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私はインジェラに罪滅ぼしをしたい。

エチオピアの国民食、インジェラをご存知だろうか。

トップ画でお皿のようにも使われている、クレープのような食べ物である。

上にのっているのはワットと呼ばれるおかずで、くるくる巻かれているインジェラをちぎってそのおかずをくるんで食べる。

ワットには色々ある。トップ画のようなおかずだけのものはバヤアイナット。

肉と唐辛子、玉ねぎ、トマトを炒めたものはティブス↓

お祝い事の時によく食べられる、鶏肉と玉ねぎとゆで卵のドロワット↓

我々は「食べたら死ぬよ!」と健康管理員さんから言われている、生肉のテレスガ(左)↓

(エチオピアには生肉を食べる文化がある。)

位置付けはご飯と一緒。主食である。首都での語学訓練で「ランチはインジェラとバヤアイナットを食べました」と言ったら、エチオピア人の先生に

「インジェラはワットがあれば一緒に食べるのが当たり前なんだから、わざわざ言わなくていいの。ご飯もそうでしょ。」

と返され、そうだっけ…と思いながらこの国におけるインジェラの重要性を確認したのが懐かしい。

このインジェラ、テフという穀物を発酵させて作るので酸味がある。味と食感を表すと酸っぱい厚めのクレープ、といったところか。この酸味はトマトとよく合うと思う。実際、写真はないけどトマトパスタをくるんで食べるパスタ・バ(with)・インジェラがある。

が、この酸味、受け入れられる人とそうでない人がかなり分かれる。エチオピアに来る前にネットで調べたら、後者達からは結構な言われようだった。

多分、違和感が大きいんだと思う。「このクレープみたいな見た目のやつが酸っぱいだと…?」みたいな。実際私も最初は違和感でいっぱいで、慣れたのはエチオピアンイースターのお祝いに呼ばれて1日5インジェラした頃からだ。

慣れた今は、本当に美味しいと思って好んで食べている。この辺でハンバーガーを頼むよりは、ティブスをインジェラで食べる方がずっと美味しい。先日の誕生日ディナーもティブスにした。

…で、タイトルの言う罪とは何ぞやと。それは、他文化への敬意を欠いたこと。

市に表敬訪問に行ったときのこと。市長との面談前に職員の方と雑談をしていて、「派遣先にはどんな食事があるんですか?」みたいなことを聞かれた。ネットで調べたし先輩隊員にも話を聞いていたので、インジェラのことは知ってた。正直思いだしたくない私の回答がこちら。

「なんか見た目が雑巾みたいな食べ物があるって聞いて…」

ネットにあったキャッチーなワードをそのまま使ったのだ。そのキャッチーさに目がくらんで。確かに職員さんの反応は物凄く良かった。「何ですか、それ!?」と。でも、曲がりなりにも多文化共生とか異文化理解を学んできた人間の言葉じゃなかった。このときの私は、圧倒的に思慮に欠けたおバカさんだった。

インジェラを納豆(私の好物)に置き換えてみ?もしくは同じ主食ポジションの米か。見た目や味を悪く言う言葉がちょっと思い付かないけど、他の文化圏からそんなん言われたら多少ムッとするやんな。私の今までの「異文化理解」はフリか?…自分でショックだった。

食に限らず、他文化への敬意を忘れると、言動に出てしまう。日本の外で働きたいなら気を付けねばと心に刻んだ失敗だった。同じことを繰り返さないのが、罪滅ぼし。

なおキャッチーな言葉を使う人達を批判する意図はない。価値基準が違うのだろうから。そっと距離を置けばいい。


インジェラの名誉挽回の為にもう一度。

インジェラ本当に美味しいよ!違和感乗り越えたら癖になるので、機会があったら試してみてね!

それでも苦手な人は苦手なのでムリしないで。でも誰かは好きだから、誇りに思っている人がいるから、悪く言わないでくれると嬉しいなぁ。


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