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サンドウィッチのお兄さんから学んだ寛容の心

留学先の大学内スーパーでアルバイトをしていた時のこと。ドリンクの棚の前を通りがかったとき、アフリカっぽい訛り(単語がスタッカートがついてるみたいに短く発音されるイメージ)のお兄さんから声を掛けられた。

Sandwiches?

…私にはそう聞こえた。

視線を落としたが、お兄さんの差し示すそれは円柱形のアルミ缶。

―いいえ、それはエナジードリンクです。

いやでもまさかそんな質問な訳ないだろうと思い、Pardon?と聞き返す。

更に2回言い直してもらっても、やっぱりSandwiches?にしか聞こえない。え、どうしよ…!!!

とあたふたしていたら、ちょうどネイティブブリティッシュのチームリーダーが通りかかったので、助けを求めた。Help me.

もう一度繰り返してくれるお兄さん。ごめんよ。

そしてチームリーダーによって解き明かされた質問は。


How much it is?


聞いた瞬間、膝からくずおれるかと思った。嘘やん私そんな簡単な文章3回も言わせてたん?心の底から申し訳ない…でも1つ言わせて値段はその缶に赤字でしっかり31pって書いてあるからまさか聞かれてるとは思わなかったのよ…!!!!

対応終わってからリーダーにこんなんも分からなくてごめんね…と言ったら、

「いや、俺も50%くらいしか自信無かったわ。問題ないよ、気にすんな!!」と。

優しい。

でもこの時一番優しかったのは、全然聞き取れなかった私にイヤな顔もせず3回もHow much it is? という初歩中の初歩の文を繰り返してくれたお兄さんである。

そんなのも分からないのにバイトするなと言われても反論出来なかっただろう。でも言わないでくれた。私が必死の形相すぎた可能性もあるが。

本当に英語を話せる人たちは英語学習者に寛容だなー、と有り難く思った。私もそうありたい。恩送り。

今私はアムハラ語混じりの英語で活動している。同僚には英語が得意でない人も多い。得意な人も、なぜか疑問文が通じなかったりする。

そういうとき、このサンドウィッチのお兄さんを思い出す。もっと簡単に言い換えられるなら言い換える。それ以上無理なら繰り返す。他(多)言語話者へのリスペクトを忘れない。

同僚の皆さんは大体アムハラ語、オロミア語、ソマリ語、アラビア語、英語の中から2つ3つ話すのだから…!!



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