離島

なんどもここに来てしまう
潮が満ちれば消えてしまいそうな島に
わたしは立ち尽くし
誰の名前を呼べば良いのかわからなくなる

夜とも朝ともわからない時間のなかで
前世の記憶のように大切な人たちの顔が浮かぶ

大切なひとが私への興味を失い
冷たい目を向ける夢をよくみる
このひとのもとから私に関する記憶が
なくなり
わたしが果たす役割は終えたのだと
もうわたしがこのひとにしてあげられることはないのだと
本能的に悟る

離島からは遠くに小舟がみえる
迎えに来たのではなく去ってゆく舟だと
わかるのはなぜ
声の限り叫んで助けを求めないのはなぜ

心のどこかでこのまま島が沈んでしまえば良いのにと思う
迎えに来た舟だと気づく前に
その舟が波に飲まれてしまう前に
わたしはせまりくる海に
抗うことなく落ちてゆくのだろうか




船堀タワー

ときどき感情になる前の感情が頭をいっぱいにすることがあり、今日は気がついたら高い場所にいました。この場所は一度訪れたことがあり、そのときは夕暮れでした。そのとき一緒に来た人とはいつか夜景を観たいと話していたのですが、1人で叶えてしまいました。
この行動に意味があったのか無かったのか、わかりません。


同じ時間を共有したひとが同じ記憶を持っているとは限らないと思います。
私がみていた景色と、その人がみていた景色は微妙に違い、感じたことや思考はわからないからです。
だとしたらわたしは早く自分を信頼できるようにならなきゃなと思いました。
でないとその過ごした時間の事実まで消えてしまいそうで、抗うとはそういうことだと思います。

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