【読書メモ24】「なんとかする」子供の貧困

今回の本はこちら↓

大学院で主に日本の外の「開発と教育」について学んでいたのだが、日本はどうだろう?

貧困には2種類ある。絶対的貧困と相対的貧困だ。

絶対的貧困:人間として最低限の生存を維持することが困難な状態
相対的貧困:その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態
(引用元)

この本で語られているのは、このうちの相対的貧困である。

院時代、課題の調べものをしていたときだったか。あるデータに目を疑った。日本の子供の相対的貧困率が高いのである。OECD加盟国で34ヵ国中10位の高さ。え?

↑内閣府のデータ。ちょっと古いデータな気もするが。

恥ずかしながら、海外の貧困問題とか学んでおきながら自分が生まれた国の貧困については全くの無知だった。給食費の未納問題くらいしか知らなかった。それに自分の子供時代にもそういうことを考えたことが全然なかった。私が自分は恵まれた環境にいると気づいたのは、大学生になるくらいの頃だった。

…間違いなく「ボーッと生きてんじゃねぇよ!!」とチコちゃんに叱られるボーッと具合だ。

ちょっと話が逸れたが、とにかく無知な自分が日本の子供の貧困について知りたいと思って読んだ本である。

当事者(子供)、親、行政担当者、支援者など様々な立場の人へのインタビューが多く、読みやすいしリアルな声を知ることができる。

また子供の貧困は由々しき事態だ!!と嘆くのではなく「ではどうするか」に主眼が置かれており、様々な角度からアプローチをする人々をその活動内容と共に紹介している。

実情を広く浅く知ることができ、深く学ぶための入り口として私にはとても良かった。

知識だけでなく、考え方でも学びがあった。私が取り組んでいることってこれだったのか、と発見した気分。

読みながら、子供の貧困に立ち向かう人々と国際協力に携わろうとする自分の姿が重なったのだ。

共通点は「一ミリを進めようとすること」。

日本の子供の貧困とエチオピアの高失業率、どちらも課題は大きく解決には多様なアプローチが考えられる。だからこそ

この課題の大きさ、アプローチの多様さは、ときに人を萎えさせる。

という一文には共感しかなかった。

あれもこれもしないといけない、した方がいい。でも、何ならできるの?何から始めるのがいいの?どうやってやるの?誰とやるの?どこから予算取るの?エトセトラえとせとら…。

それでもこの本に登場する支援者は、行政は、一ミリを進めようとする。

すべての子どもたちに届いているかと言えば、そうではない。金額が十分かと言えば、そうではない。「それで十分か」と問えば、誰一人「十分だ」と答えるものはいない。そんなことは、やっている本人たちが一番わかっている。「もっと根本的な対策が必要だ」と言えば、それもまったくその通りと答える他ない。そんなことも、やっている本人たちが一番わかっている。
それでも、一ミリを進める。その一ミリには、「不十分」「もっと根本的」とだけ指摘する言葉の一万倍の価値がある。

この言葉は、国際協力をしたくてここに来て、山積みの課題を前にして途方に暮れるけどやっぱり何かしたいともがく自分の欲しかった言葉だ。

この課題の前に自分は無力なんじゃないかと思うけど、この本に登場する人々のように一ミリを進めていけばいいんだ。

そして、「いつか世界を変える力になる」。

そういうことなのかな、と思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?