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九井諒子さんの短編集が好き

こんにちは
あおはるです!

本日は、推薦図書をテーマに、好きな作品のどこがどう好きなのかを自分なりに考えてみるという練習も兼ねた試みです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。


九井諒子さんの作品一覧

表題の通り、九井諒子さんの作品が好きなのですが、ダンジョン飯についてはあまりにも有名なので、あえて短編集について触れてみます。

ダンジョン飯
2015年度コミックナタリー大賞・第1位
このマンガがすごい!2016(宝島社)・オトコ編1位
THE BEST MANGA 2016 このマンガを読め!・第1位
全国書店員が選んだおすすめコミック2016年度・第1位
Amazon ランキング大賞2016 Kindle本コミック 1位(※第3巻)
(※wikipediaより)

短編集は私が把握している限りですと、以下の3冊

どれも面白いのですが、今回はこの中でも『ひきだしにテラリウム』をピックアップします。


ひきだしにテラリウムの創作時期

Amazonのストアでは以下のように紹介されています。

ようこそ、ショートショートのワンダーランドへ。笑顔と涙、驚きと共感。コメディ、昔話、ファンタジー、SF……新進の気鋭、九井諒子が描く万華鏡のようにきらめく掌編33篇。―Web文芸誌マトグロッソでの、2011年8月~2012年12月の約1年半の連載分全篇のほか、「えぐちみ代このスットコ訪問記 トーワ国編」「神のみぞ知る」、描き下ろし作品も収録。
(※Amazonの書籍紹介文章より)

2011年から2012年というのがポイント。
ダンジョン飯の連載は2014年からですので、短編集はそれ以前に書かれています(※ダンジョン飯が初の長編連載作品)。

九井諒子さんは2011年より商業作品を発表し始めているので、創作原点を探るにはとても良い教材となります。

なお、書籍化されたのは2013年なのですが、本作は第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞しています。


ひきだしにテラリウムの作風

ダンジョン飯は舞台がファンタジーですが、短編集は現実的な世界にちょっと不思議な世界が混じりこむという構成のものが多いです。

(別の著者の作風を例に出してしまうと賛否わかれるかとは思いますが)、私は学生時代に村上春樹さんの短編集を読み漁っており、その時の心地よさが蘇りました。

ショートショートは、まず面白い発想が浮かんで、その前後にシチュエーションを肉付けをすることで物語を構成することが多いと思います。

例えば、村上春樹さんの『カンガルー日和』を例にあげますと、『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』は、100パーセントの女の子という部分が面白い発想にあたります。
そして、100パーセントの女の子と道端ですれ違ったらどうなるかという想像を膨らませ、村上春樹さんの場合はここにユーモアやニヒリズムで味付けをしています。

本作の『TARABAGANI』を例にあげますと、タラバカニはカニではなく生物学上はヤドカリの仲間らしい→であるならば――という発想で展開されており、ここに九井諒子さんの作品らしいユーモアが生まれています。


短編作品は作者が垣間見えて面白い

私は学生時代に村上春樹さんの研究をしていたのですが、長編よりも短編の方が著者のパーソナルや傾向を測るための研究材料にしやすいと感じています。これはテレビよりもラジオの方が本音で自由にしゃべれるよねみたいな理論です。

本作も現実を舞台にしていることが多いので、キャラクターを通じて著者がちらっと顔をのぞかせるのが面白いです。

全体的に醸し出される生活感もそうですし、『ショートショートの主人公』でそれぞれのキャラクターが語っていることは当時の著者の気持ちがそのまま表れているんじゃないかなと想像できます。
ショートショートを考えるのって難しいですもん。

『ノベルダイブ』もすごく共感ができます。
おそらくすごく本を読むことが好きなのだろうと推測できます。

作家さんってアイデアの引き出しを自身の体験から持ってくる方も多いと思うのですが、本好きの作家さんは本から広げることも多いですよね。

作風が似てしまうなど危惧もあるかもしれませんが、著名な作家も読書量は多いと考えておりますので、要は自身のフィルターを通した時にどうアウトプットするか(※ここがその人の作風)という話かなと。


最後に

というわけで、今回は好きな作品の何がどう好きなのかを書いてみたのですが、好きって表現するの難しいですよね。

個人の感情としては、小難しく考えずに誰に何と言われようと好きなものは好きで良いと思うのですが、好きを伝えたいとなるととても難しい。

推薦図書をテーマに練習していきたいと思います。


以上、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。






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