがどうなるのか、ぼんやりと考えてはやめることを繰り返していた。
昔から約束がないと不安で、時間が怖かった。

未来ってわからなすぎるし想像でしかない。

一方で過去は確かなもので、安心できる。
過去の連鎖で今の自分がいるから、未来を考えるときはどうしても過去が付きまとう。
何度も取り出して抱きしめる思い出のおかげで生きているところもある。

だから、何か心を強く揺さぶるものに出会ったとき、それは移りゆく現在に一つ輪郭を持たせて形にさせる。
この感情があるなら、きっとこの先にも同じように感じることがあるかもしれない。
苦しくつらいときも、この時を思い出せば安らぐかもしれない。

もう一度、この体験をすれば。この景色を見れば。音楽を聴けば。文章を読めば。物に触れば。人に会えば。
宇宙みたいに果てしなく広がる未来という空間に、希望のようにその心の揺らぎは光を放つ。

その時感じたものはその時のもので、再現性はないことはわかっていて。
でもそうした経験があることで生きていける、とどうしても思ってしまう。
過ぎゆく時間を一度立ち止まらせて、不安ばかりの心を現在だけに留まらせてくれることが、何よりの救いだと気付いた。



映画「PERFECT DAYS」を観ました。
木漏れ日の名前を抱きしめて生きていきます。


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