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ライブの感想: 古川麦【"Xìn" LP 先行販売LIVE】(2022/10/6 BAR RAINCOAT)

 下書きに入ったままになっていた独り言を時系列無視でアップする。もう1年以上前の話。


 麦さんのソロ名義でのライブを観るのは、8月にUrBANGUILDで観たバンド編成でのツアー以来2か月ぶりだった。この日は、7月にリリースされたアルバム【Xìn】のLP版の先行販売ツアー(リリース自体はプレスの遅れで10月中旬に延期)の大阪公演で、ゲストにSSWのいちやなぎさんを迎えたツーマン。お二人とも弾き語りでのライブだった。
 先攻のいちやなぎさんはSNSでお見かけして(京都の方なので)名前だけ存じ上げていたが、ライブを観るのは初めて。演奏も歌声も、そしてお話をされるその様子も柔らかだった。弾き語りが似合う方という印象だったのだが、バンド編成だとどうなるのかも気になったので機会があればぜひまたライブを観てみたい。
 麦さんは、そんないちやなぎさんのお人柄を「なんだか弟みたい」だと言いつつ、「自分は一人っ子だから自分の世界があって、でもそれを共有するのが苦手で…じゃあなんでこんな仕事(音楽)してるんだろう、それでも共有したいって想いがあるからなのかな」というような事を仰っていた。私も一人っ子なので、この話が印象に残っている。
 【Xìn】LP版リリースツアーと銘打っていたものの、セットリストは他のアルバムやEP収録曲に、「おばあちゃんがよくカラオケで歌っていた」というお話を挟んでの[幸せな結末]のカバーなども含めて10曲ほど。確か、[雪]だったか、RAINCOATに設置されているアップライトピアノを弾く場面もあったはずだ。
 麦さんはこの時期、舞台【血の婚礼】の劇伴でずっと生演奏をされていて(このライブは東京公演と大阪公演の間の日程だった)、同じ内容の演奏を繰り返し行う劇伴と、毎回内容が変わるご自身のライブを行ったり来たりされていた時期だと思う。バンドセットを観た時に比べてラフに思えた弾き語りは、そんな時期の演奏だったこともあるのだろうか。何にせよ、小さなライブハウスで観る弾き語りはその距離感も特別だ。中盤の[Halo]では、冒頭の歌詞が出てこずにお客さんからアシストが入るという優しい光景も目にした。
 アンコールでは、お二人でのセッション。[芝生の復讐]でのいちやなぎさんのスキャットが、その場限りのセッションとは思えないぐらいぴったりと合っていたし、お二人とも凄く楽しそうだった。
 今となっては何故そうだったのかは覚えていないがこの時期の私はひどく疲れていたようで、当時のメモには「この距離感で聴く演奏は、疲れた心身にすっと響いてくる」と書いていた。終演後にLPを購入した際、言葉が出てこず麦さんに上手く感想をお伝え出来なかったのだが、素直にそう言えば良かったのだな。



先行販売のアナログ盤に入れて頂いたサイン