短歌連作「あなたは遠い冬の国」 colony vol.6 展示作品
あなたは遠い冬の国
美しいひとびとの持つ冬の国 ときおり息に混ざる結晶
白磁の腕に触れはしない 月で生まれた話を信じて過ごす
吹奏の姿はことごとく身を削り銀の楽器の冷たい光
感性が研ぎ澄まされて冬眩暈あなたの手紙の誠実さがいま
カフェラテの泡は静かに底に降り話すことなど今更ないのに
木の置き時計に時間は流れて沈黙は言葉のように使われる
背後から海とあなたを同時に見ていた 声はとうに浜に還った
あなたがわたしを思い出すときに降る雪の、引き返せない白さを思う
※本文6首目は展示短歌から少し変えています
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