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思い出のおやつ

皆さんには、「思い出のおやつ」は、ありますか?
「おやつ」というだけで、甘く、優しい気持ちになりますよね。


ライオンのおやつ


この「ライオンのおやつ」は、瀬戸内のレモン島の「ライオンの家」という名前のホスピスが舞台の小説です。
この「ライオンの家」では、毎週日曜日の午後3時におやつの時間があります。患者さんが、もう一度食べたいおやつをリクエストし、くじ引きで選ばれた「おやつ」が再現され、それを患者さん皆でいただくのです。
そのおやつを食べたときの思い出が、リクエスト用紙に詳しく書かれているので、おやつをいただく前に、ライオンの家の館長さんが皆に読んで聞かせます。その思い出話に胸がキュンとなります。


ミルクレープ


その中に、とても印象に残るミルクレープの話がありました。
主人公「雫」は33歳で癌で亡くなります。雫は父と娘の2人暮らしでした。雫が小学生の頃、お父さんの誕生日を手作りケーキでお祝いしようと考えました。初めて自分1人でケーキを作ったのです。
薄いクレープをフライパンで焼いて、そのクレープの間にジャムやホイップクリームを挟みました。お菓子作りに慣れない小学生なので、フライパンで作れることが魅力だったんですね。そして泡立て器がなかったので、自分で一生懸命クリームを泡立てましたが、なかなか角が立ちません。氷を敷くことでようやく角が立ちミルクレープは完成しました。とてもおいしいミルクレープだったそうです。


長女が作ってくれた誕生日ケーキ


この話を読んで、私は自分の誕生日に長女が小学4年生で作ってくれたケーキのことを思い出しました。
市販のスポンジケーキの台と、ホイップクリームを買ってくれば、簡単に作れると思っていたのでしょう。でも、学童の隣にあるスーパーには、いつも買っているスポンジ台もなければ、ホイップクリームも売っていなかったのです。
そこで、娘はホットケーキを作って、スポンジ台の代わりにしようと考えました。そして、ホイップクリームは自分で生クリームを泡立てようと考えたのです。
私が下の娘と保育園から帰宅すると、学童からすでに帰宅していた長女は半ベソをかき、汗だくになりながら、生クリームを泡立てていました。電動泡立て器が見つからなかったようです。

汗と涙のケーキ作り

私の誕生日は6月なので暑い日でした。ホットプレートを出してホットケーキを焼き、その横で一生懸命、生クリームを泡立てていましたが、一向に角が立ちません。ベソをかいているのが見えました。「手伝おうか?」言っても「いらない」と強く拒否されたので、電動泡立て器を出してあげて、ようやくホイップクリームを作ることができました。
ホットケーキにホイップクリームを塗って、そこにm&mのチョコレートをのせてケーキは完成しました。

長女が作ってくれた誕生日ケーキ・汗と涙の結晶

長女の汗と涙の結晶です。
長女のことが愛しくて、抱きしめました。
そして、泣きながら、ケーキをいただきました。
かなり大きくて、1度には食べきれなかったので、3日に分けて食べました。ケーキはどんどん硬くなって、パサパサしていきましたが、
毎日、鼻の奥をツンツンさせながら、いただきました。

私の「思い出のおやつ」は、娘が一生懸命作ってくれた誕生日ケーキです。
甘くて、ちょっぴり塩っぱい涙の味です。
「思い出のおやつ」は幸せの味なんですね。


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