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Skoop On Somebody【25th anniversary LIVE Vol.2~club SOS~】(2022/9/18 夜公演 梅田 Banana Hall)

 今さら、去年行ったライブの感想シリーズ。一応これまでは時系列を守ってきたのだけど、この記事からは前後します。
 Skoop On Somebody、2023年春夏の【Coming 2 You 2023】ツアーももう終盤だというのに。


 本ツアーの前半戦は6月に神戸公演に行ったのだが、後半戦は大阪公演のうち2つに参加。一度目の今回は夜公演。
 序盤の3曲は前半と変わらず、[Process of Luv]、[Call Me]、[GOOD TIME]と続き、MCへと移る。このパートでは基本的に、コーヘイさんの再加入の経緯の話がメインなのは前半戦と変わらず、なんだけれども…。

 6月に聞いた時よりも、詳しい話をされていた。
 まずはこの12年間何をしていたのか、という点。活動休止直後は一切楽器を触っていなかったこと。スーツを着てサラリーマンのような仕事もしてみたけど向いていなかったということ。その後、実は大阪芸大へ教えに行っていた時期もあったこと(勿論、2010年代半ば以降再び音楽の現場に携わっていらっしゃった事は、私を含め関西のライブシーンに出入りしているファンならば認識しているかと思う)。
 そして再加入のきっかけとなったタケさんとのお酒の席での会話についても、以前より詳しい説明だった。共通のご友人のお宅での飲み会で、二人とも飲み過ぎだろうというぐらい飲んだタイミングでコーヘイさんから復帰したい旨を告げ、その瞬間だけお互い素面になって…という話。そもそも二人は同級生というのもあるからか大盛り上がりしたのは良いが、その場に居なかったリーダー・コーイチローさんはyesともnoとも言わないまま、まずは音を出す為に3人で合宿へと向かった、というのは前回も聞いた通り。
 40歳を超えてそれまでの仕事を離れるということ、自分に出来ることと出来ないことの見極め、もう一度その仕事に戻るというのは決して簡単ではないこと。いつものあのテンションで明るく話してくださったのだが、「ふーん、そうやったんや」と流せる話では無かったのも事実。自分がその年代になった時、この話を思い出すのだろうか、とも思う。
 
 MC明けは、ボーカル、カホン、ピアノだけのclub SOSスタイルなのは6月に観た時と変わらないが、夏になったからか或いはそもそも日替わりなのか、前回とは違うセトリになっている。[Still]、[ama-oto]と続いた後、クラーベのリズムでの手拍子が始まり、何の曲だっけと一瞬考えた後、ピアノのフレーズで[Actor]だと気付き鳥肌が立つ。このツアーで、いや、今迄で一番、ライブで聴きたかった曲だ。
 自分が最も好きなバンドの一番好きな曲、【undressed ~club SOS~】版の[Actor]。ほんの7か月前まで、一生聴けないのだと思っていたこのバージョン(コーヘイさんの活動休止前もそれなりに熱心なリスナーだった自負はあるが、ライブには一度も足を運べなかった)。今回はclub SOSツアーだから聴けたら良いなとは思っていたけど、本当に聴けるなんて。ラブソングでは無いし、ハートフルでも無いし、切なさとも少し違うし、ポジティブでも無くパーティーソングでも無い。シリアスで緊張感があって、でも切々と歌い上げる様子が艶っぽくもある。こういう曲は多くは無いが、こういうのが一番好きだ。
 音源では、研ぎ澄まされた鋭さに捕らわれて一音も聴き逃せない、という印象だったのだが、客席も手拍子をしたり、意外と「一緒に楽しめる」曲だったことに驚いた。2番のサビが終わった後の8小節間は、音源ではピアノとカホンでブレイクっぽい掛け合いになっているが、ライブでは1小節ずつの交換になっていてカホンの見せ場が音源よりも目立つのも、盛り上がるというかライブ感がある。大きくアレンジを変えているわけでは無いが、3人だけ(音源)だと内省的だったのが、目の前に聴き手がいるだけでこんなにも印象が変わるのか。一番好きな曲は、新たな発見を得てさらに好きな曲になった。

 この後のMCパートが夏の間に大きく変わっていた事にも驚いた。「マツモトピアノ」というコーイチローさんのコーナーで、緩いトークの時間帯。タイトルよろしくピアノ買取のあの曲を弾いたり、かに道楽の曲を3人でハモったり(いずれもコーイチローさんと同じ関学OBの大御所の作品)。ツアーの中盤から自然発生で出来たコーナーらしいが、回数を重ねると(本ツアーは全63公演だった)こんな事もあるんだな。タケさんが「(コーイチローさんの緩すぎるトークで)皆だんだん不安になって(この人大丈夫なの?という目で)俺の方を見るようになる」と仰っていたのだが、不安になってとりあえずタケさんに助けを求めてしまうの、分かるなあ。タケさんって皆のハブの位置で全員に気を遣ってお話されている印象で、ステージと客席を繋ぐ大事なポジションに居る気がする。
 ここから、[Sing a Song]、夏セトリだったのか[Amanogawa]、[Sha la la]と続き、MCを挟んで新曲の[SUMMER ESCAPE~夏の思い出~]。この頃はまだ声出しが出来なかったから「本当は皆で歌いたいんだけどね」なんて話をされていたと思う。しかし、この曲がすっかり馴染んでしまって、原曲(ケツメイシ)が思い出せなくなっているのは私だけだろうか。
 そしてまたもや、6月に観た時には無かったコーナーが。[Hooray Hooray]に入る前、コーヘイさんのドラムを刻みながらのMCパートがグッズのシェイカー販促タイムになっていた。通販番組かってぐらい喋る喋る。スタッフの方が客席内でシェイカーを売り歩いていたのだけど、売り切れが出てしまい買えず。
 ラストは[M.F.S.B]から、[Sunrise]で本編終了。
 アンコールも日替わりだったらしく、コーイチローさんの即興から、この日は[Everlasting Love]へ。

 本ツアーは5月から9月という長期のうえに、昼夜2回公演の日も多く、1回毎に内容が変わるのが面白かった。特に前回の6月の神戸公演から3か月空けた状態での参加だったので、大きく内容が変わっている部分も多かった。
 一度だけじゃなくて、何度も通いたいと思ったこのツアー。演劇を観に行くのと近い感覚なのかもしれない。ホールでのコンサートも良いけれど、こういう小さいハコで沢山回数を重ねてくれる方が、ライブの醍醐味が味わえるようで楽しい。この次は5日後、9/23の昼公演を観に行っており、そこでもまた違う感想が出てきたので、近いうちにアップします。